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清水崇監督作品『呪怨』ネタバレ映画感想

呪怨

■あらすじ『老人介護のボランティアで訪れた郊外の一軒家で女子大生:仁科理佳(奥菜恵)が見た黒い影、屋根裏でうごめく女の霊、振り返ると立っている白い顔の子供。それらは関係する者を戦慄の暗黒世界へと引きずり込んで行く。清水崇監督による心霊実話テイストのオリジナルホラービデオの劇場版』



近年のホラーブームに乗っかって製作された2本のオリジナルビデオがまさかの大ヒット。「本当に怖い!」と評判が広がり、ついに劇場版が作られてしまった。挙句の果てにはサム・ライミのプロデュースによってハリウッド版まで製作され、全米ナンバー1の快挙を成し遂げたジャパニーズ・ホラーの決定版である。

先駆的作品としては『リング』の方が早いが、アメリカ版『呪怨』は日本人監督が、日本人のスタッフを使って、日本で撮影された初めてのハリウッド映画という意味において、まさに画期的な映画なのだ。

ちなみにアメリカでは現在『リング2』のハリウッド版が公開され、これまた初登場ナンバー1に輝いているそうで、ジャパニーズ・ホラーの勢いは当分衰えそうに無いだろう。

本作はそんな『呪怨』のオリジナル劇場版であるが、僕はいまだにビデオ版もハリウッド版も見ていない。正直「マジで怖い!」という噂を聞いてビビっていたのである。ところが、実際に見てみると想像していたよりは怖くなかったのだ(ホラー映画には違いないけど、怖がりの僕がそれほど怖がらなかった、という意味において)。その理由は何なのか?

まず第一に“ストーリーが分かりにくい”という事が挙げられる。本作は個々のエピソードを分割し、時間軸をバラバラにして再構成している為に、物語の全体像が良く見えないのだ。しかもその作劇方によって映画が面白くなっているかといえば、とてもそうとは思えない。普通につないだ方が良かったんじゃないの?

第二に“幽霊が見えすぎる”、という事だ。押入れのシーンとかトイレのシーンとか、個々に見ればドキっとする場面もいくつかあるが、それらは総じて“何かが出る前”のシチュエーションが怖いのであって、いざ“何かが出てしまった後”は何だか拍子抜けしてしまう。

足元に白塗りの子供が急に立っていたら確かにびっくりはするかもしれないが、視覚的に恐怖感が伝わってこない。パンツ一丁の子供がウロウロしている様は、コントを見ているみたいで笑いと紙一重だ。クライマックスの“女子高生のゾンビ軍団”が襲ってくる場面も、“怖いんだけど何だか可笑しい”という不思議な雰囲気を醸し出している。

清水監督は「従来の幽霊モノとの差別化を図る為に、意図的に幽霊をはっきり見せるようにした」と語っているが、怖さの対象がはっきり見えすぎて逆に怖くなくなっているような気がする。

『リング』のように極力見せないようにするか、あるいはアメリカ映画のように派手なショックシーンをガンガンぶち込むか、どちらかの手法に徹するべきだったのではないだろうか?ちょっと中途半端な感じがしたのが残念だ。

ハリウッド版はこの映画を忠実にリメイクしたものと聞いている。という事は、そんなに怖くないんじゃないの?噂によるとビデオ版の一作目が一番怖いらしいけど、ホントかな〜?