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今敏監督『東京ゴッドファーザーズ』感想

東京ゴッドファーザーズ

■あらすじ『新宿の公園で暮している3人のホームレスがある日一人の赤ん坊を拾う。3人は赤ん坊の親を探してあちこちうろつくのだが、さまざまな偶然と出会いが彼らに降りかかる。クリスマスの夜に起こった愛と奇跡の物語!』


東京ゴッドファーザーズ』を観た。『パーフェクト・ブルー』『千年女優』に続き今敏監督が作った3本目の劇場用長編アニメーションである。

パーフェクト・ブルー』の時にも思ったが、この監督はドラマの組み立てが非常に上手い。今回は「奇跡と偶然」がキーワードになっているものの、ご都合主義的なあざとさを感じさせず、むしろそれを逆手にとってテンポ良くドラマを展開させていく手法は見事。

またメインキャラクターはたったの3人だが、それぞれが非常に個性的で感情移入しやすい(オカマとおっさんと女子高生という組み合わせも面白かった)。

さらに声優も、普段アニメではあまり聞く事がない俳優さんを起用していて、しかもこれが全員上手い!特にオカマを演じたワハハ本舗の梅垣のハマり具合は絶品で違和感全く無し。とても声優初挑戦とは思えない。

そして映像はもう素晴らしいの一言に尽きる。緻密なディテールの積み重ねで世界を構築する、マッドハウスの凄まじい技術力は相変わらず健在だ。

背景にもCGが多用されているようだが、そうとは気付かない程自然に仕上っている。キャラクターの表情一つとっても実に細かい演技まで描かれており驚かされる。

総合的に見て大変良く出来ている映画ではあるが、派手さは無い。いわゆる「人情コメディ」というやつで、物語自体は淡々と進んでいくからだ。宮崎アニメのようなダイナミックさを求める人には向かないかもしれないが、ほのぼのとした「笑えて泣ける」映画が好きな人にはおすすめ。


監督:今敏
声優:江守徹梅垣義明岡本綾
音楽:鈴木慶一
製作:マッドハウス