ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

『ブラザーフッド』映画感想

ブラザーフッド

■あらすじ『1950年、ソウル。ジンテ(チャン・ドンゴン)とジンソク(ウォンビン)の兄弟は、母親を支えながらジンテの婚約者ヨンシン(イ・ウンジュ)とその弟妹も一緒に、貧しいながらも家族で仲睦まじく暮らしていた。ところが、6月25日の朝鮮戦争勃発で、何の準備もないまま兄弟は揃って徴兵されてしまう。自分を犠牲にしてでも高校生の弟ジンソクを守り、その将来に夢を託していた兄ジンテは、戦場で手柄を立てて太極勲章を授与されれば、弟の除隊を認めるという上官の言葉を信じ、いつしか命知らずの戦士へと変貌して行く。』



韓国映画では「反共」という政治的プロパガンダで語られることの多かった朝鮮戦争を、人間ドラマとして、そして戦記スペクタクルとして捉えた画期的な作品。とにかく凄い!凄すぎる映画だ!!!オープニングからいきなり、「さあ泣かせてやるぜ!」と言わんばかりの製作者の意気込みがビシバシ伝わってきて、一瞬たりとも気が抜けない。

本作を一言で表現すれば恐ろしく「過剰」な映画と言えるだろう。VFXも演出も役者の演技も、とにかく全てにおいて表現が過剰なのだ。

特に戦闘シーンにおける圧倒的なリアリズムとスケール感は筆舌に尽くし難く、明らかに『プライベート・ライアン』の影響を受けたと思われる凄絶なヴィジュアルは史上空前のド迫力!

しかもストーリーが進むにつれてどんどんテンションは上がっていき、クライマックスに至ってはまさに前人未到の大スペクタクル戦争ドラマへと昇華するのである。

飛び交う銃弾の嵐の中を、兄を捜して弟が必至に駆け抜ける!弟の名を叫びながら激しく地面に倒れる兄!それら阿鼻叫喚の戦場を、カメラがスローモーションで克明に映し出す!そしてバックにはフルオーケストラの壮大なBGMが大音響で鳴り響く!まさに「これでもくらえ!」と言わんばかりの、“感動的シチュエーション”の波状攻撃だッ!

はっきり言ってこの辺になってくるとストーリーもリアリティもほぼ崩壊しているのだが、そんな事などもはやどうでもいいと思わせるぐらい、ドラマがヒートアップしまくっている。まさに溢れんばかりの兄弟愛!

監督はアクション超大作『シュリ』を引っさげて、日本映画界に殴り込みをかけてきたカン・ジェギュである。『シュリ』で確立した「泣かせる演出」の方法論を、韓国映画史上最大の制作費をつぎ込んでとことんスケールアップさせた映画がこの『ブラザーフッド』なのだ!

熱く、そしてクサいほど過剰な韓国式ドラマは、本作で一つの頂点に達したと言っても過言ではない。確かに戦争映画としての完成度は、『プライベート・ライアン』の方が上だろう。

しかしエンターテイメントとしての面白さは、決して負けてはいない。いや、むしろ本作の方が100倍泣ける映画に仕上がっていると思う。つーか、ここまでされたら泣くしかないだろ!