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ニコール・キッドマン『ザ・インタープリター』ネタバレ感想

ザ・インタープリター

■あらすじ『アフリカのマトボ共和国。独裁的な大統領ズワーニが治めるこの国では、民主化を目指す多くの活動家の命が奪われていた。マトボ生まれのシルヴィア・ブルーム(ニコール・キッドマン)は、ニューヨークの国連本部で通訳として働いていた。ある日、彼女はズワーニの暗殺を企てる会話を偶然聞いてしまう。すぐ当局に通報したシルヴィアだが、身辺に不穏な動きを感じるようになり、彼女の安全を守るためシークレット・サービスがつく事になった。しかし、その中の一人トビン・ケラー(ショーン・ペン)は、シルヴィアが“嘘をついている”と直感する。果たして彼女の隠された過去とは何か!?大統領の命を狙う者の正体とは!?「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演女優賞に輝いたニコール・キッドマンと、「ミスティック・リバー」でアカデミー主演男優賞を獲得したショーン・ペン。圧倒的な演技力とスターの魅力を併せ持った最高の2人が初共演!巨匠シドニー・ポラックが贈る、愛と感動のポリティカル・サスペンス!』



全く何の予備知識も無しで観に行ったのですが、予想以上に面白かったです。何と言ってもニコール・キッドマンの美しいこと!180センチ近い長身と見事なプロポーションでありながらあまりエロさを感じさせないのは、独特の知性的なオーラが漂っているからでしょうか。まさにパーフェクトな美人女優!さすが、トム・クルーズと離婚した時に「これでやっとハイヒールが履けるわ」という名言を残しただけのことはあります。

一方のショーン・ペンは、いまや「泣く子も黙る」演技派俳優としてその名をハリウッド中に轟かせているほどの超大物。今回も圧倒的な存在感で、観る者の心を捕らえて放しません。この二人の演技合戦が、本作の最大の見所と言えるでしょう。

中でも僕の心に残ったのは、二人が椅子に座り、ショーン・ペンが彼女に送られた手紙を彼女の代わりに読むシーンです。二人の心の痛みが伝わってくるような、悲しいけれど実にいいシーンだと思いました。ショーン・ペン、本当に上手いなあ。

ただし内容は「政治的要素が絡んだサスペンス」という事で、観客にある程度の理解力を要求しています。一言で言えば「ちょっと難しい映画」。まず、登場人物が多いので人間関係を把握するのに苦労しました。特に敵対する組織の関係がイマイチ解り難く、途中から誰が敵で誰が味方なのか良く分からなくなる始末。

そしてクライマックスは大統領暗殺を阻止できるのかどうか、という「ハラハラドキドキ」のスタンダードな盛り上げ方ですが、問題はその長さ。大統領が危険にさらされてから事件が解決するまでの間、物凄い長時間にわたって緊張感が持続します。クライマックスのテンションをこれだけ長く引っ張った映画は、ちょっと記憶にありません。観終わった後はドッと疲れました。

さらにこの映画、一見良く出来ているように見えますが、実は所々に「ん?」と思うようなシーンが出てくるのです。以下、気になった点や疑問点を書いてみます。ネタバレしているので、映画を観ていない人はご注意下さい。



そもそもシルヴィアが犯人に狙われる理由があまり無い
シルヴィアが大統領暗殺計画を聞いた後、すぐに当局に連絡している。という事は、その後彼女を殺しても犯人にメリットは(あまり)無いのでは?おまけに、留守中に彼女の部屋に忍び込んでお面を盗んでおきながら、わざわざ外に出て窓から脅かすという全く意味不明の行動を取っている。いったい何をやりたかったのだろうか?


通訳という設定が生かされていない
彼女は語学に堪能な為、“クー語”で話されていた暗殺計画に気付く事が出来た。しかし、そのスキルはそれ以降のドラマで生かされる事は無い。せっかく面白い設定なのにもったいないなあ。


初めて国連本部が映画の撮影に使用されたそうだが、あまり効果的な使い方をしていない
国連本部に詳しい人が観たら「凄い!」と思うのかもしれないが、正直それほどのモノでは…


意外とシークレット・サービスが間抜けに見える
素人のシルヴィアにあっさり尾行を撒かれたり、タクシー代わりに利用されたり、「本当にプロか?」と呆れるような描写が続出。


真犯人の正体がバレバレ
もう、あからさまに怪しい人が出てくるので、「まさかこの人じゃ…?」と思っていたら本当にその人だった。もう少しひねって欲しかった。


普通に観ていたら、早い段階でお兄さんが死んでいる事は分かると思う
メールを出したり、電話を掛けたり、色々引っ張ろうとしているが、大抵の人は冒頭のシーンで既に気付いているハズ。あそこまで引っ張るのはちょっと無理があるぞ。


シルヴィアは最終的に「ああゆう展開になる」という事をあらかじめ予測していたのか?
なぜ、どうやってあの場所に隠れていたのか?事前に展開が分かっていなければ不可能なハズ。大統領のそばにシークレット・サービスが一人もいないのも不自然。


ショーン・ペンニコール・キッドマンが二人同時に映っているシーンでは、必ずどちらかが(あるいは両方が)何かに座っている
これはトム・クルーズと同じく、身長差を目立たせないための苦肉の策だろうか?特にラストのショーン・ペンの、不自然な座り方がどうにも気になった。



あと、個人的に疑問に思ったのが、シークレット・サービスの仕事ぶりです。僕のイメージではシークレット・サービスの仕事とは主に「要人警護」であり、VIPを危険から守る事だと思っていました。しかし、この映画のシークレット・サービスは、通訳の女性を尋問したり、泥棒に入られた部屋の証拠品を鑑識に回したり、容疑者と思われる人物を尾行したり、一般市民(シルヴィア)を24時間監視したり、びっくりするほど広範囲にわたって働いています。

でも、それって警察やFBIの仕事じゃないの?一応、警察とFBIも独自に動いていたようですが、お互いの仕事のテリトリーがどこからどこまでなのかがよく分かりませんでした(まあ、実際にこのような仕事をしているのかもしれないが、人が死んでもシークレット・サービスが捜査を続けるのだろうか?働き過ぎだ)。

以上、思いつくままに気になった点を挙げてみましたが、この映画はそういった脚本的に弱い部分を、俳優の演技力でうまくカバーしているように感じます。多少無理がある展開でも、役者のテンションで強引に乗り切ろうとしているので、総合的に「結構面白い」と感じられる映画に仕上がっているのだと思いました。

ちなみに、監督のシドニー・ポラック自身がショーン・ペンの上司役で出演しています(しかもかなり目立ってる)。M・ナイト・シャマラン並みの出たがり度ですね(笑)。

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ニコール・キッドマン主演のサスペンス・アクションとして非常にオススメ!