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韓国映画『TUBE(チューブ)』ネタバレ感想

TUBE

■あらすじ『韓国ソウルである日地下鉄が乗っ取られた。犯人は国家機密諜報機関の元工作員だ。そして刑事が犯人を追って列車に乗り込む。彼はかつて恋人を犯人に殺されていたのである。列車にはメガトン級の爆弾が仕掛けられている。果たして犯人の陰謀を阻止する事は出来るか!?』


この映画を一言で表現するならば”大雑把”である。ストーリー、アクション、人物描写と全てにおいて大雑把なのだ。監督は『シュリ』の助監督だったらしいが、あらゆる点で『シュリ』の圧勝と言わざるを得ない。

展開が早すぎて、いろいろな要素をあまりにもいいかげんに描き過ぎているし、ストーリーもアクションも人物描写も、もっとじっくり丁寧に描く工夫をするべきだろう。

しかし、それ以上にこの映画には最も大事な要素が欠けている。それは「リアリティ」だ。たとえば刑事が車両に閉じ込められた乗客達と何とか連絡を取ろうとするシーン。そこで彼は、列車の電光掲示板を使って要件を伝えようとするのだ。えええ!!??フツー、犯人にも気付かれるだろ!?つーか気付けよ!!!

特に酷いのはアクション場面のリアリティの無さ。劇中で、SWAT部隊が犯人が乗る列車を包囲して、取り押さえようとするシーンがある。しかし、あっさりと犯人に返り討ちに遭ってしまうのだ。

しかも犯人は2人だけ。数十人のSWATが総掛かりでも「たった2人のテロリスト」を制圧する事が出来ないのか?韓国のSWAT、弱すぎるぞ!それともテロリストが強すぎるのだろうか?そのくせ主人公はたった一発撃っただけで犯人の一人を射殺してしまうし、ワケが分からない。

しかも刑事と犯人が向かい合って撃ち合った場合には、お互いの銃弾は一発も当たらないのである。射撃がうまいのかヘタなのか、どっちなんだよ!?『スピード』や『ダイ・ハード』を目指しているのは分かるが、「ハリウッドを越えた」と呼ばれるにはまだまだ程遠い気がするぞ。

しかしこの映画、「面白くない」と一蹴してしまうにはあまりにも惜しいのである。最大の見所はやはり物凄いアクションシーンだ。たとえリアリティが薄くても、その凄まじい迫力は一見の価値がある。

特にオープニング直後の、空港での『ヒート』を髣髴とさせる大銃撃戦は必見だろう(本物の空港を借り切って撮影したらしい)。また、展開は確かに大雑把ではあるものの、次々と巻き起こる危機的状況のおかげで最後まで飽きる事がない。

そして何と言ってもドラマの盛り上げ方が異常に凄い!実は主人公と一緒に知り合いの女性が列車に乗り込んでいるのだが、なんと物語の後半はいきなりこの2人のラブストーリーになってしまうのだ。

しかもバックには大げさな音楽が掛かりまくり、女性は泣きまくりの叫びまくり状態で、完全にメロドラマと化してしまうのである。アクション映画じゃなかったの?

『シュリ』も基本はラブストーリーだったが、あれの100倍濃厚な、正真正銘の「恋愛映画」になっているのが凄い(韓国の人って、こういう展開好きなんだなあ)。まさに「アクション満載の冬ソナ」と呼んでも差し支えないだろう。

本作を見終わった後、「ジェリー・ブラッカイマー製作」の映画を思い出した。ド派手なアクションとオーバーな音楽で無理やり盛り上げ、ストーリー展開は強引で何が何だか良く分からんが「とりあえず面白いから良し!」みたいな印象はかなり似通っている。

アレを「エンターテイメント」と呼ぶのであれば『TUBE』も立派な「エンターテイメント」だ。ある意味、見せ場ばかりで構成された「ダイジェスト版」のようなアクション映画と言えるかもしれない。「こまけぇことはいいんだよ!」という映画ファンには、実は意外とウケがいいんじゃないだろうか。


主演:キム・ソックン、パク・サンミン、ペ・ドナウ、監督:ペク・ウナク

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