ひたすら映画を観まくるブログ

映画やアニメについて書いています

『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』ネタバレ映画感想

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

■あらすじ『4日後に死刑執行を控えた殺人犯(ケビン・スペイシー)が、ある女性ジャーナリスト(ケイト・ウィンスレット)にインタビューを許可し、「冤罪だ!」と訴える。彼は本当に殺人を犯していないのか?だとしたら真犯人はいったい誰なのか?死刑執行のタイムリミットは迫る!そして迎える衝撃のラストシーンとは…!?』



まさに手に汗握る正統派サスペンスだ。物語はデビッド・ゲイルの回想シーンを中心に展開し、現在のシーンでケイトが事件の真相を突き止める為に奔走する、という構成になっている。映画はいきなりケイトが全力疾走しているシーンから始まり、観客の心をガッチリ掴んだまま一気に物語りに引き込むという、実に見事なオープニングだ!

真実が明らかになるにつれドラマは二転三転と意外な展開を見せ、無駄の無い演出と凄まじい緊迫感とが相まってラストまで一瞬たりとも目が離せない!全ての謎が解明されたと思っていたら、さらにエンディング間際で度肝を抜かれる!まさに衝撃のラストシーンだ!!観てない人は今すぐ観るべし!



※以下、ネタバレがあります。未見の人はご注意!



映画は大変完成度が高く、非常に面白かったのだが、ちょっと疑問に思うところもある。社会派サスペンスと銘打ってはいるものの、実はそれほど死刑廃止問題に深く切り込んだ内容ではないのだ。

あくまでも”エンターテインメントとしての面白さ”を優先しているところがポイントだろう。なぜなら現実問題として考えた場合、本作の内容はほぼ「ありえない」からである。

死刑廃止を訴える為に、自作自演の殺人で死刑確定となり、執行後「冤罪ですよ!」と真相をバラしてみたところで賛成派を納得させられるだけの説得力は無いと思う。

それは単に「冤罪の可能性」や「捜査の甘さ」を指摘しているに過ぎず、「死刑廃止問題」とは論点が異なるからだ。ただし、この辺は恐らく自覚してやっている事であり、「本質」は別にあると思われる。

では、この映画の「本質」とは何なのか?それはすなわち「究極の自己犠牲の精神」であり、「人は大儀のために、どこまで自分の命を懸けられるのか?」という問いかけでもあるのだ。

彼らの行為が「正しいかどうか」は別にして、自分の主義主張を貫くため、あるいは大勢の命を救うために自分の命を投げ出す、という崇高な行為を知って、その事実に泣けるのだ。この映画のポイントはまさにそこにある。彼らは全てを受け入れ、覚悟の上で死んでいったのだと…。

惜しむらくは、彼らの行動に「理解」は出来ても「共感」は出来ない、という点だろうか。いくらなんでもやり方が極端過ぎると思うんだけどなあ(^_^;)

主演:ケビン・スペイシーケイト・ウィンスレットローラ・リニー 監督:アラン・パーカー 製作:ニコラス・ケイジ