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映画『宇宙からのメッセージ』感想/制作秘話

宇宙からのメッセージ

■あらすじ『ガバナス帝国の侵略を受けた惑星ジルーシアの王女エメラリーダ(志穂美悦子)は、伝説の“リアベの実”によって選ばれる8人の戦士を探す旅に出た。ガバナス帝国から攻撃されている所を、シロー(真田広之)に救われる。彼こそ、伝説の8剣士の一人だった!』



1977年5月25日に公開されアメリカで大ヒットした『スター・ウォーズ』は、翌1978年6月に日本公開されたが、その間、人気に便乗した日本のSF映画も数多く登場した。その代表例が1977年12月に公開された東宝『惑星大戦争と、翌年4月に公開された東映宇宙からのメッセージだった。

本作は、史上空前の『スター・ウォーズ』ブームに乗っかった東映が、製作費10億円を投じて作り上げた和製スペース・オペラである。しかし、出来上がったモノはどう見ても“宇宙チャンバラ任侠映画であった。

南総里見八犬伝」の物語をSFに置き換えるというムチャな発想で作られた本作は、キャラクター原案を故・石ノ森章太郎が担当している。その為、リアベの勇士に与えられた性格付けが『サイボーグ009』みたいになっているのだ。

そして監督はあの深作欣二である。公開当時のインタビューでは、「俺は『スター・ウォーズ』を観た事は一度も無い!」と堂々と言い放ち、映画業界関係者を震撼させたそうだ(でも案外本当だったりするんだよなあ)。

また、演じている俳優が当時の「実録ヤクザ路線」とか「時代劇」の顔ぶればかりなので、これがスペース・オペラだと言われても俄かには信じられないところがツライ。悪の皇帝ロクセイアに扮しているのが成田三樹夫という時点で、もはやスペ・オペなんぞどこ吹く風という感じだ。

大規模なセットを建設する為、東京ではなく東映京都撮影所が選ばれたが、相変わらずセットが大雑把だったり、ミニチュアを吊るしているピアノ線が丸見えだったりと、特撮描写に見るべき点は何も無い。見せ場のハズの「宇宙船同士のドッグファイト・シーン」も、びっくりするほどスピード感は皆無。

“素潜り並の軽装備”で宇宙遊泳する真田広之の姿に至っては、SF映画史に残る珍シーンとしていまだに語り草となっているほどだ。しかし「そもそも和製スペ・オペとは時代劇なのだ!」という製作者側の堂々たる勘違いぶりが、逆に清々しい怪作であると言えなくもない。

唯一の見所となっている宇宙船のミニチュアは、全部で70個以上も作られた。さらに、帆船、リアベ号、アロン号、シロー号は実物大の巨大な模型が制作されたのだ。特に帆船の模型は、長さ40メートル、マストの高さ23メートル、マストの直径3メートルという前代未聞のでかさだった。

この船の製作費は2200万円で、これを作る為に京都中の大工さんが集められたそうだ。おかげで京都では一ヶ月の間家が建たなかった、という逸話まで残っている。

また、普通の日本映画の場合、カット数はだいたい400から600カットぐらいとされている。ところがこの映画の場合、1300カットと異常にカット数が多い。そこで、問題はその撮影期間である。本来なら普通の映画の3倍以上かかって然るべきだが、実際はたったの50日で完成させているのだ。

なんせ、本物の『スター・ウォーズ』が公開される前に、何としてでも先に公開しなければならないのだからスタッフも必死である。もちろんこの間、不眠不休の24時間体制で全員働きっぱなしだったが、映画の規模やカット数からみても、撮影期間が最も短い映画と考えて間違いないだろう。

しかし、もっと凄いのは『スター・ウォーズ』公開からわずか半年後に公開された『惑星大戦争』である。「タイトルまで丸パクリ」という身も蓋もない開き直りぶりに対して、コメントする事はもはや何も無い。聞くところによると、映画の大部分で東宝のライブ・フィルムをそのまんま使い回しているという凄まじさらしい。

僕は観た事が無いので何とも言えないが、とんでもない映画である事だけは間違いないようだ。さらに未確認情報として、遠く離れたインドでも『スター・ウォーズ』をパクった映画が作られていたらしい。これまた、目まいがするほど強烈な内容だと聞いている。誰か観た人、いませんかw?