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サム・ライミ監督『死霊のはらわた2』感想

死霊のはらわた2

先日NHKの「トップランナー」という番組を見ていたら、映画監督の清水崇が出演していた。彼が監督した「THE JUON」はハリウッドで公開されるやいなや1億ドルを超える大ヒットを記録し、日本人監督初の“全米興行収入ナンバー1”という快挙を成し遂げたのである。

ハリウッドの資本で作られた日本映画は過去にもあったが、本作の凄いところは“日本人が監督して、日本人が脚本を書いて、日本でロケをして作られた”という点が最大の特徴なのだ。すなわち完全に日本主導で製作された(たぶん)史上初のハリウッド映画なのである。ただし、そこで当然日本人スタッフとハリウッド側との間で色々と食い違いがあったらしく、トラブルも少なくなかったようだ。

例えば、主演のサラ・ミシェル・ゲラーがある日現場に出てこないのでスタッフが呼びに行くと、車の中で泣いていた。「たちまち“監督が主演女優を泣かせた!”という噂が広まってえらい目に遭いました」と清水崇は告白している。ここまで日本人監督を信頼して全てを任せてしまった太っ腹なプロデューサーはあのサム・ライミである。

スパイダーマン』を2作続けて大ヒットさせ、今や押しも押されぬメジャー監督となっているが、駆け出しの頃は自身もB級ホラーを撮っていたのだ。そして清水監督の『呪怨』を見たライミは「これは凄い!金を出すから映画を撮れ!」と大抜擢したのである。さすがサム・ライミ、B級ホラーのツボが分かってる!

■あらすじ『アッシュ(ブルース・キャンベル)とリンダ(デニス・ビクスラー)の2人は、ある森の廃屋で「死者の書」とテープレコーダーを見つける。そのテープを再生すると突然リンダが死霊にとりつかれアッシュに襲いかかった。その頃、「死者の書」を掘り出したノウビー教授(ジョン・ピークス)の娘アニー(サラ・ベリー)も、ボーイフレンドのエド(リチャード・ドメイヤー)と小屋にやってきた。テープに残された教授の声によると、死霊にとりつかれた者を殺すにはその体を切断しなければならない。だが小屋の中の地下室には、切断されずに閉じこめられているゾンビ化した教授の妻のヘンリエッタ(ルー・ハンコック)もいた。一行は次々に死霊にとりつかれてしまい、アッシュもとりつかれた片手を自ら切断して必死に戦う。そしてショットガン片手に、次々とゾンビと化した仲間たちを倒していった。やがてアッシュは死霊の魔力により、なんと中世にタイムスリップしてしまう!人類と死霊が覇権を争う悪夢のような世界で、彼を待ち受ける運命とは!?奇才:サム・ライミが抜群のエンターテイメント性を炸裂させて見る者を恐怖と笑いの渦へ叩き込んだ、爆笑ホラー・コメディの決定版!』


本作はそんなサム・ライミが若干21歳の時に9万ドルの低予算で撮った「死霊のはらわた」の続編である。パート2という事でストーリー上は前作の続きだが、むしろコミカルに練り直したリメイクと言うべきかも。一作目の大ヒットでメジャーを意識し始めたのか、残酷描写が押さえられた代わりにサム・ライミの演出そのものは凄まじい勢いでパワーアップしているのだ。全編コミック的な疾走感で休む事無く一気に突っ走り、しかも最後までテンションが落ちないのだから見事としか言いようが無い。

ピーター・デミングのカメラも、ブルース・キャンベルの演技も暴走しまくり、まさに抱腹絶倒の快作に仕上がっている。ホラー映画でありながら、これほどまでにエンターテイメント性に徹した作品も前代未聞だ。主人公アッシュは切断した片腕にチェーンソーを装着し、さながらアメコミ・ヒーローのごとく大暴れ!最後に中世にタイムスリップした彼は、パート3ではさらに常軌を逸した大活躍を見せる。その名も『キャプテン・スーパーマーケット』。もはやホラーの概念を超越している!面白すぎますライミさん!!!