ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

『マスター・アンド・コマンダー』映画感想

マスター・アンド・コマンダー

朝起きたら、何だかお腹が痛い。下痢をしているというわけではなく、右下腹部の辺りが妙に痛いのだ。しばらくほうっておいたが直る気配がないので、しかたなく近所の病院へ行くことにした。待合室で5歳ぐらいの子供に何故かなつかれ、迷惑な事この上ない。しばらくして名前を呼ばれ、診察室へ入る。ここの先生には今まで何度も診てもらっているが、いつも異常に診察時間が短い。大抵2分以内に終わってしまうのだ。それはいいのだが、風邪の時と腹痛の時の診察方法が全く一緒というのはいかがなものか?診断結果を聞くと「う〜ん、良く分かりませんがとりあえず薬を出しておきます」と非常に頼りになる回答を頂く。“とりあえず”ってアンタ・・・。



■あらすじ『1805年、英国海軍サプライズ号は、祖国を遠く離れた海上でフランスのアケロン号と対峙していた。数々の英国船を沈めてきた敵船に怯え、異様な緊迫に包まれる船内。そこにはあどけない少年士官の顔も見られた。だが彼らにはジャック・オーブリー(ラッセル・クロウ)船長の存在があった。船員たちが“幸運のジャック”と慕う彼は、幾多の苦境を乗り越えてきた百戦錬磨。12歳の士官候補生ブレイクニーも、船長の勇姿を眩しそうに見つめる。そんなある夜、サプライズ号は霧の中から現れたアケロン号の奇襲を受け、ブレイクニーも右腕を失ってしまう。四方を海に囲まれた船という限定空間に、名匠ピーター・ウィアー監督の木目細かな心理描写が臨場感を与え、格調高い人間ドラマが表出する。パワーと美しさを両立させた、海洋アドベンチャー・ムービーの最高峰!』



本作は日本公開前から前代未聞のトラブルに見舞われた珍しい映画である。きっかけは熱心なラッセル・クロウ・ファンによるネット発言だった。海外で本作を見たこのファンは、日本で流れている予告編とその内容があまりにもかけ離れていると指摘。「宣伝の許容範囲を超えた歪曲だ!」と抗議の声を上げたのだ。

その疑惑の予告編では、本来は脇役であるはずの美少年士官候補生:ブレイクニー君(マックス・パーキス)が、主演のラッセル・クロウを差し置いてなぜか大フィーチャーされている。さらに「あなたは教えてくれた、愛する人の為に一人の戦士となる事を」といった、ヤオイ系萌えのオタク少女が即死するような素晴らしいコピーまでプラスされており、確かに映画の内容と著しく食い違っていると言わざるを得ない。

怒り心頭のラッセル・クロウ・ファンたちは、原作者パトリック・オブライエンのマニアや、映画オタクを巻き込んで大規模な抗議活動をネット上で開始した。配給宣伝元であるブエナビスタ・ジャパンに抗議するのはもちろんの事、その矛先はウォルト・ディズニー・ジャパン、さらには製作元の20世紀フォックスにまで及んだ。

挙句の果てには監督のピーター・ウィアーや主演のラッセル・クロウにも事情を説明する文章を送り、とうとうJARO日本広告審査機構)に審査請求書を提出。苦情を受け付けたJAROが調査に乗り出すといった前代未聞の大騒動にまで発展したのである。最終的にこの問題がどのように決着したのか定かでないが、当時予告編を見て劇場へ行った人の多くがその内容との激しいギャップに愕然としたようだ。

そんなドタバタ劇はさておき、映画自体はかなりの完成度である。特筆すべきは帆艦バトルと海上生活のディテールの細かさだろう。中でも戦闘シーンの迫力は圧倒的で、飛び交う専門用語に飛び散る肉片、飛散した血で滑らないように砂を撒く、などの細かいシチュエーションから一斉砲弾攻撃における空前絶後の大スペクタクル・シーンに至るまで、従来の同ジャンルでは到底得られなかったとてつもないヴィジュアル・ショックを与えてくれる。

しかも水絡みの難しい視覚効果もアサイラムILM、WETAワークショップといった一流のイフェクツ工房が取り組み、もはやCGなのか実景なのか、ミニチュアなのか実物大レプリカなのか全く区別がつかないほどの凄まじい映像を次々と炸裂させているのだ。実に恐ろしいほどのクオリティとリアリティであり、まさに究極の海洋冒険映画と呼ぶに相応しい一本だ!