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映画『阿修羅城の瞳』ネタバレ感想

阿修羅城の瞳

■あらすじ『文化文政の江戸。かつて、人を食らう鬼を斬る「鬼御門」の副長だった病葉出門(市川染五郎)は、今は江戸随一の人気を誇る舞台役者として活躍していた。ある日出門は、江戸を賑わす盗賊団の一員、つばき(宮沢りえ)と出会う。強く惹かれあう2人だが、その時つばきの肩に謎のアザが浮かび出た。同じ頃、鬼を率いる謎の尼僧・美惨(樋口可南子)は、つばきのアザを鬼の王・阿修羅の復活と見て取り、阿修羅の力に魅せられ道を外れた鬼御門、邪空(渡部篤郎)を送り込む。二人の悲しき恋の果てにあるものは、滅びか、それとも救いなのか!?“鬼”と“鬼殺し”の宿命の愛が今、壮大な映像美と最新VFXで鮮やかに甦る!これぞ豪華絢爛エンターテイメント時代劇!』



あまり評判がよろしくない映画なので「どーしよーかなー」と思っていたのですが、観てみたら意外と面白かったです(でもかなり微妙)。原作は、松竹と劇団☆新感線が作った舞台劇で演劇界ではかなり有名作品だそうですが、僕は観た事はありません。

しかし、まさに「舞台劇を映画にしたらこうなる」という見本のような映画でした。やたら芝居がかったセリフ回しや、大げさなBGM、舞台装置をワザと強調するようなカット割や場面転換など、いちいち“演劇”であることを意識させる描写の数々は、確かに好き嫌いが分かれると思います(「いかにもセット」という感じの背景美術もワザとなのか?)。

でも、本作みたいに荒唐無稽な物語を実写化するならば、いっその事これぐらい“演劇”っぽくやった方が逆に「世界に入り込めるかな」とも思いました。だって、どう考えても“リアルな時代劇”じゃないもんね(笑)。

冒頭シーンはなかなかのカッコ良さです。江戸の街にはびこる鬼どもを退治する為に、幕府は「鬼御門」を結成。“鬼殺し”の異名を取る主人公は、押し寄せる鬼どもを次から次へとぶった斬る!刀で斬られるたびに、ハデに緑の血をドバーッ!と噴出して絶命する鬼。

要するに「鬼御門」=「ヴァンパイア・ハンター」というわけで、まさに“江戸時代版ブレイドですね。チャンバラ・アクションもワイヤー・ワークもCG効果も、それなりにスタイリッシュでカッコいい!

また、キャラクターも個性的な俳優が勢ぞろいで楽しめました。市川染五郎宮沢りえ樋口可南子内藤剛志小日向文世渡部篤郎など大変豪華なキャスティングです。特に、独自の演技で観る者を引き付ける小日向文世コメディリリーフぶりがグッド(笑)。

逆に欠点は「テンポが悪い」という事でしょうか。どうも、演劇の“間の取り方”をそのまま映画に持ち込んでいるような気がして、2時間がやけに長く感じました。もっと間を詰めれば“映画的”になると思いますが、それだと逆に“演劇的”テイストが失われてしまうので難しいところかもしれません。

また、宮沢りえ演じる“つばき”のキャラクターの背景が良く分からない点も気になりました。主人公が初めて彼女と出会った時は、黒装束に身を包んだ怪しい女だったのに、後半はそんな設定など全然関係無くなっています。彼女が阿修羅王になる設定なども、ちょっと複雑で分かり難かったですね。

同様に主人公:病葉出門も、どの程度の能力を持っているのか良く分かりません。“妖術”を使えるみたいだけど、それって“運命の赤い糸”だけなの?あんまり役に立っているとは思えないんだけど(笑)。この辺の設定については、もう少しシンプルにして欲しかったところですね。

その他、VFXがショボいとか、渡部篤郎の演技がいつも通りだとか色々問題(?)はありますが、総合的にみて“腹が立つほど酷くは無い”と思いました(全然誉めてないなコレw)。

特にクライマックスの“阿修羅城の戦闘シーン”はなかなか凝った映像で楽しませてくれます。昔、デヴィッド・ボウイが出演した『ラビリンス』というファンタジー映画を思い出しました(古い!誰も知らないだろうなあw)。

それにしても宮沢りえ、あそこまで“濡れ場”を演じておきながら、最後まで着物を着たままとはけしからん!いや、別に裸を見たいわけではなくて(多少はありますがw)話の流れ上、あまりにも不自然だと思うんですよねえ。

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