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『スーパーサイズ・ミー』ネタバレ映画感想/評価

スーパーサイズ・ミー

■あらすじ『「ファーストフードを1日3食1ヶ月間食べ続けると人間はどうなるのか?」。そんなバカバカしい命題に監督自らが被験者となり、アメリカの食文化の崩壊と肥満の恐ろしさを文字通り“体を張って”世間に訴えた!サンダンス映画祭で最優秀監督賞を獲得して大反響を呼び、アカデミー賞にもノミネート。更に全米脚本家協会からも絶賛された、これが衝撃の人体実験ドキュメンタリーだッ!!!』



観る前はマイケル・ムーアの影響を受けたお笑いドキュメンタリーかと思っていたのだが、意外と真面目な映画だったのでちょっと驚いた。と言ってもお堅い教育番組のような映画ではなく、適度なユーモアで分かり易くテーマを伝えている“結構ためになる映画”なのだ。本作のテーマはズバリ「デブ」である。

事の発端は2002年11月、ブロンクスに住む2人の少女が、「自分たちが太ったのはハンバーガーを販売した会社のせいだ!」とマクドナルド社を相手取り訴訟を起こしたのだ。これに対してマクドナルド側は、「食品の栄養バランスと肥満の因果関係は全く無い」とコメントを発表。そして裁判所も「太ったのは、大量に食べた本人の責任である」として原告の請求を棄却した。

このニュースを自宅で見ていた監督のモーガン・スパーロックは、「どちらの言い分が正しいのか、自分の体を使って証明してみよう!」と思いついたのだ。一見すると「なんてバカなマネを…」と思ってしまいそうだが、その背景には”アメリカの37%の子供が肥満に悩んでいる”という深刻な社会問題が潜んでいたのである。

さらに本作では”自己責任と企業責任の境界線はどこにあるのか?”という疑問から“アメリカの食生活が子供たちに与える影響”まで、自らの人体実験と綿密な取材活動によって鋭く追及している。「肥満」という、誰にとっても身近で切実なテーマを真面目に扱っている所がポイントだろう。しかも監督は、敢えて自分を限界まで追い込むような厳しいルールを設定する。

ルール1:マクドナルドのメニュー以外、食べてはいけない。
ルール2:“スーパーサイズ”を勧められたら、断ってはいけない。
ルール3:全てのメニューを、必ず一度は食べる。
ルール4:朝昼晩、3食全て残さず食べなければならない。

本人曰く「まるで修行のようだ」。こうして彼の過酷な挑戦は始まった!初日は「カロリー天国!こんなに幸せな事はないよ!!」と余裕でチーズバーガーを貪り食っていた監督だが、3日目には「胃の調子が悪い」と早くも泣きが入る。

4日目には「つらいのは最初の3日だけだ」と強がって見せるものの、食った直後にいきなりハンバーガーをリバース!おいおい、本当に大丈夫か?と不安は募る一方だ。5日目には栄養士からカロリーの摂取過多を注意される。7日目、胸に圧迫感を感じ始める。9日目になると精神状態にまで変調が表れてきた。18日目、凄まじい頭痛に襲われ、目玉の後ろがズキズキ痛む!ヤバイ!!

そして21日目、真夜中にあまりの息苦しさでベッドから飛び起きる。病院へ行くと「これ以上は命の保障が出来ない」とついにドクターストップがかかってしまった。緊急事態だッ!!!実験を続けるべきか、それともやめるべきか、実家の母親に電話をかける。果たして彼の下した決断は!?まさに命がけの人体実験であり、この監督は紛れもなくバカである。

しかし本作が公開された直後にマクドナルドは「“スーパーサイズ”をメニューから廃止する」と発表したのだ。マクドナルド側は「この決定と映画との関係は全く無い」というコメントも同時に発表しているのだが、本作が何らかの社会的影響を及ぼしたと考えてまず間違いないだろう。モーガン・スパーロック監督はまさに“偉大なる大バカ野郎”だったのである!

ちなみに監督にはアレックスというかわいい恋人がいる。眼鏡をかけて聡明そうな彼女は、彼の無謀な挑戦をずっと心配そうに見守っているのだ。実験中にインタビューを受けている時も、やさしい瞳で彼について淡々と話す。しかし話がセックスの事に及ぶと態度が豹変!

ハンバーガーを食べるようになってから彼の体力が無くなったわ。だから私が上になってヤってるのよ。一番の問題は彼のチ○ポがフニャフニャになってしまった事ね!」と赤裸々に下ネタトークを炸裂させる彼女はもはや完全に別人と化していて怖い。眼鏡をかけて真面目そうな彼女のイメージと、エロ話全開のキャラクターとのギャップが激しすぎて、めまいさえするほどの凄まじいインパクトだ!ただし一部のマニアからは熱狂的に支持される可能性が大!これが“萌え”というものかッ!?(なんのこっちゃ)

だがこの映画、おいしそうなハンバーガーの映像が初めから終わりまでずっと映りっぱなしなので、観終わった後に無性にお腹が空くのである。ハッと気付くとマクドナルドのカウンターでビッグ・マックを注文していた。当然ポテトとコーラもおいしくいただいた事は言うまでもない。モーガン監督、ごめんなさい!