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ヴィン・ディーゼル主演『リディック』映画感想

リディック

本日「日経エンタテイメント・3月増刊号」を読んでいると、“2004年全米公開映画赤字ランキングTOP20”という記事が目に止まった。今回第1位に輝いた映画は、2位以下を大きく引き離してぶっちぎりでトップを獲得した「アレキサンダー」である。

現在公開中の映画で僕はまだ見ていないのだが、アメリカでの評価は散々でゴールデン・ラズベリー賞にまでノミネートされてしまったらしい。さらによく見てみると、「トロイ」や「キング・アーサー」などの歴史超大作が軒並み赤字となっている。

これは大規模なセットやCGで当時の様子を再現しなければならない為、ハンパでない制作費がかかってしまうからだ。「トロイ」などは興行収入が1億3300万ドルと大ヒットしたにもかかわらず、制作費がそれを上回っているので赤字になってしまった気の毒な映画である。

逆に黒字になった映画は思い切り制作費を押さえている事が分かる。特に「パッション」はたったの3000万ドルで、3億7000万ドルというとてつもない売上を叩き出したのだから凄まじいコストパフォーマンスと言うしかない!



■あらすじ『銀河全域が狂信的軍団「ネクロモンガー」の圧倒的な武力と恐怖に支配された暗黒時代、全宇宙がその強大な勢力に震えていた。そこに、本能の命じるまま闘い続けるひとりの男が現れる。彼の名はリディックヴィン・ディーゼル)。5つの惑星から指名手配を受け逃亡中のリディックは図らずも強大勢力の争いに巻き込まれ、自ら宿命に立ち向かう。悪魔か?それとも救世主か?全宇宙の運命は最強最悪のダークヒーローが握っている!これぞメガトン級のSFアクション・アドベンチャー超大作!』



さてそんなリディックだが、やはりと言うべきか赤字映画の第7位に堂々とランキングされている。制作費が1億ドルを超えるのはしかたがないとしても、興収が5800万ドルというのはやっぱり少ない。日本でもあまりヒットしなかったようだ。
だが個人的にはそれほど悪くないと思う。まずヴィン・ディーゼル演じるリディックのキャラクターがアンチ・ヒーローという設定なのが良い。実際には“極悪非道”というほどダーティな奴ではないのだが、ありがちな主人公像から脱却しようと試みている点が面白いのだ。そして意外としっかり世界観を創り込んでいる所にも好感が持てる。主人公のバックストーリーやネクロモンガーの設定の細かさなどにも、作り手のこだわりが感じられる。
例えば刑務所のシーンで、カメレオンのように体の色を変える虎のような生物が出てくるのだが、はっきり言ってストーリーにはほとんど関係ない。にもかかわらず、その“世界”を表現する為に細部まで手を抜かず、丁寧に描写している点に驚いた。
しかし、一番驚いたのは何といってもラストシーンである。このテのSF映画でまさかあんなオチを持ってくるとは・・・!衝撃的というよりもむしろ笑劇的な結末だ(笑)。あのラストがあるからこそ、この映画は他のSFとは一線を画していると言っても過言ではないと思う。真面目なSFファンは怒るかもしれないが、バカバカしくて実に面白い!!!
だが本作は「ピッチブラック」という極めてマイナーな映画の続編であるが故に、“基本設定や登場人物の人間関係が良く分からない”という欠点がある。一応前作は見ておいた方が良いだろう。
また突っ込み所満載のストーリー展開も批判の的になっていたようだが、事実なので否定できない(笑)。確かに「主人公が極悪非道と呼ばれてる割には結構いい人だ」とか「設定のスケールのでかさに比べて、内容がショボ過ぎる」とか突っ込み出すときりが無く、「おっしゃる通りです」としか言いようがない。
しかし巨大な宇宙要塞が空を飛びまくり、氷の惑星や灼熱の監獄惑星など見たことも無い舞台で、甲冑を着込んだ大量の兵士が大暴れするという、圧倒的な規模のSF映画にはなかなかお目にかかれないだろう。若干フロシキを広げすぎている感があるものの、全部で3部作を作るという壮大な構想があるらしいので、中途半端に終わっている数々のエピソードもきっと解決されるに違いない。だがいまだに続編の製作が決まったという発表は無い。赤字映画の7位にランクされるようでは当然か。何とか作ってくれ!