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アントニオ・バンデラス主演『バリスティック』映画感想

バリスティック

■あらすじ『究極の暗殺兵器「ソフトキル」が、何者かによって盗み出された。同時にDIA長官の一人息子が謎の女シーバー(ルーシー・リュー)によって誘拐されてしまう。捜査を依頼された元FBIトップエージェント・エクス(アントニオ・バンデラス)は、一個師団をたった一人で壊滅させるほどの攻撃力を持つシーバーを追跡する。しかしその先には国家レベルの恐るべき陰謀が迫っていた!映画史上空前の爆破数、90秒に一度の炎の狂宴、これがアルティメット・ライブ・アクション映画だ!』


アントニオ・バンデラス主演のアクション映画なんだけど…これは酷い!なぜ誰も止めなかったのかを是が非でも問いたいような凄まじい内容だ。噂には聞いていたが、ここまで酷いとは想像もしていなかった。

穴が有り過ぎてどこから突っ込んでいいのか分からないほどだ。小学生が書いたのかと思うほどの稚拙な脚本には開いた口が塞がらないし、あまりにもありえない展開の連続には呆れ返って言葉も出ない!

ストーリーのデタラメさ加減もひどいもんだが、そんなことですらもうどうでも良いと思ってしまうほど絶望的なダメポイントがこの映画には存在する。それは「アクション映画なのにアクションシーンで全然興奮できない」という点である。

いまだかつて、ここまで冷静にアクション映画を観た経験は一度も無い。派手なアクションが炸裂すればするほど、逆にどんどん気持ちが冷めてゆくという、ある意味「奇跡」のような映画である。

確かに「総銃弾数60000発!」「爆発総計60回!」などのコピーに偽り無く、初めから終わりまでハデなシーンの連続で、常に何かが爆発していて人や車が宙に舞っているという迫力満点のヴィジュアルだ。

しかしながら、シーンにおける必然性やリアリティというものに著しく欠けるため、全く感情移入できないのだ。最大の原因はルーシー・リューのアクションにあると思われる。

彼女は元DIAの凄腕エージェントにして殺人マシーンという設定だ。にもかかわらず彼女のアクションには1ミリたりとも説得力が無いのである!銃を撃つシーンはまだしも、格闘シーンになるととたんに動きが遅くなる。

後半のシーンではスローがかかるのでよけい退屈だ。「チャーリーズ・エンジェル」の方がよっぽどスタイリッシュでかっこよかったぞ。そして一つのアクションが終わると必ず不敵な笑みを浮かべて決めポーズをとる。なぜだあああ!?追われているならさっさと逃げんかいッ!

この他にもルーシーは逃げている途中に急に立ち止まるなど不可解な行動をとりまくる。一体何がしたいのかさっぱり分からん!またアントニオ・バンデラスも元FBIという割には動きにキレが無い。「デスペラード」の時のかっこ良さはどこへいったのか?

さらに彼のご都合主義アクションにも呆れ返るばかりで、ピンチになったら目の前に偶然バイクがあったり、偶然銃が落ちていたりとか、いきあたりばったりにも程がある。

挙句の果てには、自分で仕掛けた地雷のスイッチを自分で踏んづけて死にかける、というトンチンカンぶりだ。今まで僕の中では「凄いアクションなのに一秒たりともハラハラドキドキしないアクション映画」といえば『スピード2』がダントツ1位だったのだが、『バリスティック』によりあっさりと抜き去られてしまった。

おそらく当分の間この記録が破られる事は無いだろう。観終わった後は空しさのあまりアゴがはずれることは間違い無い。ある意味必見の映画といえるかもしれない。まさにアンビリバボーな一本だ!

主演:アントニオ・バンデラスルーシー・リュー
共演:レイ・パーク
監督:カオス