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『スター・ウォーズ エピソードⅢ シスの復讐』感想

エピソードⅢ・シスの復讐

「パパパパ〜ン♪」と聞き慣れた20世紀フォックスのファンファーレと共に、ルーカス・フィルムのロゴマークが現れる。そして毎度お馴染みの「A long time ago in a galaxy far,far away....」のフレーズの直後、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲が高らかに鳴り響くとワクワク感はもはや頂点に!

「ああ、これから『スター・ウォーズ』が始まるんだ!」という高揚感はこの映画独自のものであり、他の映画では決して味わう事が出来ない“至高の瞬間”でもあるのです(ある意味条件反射かもw)。ここが『スター・ウォーズ』のクライマックスだと言っても決して過言ではないほどの興奮状態!

というワケでついに観てきましたよ、『エピソードⅢ シスの復讐』を!とは言え、先に公開されたアメリカでは「史上空前の大ヒット!」とか、「スピルバーグが号泣した!」とか、期待を煽る情報ばかりが伝わってくるのに対して、僕の反応は結構冷静でした。『エピソードⅠ』『エピソードⅡ』で立て続けに味わった失望感が尾を引いていたからです。

特に『エピソードⅠ』におけるジャー・ジャー・ビンクスの不人気ぶりは筆舌に尽くし難く、世界中のファンから苦情が殺到する騒ぎとなりました。おまけにCGのキャラクターでありながら、ゴールデン・ラズベリー賞最低助演男優賞を獲得するという快挙まで成し遂げてしまったのですから救いようがありません(ちなみに『エピソードⅠ』はラジー賞の監督部門や作品部門など計6部門でノミネートされていたが、受賞には至らなかった)。

そして『エピソードⅡ』ではジャー・ジャーの出番が激減した為にかなりマシにはなったものの、相変わらずルーカスの脚本のトンチンカンぶりは健在で、とうとうラジー賞の脚本部門で見事に最低脚本賞を受賞してしまいました。さらに、最低スクリーン・カップル賞など7部門にわたってノミネートされた挙句に、ヘイデン・クリステンセンまでもが、最低助演男優部門で不名誉な受賞を果たしているのです。

こんな状況では、もはや『エピソードⅢ』に期待しろと言う方が無理でしょう。ファンとしてはもう、「どんな『スター・ウォーズ』に成り果てていようとも受け入れる」という覚悟で『エピソードⅢ』に臨むしかなかったワケです。果たしてその結果は……

いきなりオープニング直後から激しい戦闘シーンが炸裂!『エピソードⅥ』のクライマックスにも匹敵する凄まじさです。しかし、オビ=ワンとアナキンの漫才みたいなやり取りを目の当たりにして「大丈夫なのか?」と最初から先行きが不安になりました。宇宙船が縦になったり横になったりするたびに、エレベーターシャフトの中をゴロゴロと転がる2人のジェダイ。脳裏にドリフのコントが甦るようなシチュエーションです。

さらに巨大なスペースシップを操縦するも、途中で船体が真っ二つに!「何か落ちましたか?」と尋ねるアナキンに対し、「この船、半分だけで飛んでるぞ」と普通に答えるオビ=ワン。完全にお笑い芸人です。まさにグッジョブ!正直、この辺でもうかなり頭がクラクラしてきて、「ああ、やはり今回もダメなのか…」と早くも諦めモードに入っていたのですが、意外や意外!「話が進むにつれてどんどん面白くなってくる」ではありませんか(今までは逆だった)。

さすがに最後なのでルーカスも心を入れ替えてくれたのか、それとも目の錯覚なのかは良く分かりませんが、とにかく「新3部作の中では一番面白い」という前評判は嘘ではなかったのです(前の二作がヒド過ぎただけという説もありますが)。

確かに今までと同じようにゴチャゴチャと色んな要素が入って分かり辛い部分はあるものの、今回は「アナキンがダークサイドに堕ちてダース・ベイダーが誕生する」という物語の結末がはっきりしている分、ストーリーに迷いがありません。既に決まっている終着点に向けて、どんどんドラマが加速していく感覚は観ていて実に気持ちが良かったです。ジャー・ジャー・ビンクスに一言もセリフが無いのもグッド(笑)。

でも、なんといっても今回の白眉は迫力満点のライトセーバー戦でしょう。オビ=ワンが、ヨーダが、メイス・ウィンドゥが、そしてついにパルパティーンまでもが縦横無尽にライトセーバーを駆使して激しいバトルを展開します!さらにクライマックスのアナキンとオビ=ワンの対決シーンに至っては、もはや涙で滲んでスクリーンが見えないという凄い有様!何故なら、ここでオビ=ワンがアナキンを倒すという事を知っているからです。

オビ=ワンにとってアナキンは既に掛け替えの無い存在となっていました。自分の弟子であり、友人であり、そして弟のように思っていたアナキン・スカイウォーカー。そんな大切なアナキンを自らの手で殺さなければならないオビ=ワンの辛さ。胸が張り裂けそうな思いでライトセーバーを振りかざすその姿には、思わず目頭が熱くなりました。しかも二人は20年後の『エピソードⅣ』で再び対決し、今度はアナキンがオビ=ワンを倒す事になるのです。まさに宿命の対決と呼ぶに相応しい名戦闘シーンと言えるでしょう。

思い起こせば、生まれて初めて映画館で観た映画が、親に連れて行ってもらった『スター・ウォーズ』でした。ロクに字幕も読めないような小さな子供でしたが、劇場の大画面に映し出された非常識なほどの巨大な宇宙船のド迫力は、27年経った今でも脳裏に焼きついて離れません。

個人的には(特別篇も含めて)6本のシリーズ全てを劇場で鑑賞できた事は非常に幸運だったと思います。「劇場で皆と一緒に体感する」という意味において、『スター・ウォーズ』は正しくイベントムービーであり続け、最後までその役割を全うしたと言えるのではないでしょうか。

映画の完成度については色々言いたい事もあるし、『スター・ウォーズ』を観た事が無い人にもオススメできる映画かというと、「甚だ疑問だ」と言わざるを得ません。でも、そんな事はもうどうでもいいのです。とにかく、30年近くにわたって僕たちを熱狂させ続けた“壮大なる神話”はこれで幕を閉じました。

これだけの長いシリーズを完結させて、きっちり『エピソードⅣ』に繋げてみせたルーカスには一言「お疲れ様でした」と言いたい。そして心からお礼を言いたいです。「長い間、楽しませてくれてありがとう」と…。

ラストの“二つの夕陽”を観た時は、実に感慨深いものがありました。それはまさにシリーズ全ての終わりであると同時に、全ての始まりでもあるからです。あの夕陽は、アナキンの息子、ルーク・スカイウォーカーが見つめていた夕陽と同じもの。そう、ここから僕たちの『スター・ウォーズ』サーガは始まったのです!そしてその“伝説”は、これからも永遠に輝きを失う事は無いでしょう。
「May the Force be with you」の言葉と共に…!