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『ナショナル・トレジャー』ネタバレ映画感想

ナショナル・トレジャー

■あらすじ『幾多の戦乱を逃れ、フリーメーソンに守られてきた伝説の秘宝は、1779年、独立戦争中のアメリカで忽然と痕跡を絶った。秘宝の行方を三代に渡って追い続けてきたゲイツ家の末裔ベン・ゲイツニコラス・ケイジ)は、その封印を解く鍵がアメリカ独立宣言書にあることを突き止める。ゲイツ公文書館の美人博士アビゲイルに面会を求めるが、彼女はゲイツの情報を信じようとしない。その頃、秘宝を我が物にしようと企む野心家イアン(ショーン・ビーン)の魔手が宣言書に迫っていた。ゲイツはイアンの裏をかき、秘宝を手に入れる事ができるのか?伝説の秘宝を追って、夢一杯のアドベンチャーが展開する!』



ジェリー・ブラッカイマーニコラス・ケイジの黄金コンビと聞いて、『ザ・ロック』や『コン・エアー』のようなアクション映画を想像していたら全然違ってた。一言で言えば「普通に面白い映画」であり、真っ当な“ファミリー・アドベンチャー”なのである。

僕の中では今までの“ブラッカイマー映画”といえば、ドッカンドッカンと常に何かが爆発し、ビルや車が派手にぶっ壊れ、凄まじい銃撃戦で人がゴミのように死にまくり、バックにはかっこいい音楽が流れっぱなしという印象しかなかった(一部誇張アリ)。

ところが、驚くべき事に本作では人が全く死なないのである(厳密に言えば、高所から落下する人間が約一名いるのだが、死ぬ瞬間の描写が無いので)。さらに銃撃戦やカーチェイスもびっくりするほど控え目で、あっという間に終わってしまう(なにしろアクションシーンで主人公が銃を使わないという、従来のブラッカイマー映画では考えられないシチュエーションなのだから当然だ!)。

挙句の果てには、トレードマークの大爆発シーンさえも冒頭の一回のみという驚異的な少なさなのだ。どーしたブラッカイマー!一体何があったんだ!?と思ったら、製作にディズニーが絡んでいる事に気付いた。なるほど、緩めのアクションはそのせいか。道理で、この手の映画に有りがちなラブシーンも無いわけだ。お子様でも安心して楽しめる“冒険活劇”に仕上がっている。

しかし、決して「派手なシーンが減ったからつまらなくなった」というわけでは無い。本作は、純粋にストーリーの面白さで物語を引っ張る映画となっているのだ。とにかくメチャクチャにテンポが早い!発見した手掛かりから暗号を見つけ出し、その暗号から“独立宣言書”に隠された秘密を解き明かすまでわずか5分足らずというスピーディさ!

その宣言書を盗み出す場面でも、主人公と敵とを交互に描写し、素早いカット割りで最高に緊張感を盛り上げている。さらに次々と謎を解き明かし、手掛かりを元に世界の名所を飛び回る展開は(ご都合主義と言われようとも)観ていて単純に気持ちがいいのだ(初期のドラクエを思い出してしまった)。

ただし、あまりにもテンポ良く話が進み過ぎて、観終わった後に強く印象に残るものが無いのも事実だろう(ちなみに「指についた蛍光塗料を利用してパスワードを盗む」という方法は面白かったが、その前に手を洗われたらどうするんだろう?もし洗っても落ちない塗料だとしたら、キーボードにも付着しないのでは?)。

また、ショーン・ビーンが演じる悪役キャラに、あまりインパクトが無い点も気にかかる。そもそも、彼と主人公は同じ目的で一緒に仕事をしてきた仲間であり、たまたま「独立宣言書を盗むなんてとんでもない!」という理由で仲違いしてしまっただけなのだ。

ところが、その後主人公はあっさり自分の意見を撤回して”宣言書ドロボー”をやらかしてしまう。つまり、やってる事は完全にショーン・ビーンと同じなのである。これでは、ショーン・ビーンだけを“悪者”とは呼べないんじゃないだろうか?

その後のショーン・ビーンも「盗まれた宣言書を追い掛け回す」という、よく考えれば当たり前の行動しかしていない(誰も殺してないし)。悪役どころか、むしろ結構いいヤツなんじゃないか?とさえ思えてきてしまうのだ。この為、「最後に極悪非道な敵をやっつけてハッピーエンド」という冒険活劇のカタルシスが少なくなっているのが、ちょっと惜しい。ただ、それを補っても尚余りある“エンターテイメント性”の高さには捨てがたい魅力があり、”そこそこ良く出来たアドベンチャー”と言えるだろう。