『ドッグヴィル』を観た(主演:ニコール・キッドマン、ナレーション:ジョン・ハート、監督:ラース・フォン・トリアー)。
う〜む、こいつはキツイ。なんせ上映時間が約3時間(177分)もある上に物語が極めて地味なのだ。会話シーンも長めで、睡眠誘発剤としての効果は抜群である。
ストーリーは、人口がたった20数人というド田舎の村「ドッグヴィル」にある日若い娘(ニコール・キッドマン)がやって来た、その突然の「よそ者」の侵入に対し徐々に村人の心理に変化が生じ、やがて悲劇が…というお話である。
監督はかつて「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という問題作を撮ったラース・フォン・トリアーだ。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同様にこの映画も賛否が真っ二つに分かれたようだが、さて僕の感想はというと…。
前作同様、今回も「ダメ」だった!この映画で描かれている事は人間の心の「醜さ」や「残酷さ」や「エゴ」である。それは「ダンサー…」も同様で、見終わった後に著しく「不愉快な気分」にさせられるのだ。
どうやらこの監督はそういった人間の心の「闇の部分」を見せる事に執着しているらしく、見た人全員を嫌な気分にさせる為に映画を作っているのではないか、とさえ思えるほどだ。
だとすれば今回もまんまと監督の策略にはまってしまった、と言わざるを得ないだろう。三半規管をマヒさせる毎度お馴染みの「激しくブレるカメラワーク」も相変わらず健在だし、確実に精神が疲弊する。
しかも「ダンサー…」は一応「映画」だったが「ドッグヴィル」は「映画」である事すら放棄している。なんと、だだっ広い倉庫の床に白線を引いただけでセットが無いのだ!役者は全員そこに建物がある「フリ」をしながら演技をする。
「映画」というより「舞台劇」ではないか。前衛的というかシュールというか…凡人には理解できない世界観に面食らうこと間違いなし(家の中の出来事と外の出来事が同一画面で見える、という効果は面白かったが)。
この映画の見所は、ニコール・キッドマンだ。「彼女の美しい顔を長時間にわたって鑑賞できる」という点が最大のポイントである(彼女のファンでない人にとっては残念ながら見所は無い)。しかし、今回キッドマンは結構な「汚れ役」なので、彼女のファンにもちょっとお勧めできない内容なんだよね(^_^;)