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ムーン・リー主演『天使行動』映画感想

天使行動:ムーン・リー、かわいい!

出演:西城秀樹、ムーン・リー、デビッド・チャン、大島由加里

■あらすじ『カンボジア国境に「黄金の三角地帯」と呼ばれる麻薬栽培地帯があった。インターポールはこの存在を突き止め壊滅に成功するが、国際シンジケートが報復として次々と捜査官を殺害し始めたのだ。窮地に立たされたインターポールはついに秘密部隊「エンジェル」の出動を要請した!』



当時人気絶頂のアイドルだった西城秀樹主演のアクション映画である。80年代に大量に公開されたB級カンフー映画の一本なので知名度は極めて低いが、なかなか楽しめる映画なのだ。

西城秀樹本人が(ほとんど)自分で演じている迫力あるアクションが見所で、カンフーも結構サマになっている。しかし、信じられないほど人命を軽視する香港の驚愕スタントを目の当たりにして、さすがのヒデキも仰天したらしい。

ある日、ビルから飛び降りるシーンを撮影する事になった時、当初はヒデキが飛ぶ予定だったが、直前になって怖くなりスタントマンに代わってもらったそうだ。ところが「飛び降りたスタントマンの首から背骨が飛び出る」という大事故が起こってしまったのである(どんな事故だよ!?)。

しかし、その後も撮影は続けられ、完成した映画は香港では大ヒットしたらしい。当然、すぐにシリーズ化されてなんとパート3まで制作されたのだが、ヒデキが出演する事はもう二度と無かったそうだ(そりゃそうだろw)。

そしてもう一つの見所はムーン・リーである。もともとアイドル女優としてデビューした彼女だったが、いまいちパっとしなかった。そこで事務所の移転をきっかけにアクション女優へと転身、その第一作目がこの映画なのだ。

初めて彼女を見たときは「何でこんな可愛い子が、こんなに凄いアクションをやってんの!?」と非常にビックリした(「何でこんな美人がAVに出てるの!?」という驚きに近いものがあるかもしれないw)。

香港のアクション女優は数あれど、「見た目のかわいさ」と「アクションの壮絶さ」のギャップの大きさでは、ムーン・リーがダントツ・ナンバーワンだと断言できる。




最初はぎこちなかった彼女のカンフーも、シリーズを重ねるにつれてどんどん上達していき、しかも同時にアクションの危険度も着実にレベルアップしているのだから困ったものだ。

特に爆破シーンの凄まじさは筆舌に尽くし難く、毎回人権を無視したムチャなスタントを炸裂させているのもこのシリーズの特徴といえるだろう。火薬の量を間違えて俳優が大怪我する事故など日常茶飯事だというのだから、呆れ返って言葉も出ない。そしてついにムーン・リーの身にも怖れていた事故が起こってしまった。

「群狼大戦」という映画を撮影中に、なんとスタッフが爆破のタイミングを間違えて予定よりも早く爆破のスイッチを入れしてしまったのだ。そのため、ムーン・リーは全身炎に包まれ、全治3週間の大ヤケドを負ってしまったのである。

しかも恐ろしい事に、その瞬間のフィルムを映画本編に使用しているのだ!かろうじて一命は取り留めたものの、その後彼女が目覚しい活躍を見せる事は二度と無かった。ああ、なんてこった…

ある意味、トニー・ジャー主演の「マッハ!」よりも凄まじいアクションと言えるかもしれないが、こっちは単に「安全管理に手を抜いている」だけなので到底誉められた話ではない(ちなみにこの時女優のシベール・フーも一緒に爆発に巻き込まれており、ムーン・リーよりもさらに酷い大ヤケドを負っている)。

ところが、整形手術を余儀無くされるほどの大怪我を負いながらも、数ヵ月後には現場に復帰してしまったのだ。やらせるスタッフもスタッフだが、仕事を受ける女優も女優だ。当時の香港の映画業界人たちは、一体どんな精神構造をしていたのだろうか?