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『ジーパーズ・クリーパーズ』感想

ジーパーズ・クリーパーズ

■あらすじ『姉のトリッシュ(ジーナ・フィリップス)と弟のダリー(ジャスティン・ロング)が、春休みに車で実家に帰る途中、猛スピードで走る無気味なトラックに追撃される。この辺りでは、23年に一度の23日間、大量の行方不明者が出るという都市伝説があることを二人は知らなかった。協会の前まで車で来ると、さっきのトラックが止まっている。すると、黒い影のような大男が血の染み付いた布に包んだ何かを、廃水用のパイプに落とすところを目撃する。大男は二人に気付くが、トラックで走り去る。二人は好奇心にかられ、廃水用のパイプを覗きに行く。すると地下室の壁や天井一面には、おびただしい数の死体がコレクションのように放置されていた!』



オープニング直後、いきなり主人公たちの車が謎の暴走トラックに襲われる!スティーブン・スピルバーグの『激突!』を思わせるような、スリリングかつ迫力満点の導入部に思わず目が釘付けになった!そして謎の大男の隠れ家へ潜入すると、辺り一面死体の山!

まさに『悪魔のいけにえ』を彷彿とさせるような、70年代風ホラー映画的展開によって一気に期待は高まるものの、それがこの映画のピークだった。大男の正体が判明した途端、凄まじい勢いで緊迫感が盛り下がっていく。てっきりサスペンス・スリラーかと思いきや、突如としてモンスター・アクションへと変貌を遂げるのだ。

いくらなんでも前半と後半でテイストが違い過ぎじゃあないか?確かに意表を突かれるが、少し意表を突き過ぎであろう。あまりにも凄まじい変わりように「前半と後半は別々の監督が撮影した」という噂が流れたほどだ(もちろんガセネタ)。謎が一切解明されないまま、唐突に終わるエンディングにも納得がいかない。と思ったらどうやら続編があるらしい。中途半端な終わり方はその為か?でもあまり見たくないなあ。

「ストーリーの途中でいきなり話が変わる映画」と言えば、ロバート・ロドリゲス監督の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を思い出す。当時、何も知らずに映画館で観た僕は“クライム・アクションが一転してヴァンパイア・ホラーに変わる”という衝撃的な展開を目の当たりにして、思わず座席からずり落ちそうになった。意外な展開にもほどがある。

脚本を書いたのはクエンティン・タランティーノだが、全く別の2つの物語を強引にくっつけたかのような力技的ストーリーに、一緒に観に行った友人は頭を抱えていた。

しかしこの映画の凄いところは、前半からとんでもないテンションで飛ばしまくり、後半に突入してからはもっと凄まじい勢いでどんどんドラマが加速していく点である。

中でも特筆すべきはクエンティン・タランティーノの常軌を逸した怪演だ。自分の手に開いた穴をガムテープで塞ぎ、サルマ・ハエックの脚をいやらしく舐め回す変態男を嬉々として演じる彼の姿は、とても演技とは思えないほどの迫力に満ちている。

つーか、これがやりたくて脚本を書いたんじゃねえのか?と疑惑の念すら湧くほどの本気ぶりには、開いた口が塞がらない。しかし全編を貫くハイテンションがハンパじゃないので、最後まで飽きる事が無いのである。意外と面白いです。