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『花嫁はギャングスター』映画感想

花嫁はギャングスター

■あらすじ『「たった一人で50人の敵を倒した」という武勇伝を持つ女組長のウンジン(シン・ウンギョン)。彼女はある日ずっと探していた生き別れの姉をようやく探し当てるが、姉は末期ガンでもう助からない状態だった。ウンジンは姉に「生きている間に花嫁姿を見せて」と頼まれ、すぐにお見合いをするが、かわいらしく振る舞えずことごとく失敗。そこでモテないけれど真面目な公務員のスイルに白羽の矢を立て、どうにか結婚に持ち込んだものの、新婚生活は大変な事に!『猟奇的な彼女』を越える韓国映画史上空前の大ヒットとなった、ヒロイック・アクションの決定版!』



アメリカのミラマックス社が、韓国映画では歴代最高額の110万ドルでリメイク権を獲得した事でも注目を集めた本作。最大の見どころはやはり、主役を演じたシン・ウンギョンである。体当たりで臨んだハードなアクション、傍若無人な乱暴者が姉だけに見せる優しい表情など、彼女の持ち味である中性的な魅力が最大限に活かされたまさにハマリ役だ。

特にアクションに関しては、殺陣の段取りやカット割りや編集のタイミングに至るまで、香港映画の戦闘シーンを相当研究し尽くしていると思われ、ワイヤーワークもスタントも非常にレベルが高く、実に見事なアクションに仕上がっているのだ。

中でもオープニングの“土砂降りの雨の中で繰り広げられるカンフー・アクション”が(どこかで観た事あるけど)猛烈にかっこよくて大満足。

本作は一見奇想天外な話ではあるものの、映画の中では結構良くある設定だ。邦画では『セーラー服と機関銃』や『二代目はクリスチャン』などが同じ系列(?)にあたるだろう。女子高生がヤクザになったり、シスターがヤクザになったりする事によって生じるギャップを笑いに転化している、「カルチャー・ギャップ・コメディ」の一種なのだ。

ただし本作では“花嫁がヤクザになる”のではなく、“ヤクザが花嫁になる”という点において他の2作とは大きく異なっている。基本的には「任侠映画」なのだ。

だが残念な事に、笑えるシーンがやや少ない。姉とのドラマや組同士の抗争など、シリアスな話の方が全面に出ている為に、全体的に結構重たい話になっているのだ。

初めて化粧してお見合いしたり、初めてセックスして子作りに励んだりと、一応カルチャー・ショック的ベタな笑いが展開されるのだが、もっと笑えるシーンを増やしても良かったと思う。

またストーリー展開が盛り上がりに欠けるのも、「惜しい!」と言わざるを得ない。物語の途中で何人か人が死ぬ時も、ドラマチックさが足りないような気がするのだ。いつもの「クドいぐらいに盛り上げる」韓国映画独特の演出を期待していると、肩透かしを食らうかもしれない(意外と普通の演出になってる)。

ちなみに続編では「主人公はある事件で全ての記憶を無くし、違う場所で平和な生活を送る事になるが、ある日敵対する組織に見つかり再び戦いに巻き込まれていく」という話になっているらしい。ん?それって『ロング・キス・グッドナイト』(レニー・ハーリン監督の傑作アクション超大作)じゃないの!?