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劇場アニメ『スプリガン』映画感想

スプリガン

本日NHKの「トップランナー」という番組を見ていたらアニメ監督の今敏さんが出演していた。今監督は現在急速に世界的な評価を上げている映画監督の一人である。当初はビデオ作品として製作された『パーフェクトブルー』は劇場公開され大ヒットを記録。そして『千年女優』は第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞受賞、いきなりドリームワークスが買い付けるという快挙を成し遂げる。

さらに『東京ゴッドファーザーズ』は第7回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞ほか国内外で数々の賞を受賞し、非常に高い評価を受けたのだ。番組内では今監督が自身の映画制作方について詳しく説明していた。しかし最後は本上まなみの写真集を取り出し「サイン下さい!」と懇願。硬派な外見に似合わず意外とミーハーである(笑)。

スプリガン
■あらすじ『実在したノアの方舟をめぐって展開される、アメリカ国防総省のサイボーグ部隊と秘密組織アーカムとの死闘を描いた世紀末バトル・アニメーション!超古代文明の封印が解かれる時、地球の存亡を賭けた最後の聖戦が始まった!』


本作は「アキラ」の大友克洋が監修し、皆川亮二の原作マンガを劇場映画化した長編アニメーションである。お話はやや荒唐無稽すぎるという感じがするが、特筆すべきはそのハイ・クオリティーなヴィジュアルだ。

贅沢にCGを使いまくった高密度のグラフィックは圧倒されるほどに美しい。だがそれ以上に驚かされるのは監督が徹底的にこだわったという、凄まじいばかりのアクション・シーンである。

縦横無尽に動きまくるキャラクター、そして上下左右ばかりか前後にも移動しまくる驚異的なカメラワーク!ここまで視点移動が激しいアニメにはなかなかお目にかかれるものではない。

しかしこの無茶な動きを実現する為のしわ寄せは、全て作画や撮影スタッフへと集中する事になった。なんせ普通の作画用紙ではこれだけの大きな動きは表現できないので、“大判”と呼ばれる特別な紙を使用しなければならない。これがまた机からハミ出るぐらいでかいのだ。現場のアニメーターからは「描きにくくてかなわん!」とクレームが殺到したらしい。

監督の川崎博嗣はもともと「天空の城ラピュタ」などの原画をつとめたアニメーター出身である。だからこそ本作はここまで“動き”にこだわり抜いた映画になったのだろう。まさに“アニメーションは動いてナンボ!”と言わんばかりの勢いだ。