ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

ブルース・ウィリス主演『ホステージ』映画感想

ホステージ

■あらすじ『主人公は敏腕人質交渉人のジェフ・タリー(ブルース・ウィリス)。彼は、ロサンゼルス市警察の特殊部隊に勤務していた交渉のプロである。非常に優秀な警官だったが、ある事件で子供を死なせてしまった事により心に深い傷を負い、ロスを去り、小さな町の警察署長となっていた。しかしある日、会計士の邸宅に武装した若者たちが押し入り、家族を人質として立て篭もるという事件が発生。しかもこの家は厳重なセキュリティ・システムを導入していたが、犯人たちに制圧され、警備システムを逆利用される事になってしまった。安全を約束していたはずの豪邸は、今や難攻不落の要塞と化してしまったのである!しかも、それと同時にタリー署長の家族が謎の犯罪組織に誘拐されてしまう。こうして、二つの異なる人質事件が同時進行するという、前代未聞の局面に追い込まれてしまった。平穏な町での生活を選んだ彼に、突如として襲い掛かる犯罪の魔の手!タリーは、豪邸の住人と自分の家族という二つの人質に挟まれて、再び人質交渉人として翻弄されることになってしまう。クライアントを助けるのか、家族を助けるのか、究極の選択にブルース・ウィリスが果敢に挑む、渾身の意欲作!』



まず、冒頭のタイトルクレジットがかっこいい。黒と赤だけで表現されたヴィジュアルはどこかアメリカンコミックを彷彿とさせ、非常にクールだ。そして人質交渉人のブルースが颯爽と登場するが、いきなりびっくり仰天。

わあああ、髪の毛がフサフサだ!髭もボウボウだ!!実にダンディーなおっさんになってるぞ!高品質の増毛剤か、それともアデランスの力か、と一瞬焦るが、一年後のシーンではいつものハゲ・ブルースに戻ってました(子供を死なせたストレスで一気にハゲたのか、あるいは罪悪感から自分で剃ったのかは良く分からない)。

「厳重な警備システムがある家に泥棒が忍び込む」という設定はパニック・ルームを思い出す。本作の場合は家全体が守られているので、「パニック・ハウス」か。どちらの映画も“犯人が結構間抜け”という部分で共通している。

特に本作の犯人は物凄く頭が悪く、全く行き当たりばったりの犯行で計画性ゼロ。せっかくのセキュリティ・システムを有効活用する事も無く(監視カメラもあっさり壊される)、大事な人質を見張ろうとさえしない。おかげで、子供が自由自在に家の中を動き回るという緊迫感の無さ。携帯電話も掛け放題。もしかしたら、あのまま外へ逃げる事もできたんじゃないのか?

これだけだったら、気の抜けたサスペンスとしてつまらない映画になっていたかもしれないが、ここで本作は「もう一つの人質事件」を絡ませる事によって緊迫感を盛り上げようとしているのだ。この発想はなかなか面白く、映画の中盤まではかなり楽しめた。

しかし、タリー署長の家族は誘拐された場面が一瞬映っただけで、その後の状況は全く描写されないのだ。この為、結局「豪邸の事件」がメインとなってしまい、残念ながら“同時進行する二つの人質事件”という印象は薄くなっている。

おまけに、中盤以降の展開はどんどんグダグダになってきて力技的にストーリーは進み、事件の解決方法もかなり強引だと言わざるを得ない(あのFBIはちょっと無理があるだろ)。特に、犯人の一人マースのブチ切れ具合があまりにも凄過ぎて、思わず笑ってしまいました。あれじゃ、ホラー映画だよ(笑)。

総合的な評価としては、まあそれなりに面白いけど満足度はそこそこ、という感じ。『ダイ・ハード』的なアクション・シーンはほとんど無い。これは、アクションよりもドラマに比重を置いているからなんだろうけど、肝心のドラマ部分が中途半端で盛り上がりに欠けるのでは意味が無いと思う。同じ脚本家が『ダイ・ハード4.0』の脚本も書いているらしいが、どうなるのかなあ。