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『トゥルーライズ』感想

トゥルーライズ

医者から“とりあえず”処方された薬を飲んだら、何だか腹痛が治ってしまったような気がする。むう、こんな“とりあえず”な診療で治ってしまうとは・・・。ちょっとクヤシイ。



■あらすじ『ハリー・タスカー(アーノルド・シュワルツェネッガー)は核テロリズムを扱う政府の最高機密機関のスペシャル・エージェントだ。原子力物理学の博士号を修得し、あらゆるハイテク武器の扱いを身に付けている超エリート諜報員だが、表向きはコンピューターのセールスマンと偽っている。家では不器用でうまく立ち回れないダメ亭主に妻は倦怠を感じ、年頃の娘も言う事を聞いてくれない。だがある日、核ミサイルで武装したテロ集団に愛する妻がさらわれてしまった。国家と家族を救うべく、ハリーは自らの肉体を駆使して究極ギリギリの壮絶なる戦いを繰り広げる!傑作「ターミネーター」のキャメロン&シュワルツェネッガーの名コンビが再び放った、スーパー・エンターテイメント大作!』



本作は“007”に代表される、いわゆる「スパイ映画」である。しかもジェームズ・キャメロンが1億2000万ドルかけて製作しただけあって、爆発や銃撃シーンが満載のアクション超大作に仕上がっている。

だが最大の特徴は本作が“コメディ”だという点なのだ。シュワルツェネッガージェイミー・リー・カーティスが、真剣な顔で次々と爆笑コントを演じる。それだけでも大笑いなのだが、一番のコメディ・リリーフはテロリスト役のアート・マリクだ。

恐ろしい敵のボスでありながらも、ドリフのコントを髣髴とさせる絶妙なギャグ・シーンの数々に笑いが止まらない。中でも抱腹絶倒はクライマックス、核ミサイルを起爆させるキーが無くなっている事に気付き、思わず“二度見”するあのシーン!まさに志村けんにも匹敵する、見事な芸人リアクションであると言わざるを得ない。最高!

そしてアクション・シーンで特筆すべきは、マイアミ上空を縦横無尽に飛び回るハリアーの活躍場面だろう。ハリアーは英国BAE社が開発したV/STOL機である。

これは垂直離着陸が可能な上、空中停止(ホバリング)出来るジェット戦闘機なのだ。米国マクダネルダグラス社はBAE社と提携し、独自にハリアーを発展させたAV-8Bを生み出し、米海兵隊に採用された。

本作では米海兵隊の協力を得て、キー・ウェストの海兵隊VMA-223ハリアー部隊から三機を借り受け映画に出演させた。だがハリアーを借りる為に製作陣は大きな負担を被るハメになってしまった。

乗員の安全を保障するという条件でハリアー自体のレンタル料はタダ。しかし燃料代が一時間につき15000ドルもかかってしまう上に、地面が熱で溶けるのを防ぐ為の着陸パッドの製作などで、ハリアー関係の費用は50万ドル以上になったのだ。

またクライマックスの戦闘シーンは、当初はミニチュア・モデルとCGで何とかならないか検討したが、“不可能”という事が判明。実現する唯一の方法は「実物大のハリアーの模型を作るしかない」という結論に達した。

そこでVFX担当のドナルド・ペニングトンはアリゾナ州ユマにある海兵隊の飛行場を訪ね、本物のAV-8Bハリアーからファイバー・グラス製のモールドを作る作業に取り掛かった。しかし一機2370万ドルという高価な機体に「いかなるダメージも与えてはならない」と厳しく注意を受けたそうだ。

またドナルドはさらなるリアリティの追及の為、ノースキャロライナ州海兵隊の倉庫から、払い下げになったコックピットやキャノピーなど本物の部品をもらってきてハリアーの模型に組み込んだ。この模型の製作には全部で13週間を要し、最終的なモデル機の重量は約7000ポンドにもなったらしい。

こうして完成した巨大な模型はマイアミに運ばれ高層ビルの屋上へ設置されたが、建設用クレーンを使用するなど、セッティングにも大変な費用がかかったようである。とはいえフォークランド紛争湾岸戦争で活躍した本物のハリアーを劇場映画に初めて登場させたことに、監督のジェームズ・キャメロンは大満足だったそうだ。