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『フラッシュ・ダンス』映画解説

フラッシュ・ダンス

■あらすじ『昼間は男に混じって溶接工として働き、夜はモービーズ・バーのフロアダンサーとして激しいダンスを披露する少女、アレックス。彼女には、プロのダンサーとして成功するという夢があった。愛、友情・・・様々な困難に藻掻きつつも、夢を求めて走りつづける主人公の姿を描いた青春サクセスストーリー!』

迫力満点なヴィジュアルと爽快感溢れるBGMと感動的なドラマをありったけぶち込んだ映画を作り、今も尚ハリウッドの興行記録を更新し続けている敏腕プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー。そんな彼が、ハッタリ・プロデューサー:ドン・シンプソンと組んで作った記念すべき第一作目がこの『フラッシュ・ダンス』だ。

カメラマン出身のブラッカイマーは技術的な問題も理解できる「現場型プロデューサー」だった。一方のシンプソンはコンセプトだけ出して、その後の実作業には一切タッチしない「企画型プロデューサー」。一見、対照的に見える二人だが私生活では実に仲が良く、当時はおそろいの双子の美人姉妹を秘書に雇い、おそろいの黒のフェラーリを乗り回していたそうだ。
この映画は「昼間は溶接工として働き、夜はストリッパーとして踊りながら、バレエダンサーを目指す女の子のサクセスストーリー」だ。公開前は全く期待されていなかった映画だが、公開された途端世界中で大ヒット。アイリーン・キャラが歌う主題歌「ホワット・ア・フィーリング」は半年間も全米トップ40をキープし、80年代の映画業界を席巻したのだった。アレックスを演じたジェニファー・ビールスも一躍トップスターの仲間入りを果たした(最近見ないけど何をしてるんだろう?)。
久しぶりに観てみたが、ストーリーはホントにシンプルで大したドラマも捻りもない。そして物語の合間にダンスとミュージックが挿入されるという単純明快な構成になっている。まさに「派手な音楽とヴィジュアルで安いドラマを強引に盛り上げる」というブラッカイマーの手法が既に確立されつつあると言えるだろう。足りないのは爆発シーンぐらいだ(笑)。
これは別に批判しているわけではなく、エンターテイメントの方法論の一つとして極めて有効であると僕は思っている。公開当時は「2時間に引き伸ばされたプロモーション・ビデオだ」などと揶揄された本作だが、それのどこが悪いのか?こういう映画ばかりだと困るが、こういう映画があってもいいと思う。

むしろ最近の、変に話に凝ったブラッカイマー作品よりも、本作やトップガンのように、何も考えずに画面に没頭できる作品の方が(個人的には)好きなぐらいだ。ただし、ほとんど“MTV”として観てますが(笑)。絶え間なく流れ続ける音楽に身を任せるような感覚もなかなか悪くない。落ち込んでいる時に観れば“元気”が出てくる、そんな映画です。