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ジェット・リー主演『英雄〜HERO』映画感想

英雄

「英雄〜HERO」を見た。同じく「ワイヤーを多用した剣術アクション」ということで「グリーン・デスティニー」と比較されがちだが、似て非なるものだ。そもそもこれはアクション映画ではない。「演舞」もしくは「剣舞」と呼ぶべきである。

グリーン・デスティニー」の格闘シーンは「速く・激しく・力強く」であるのに対し、「HERO」は「優雅に・優しく・美しく」という具合にアプローチの仕方が全く異なっている。一般に格闘シーンでは登場人物の「強さ」を表現するものだが、本作では人物の「心理状態」を表現しているようにも思えるのだ。

独特の色彩感覚もこの映画の大きな特徴。まるで絵画でも見ているかのような、実に鮮やかな色使いである。さらに物語の場面毎に、メインの色を変えているというこだわりようだ。赤、青、緑とそれぞれの色に統一された画面を見ているだけで、何とも言えない不思議な気持ちになれる(癒されてる?)。

そしてなんといっても目に付くのは、常に画面の中でゆっくりとなびいている「布」である。これだけ「布」が自己主張している映画はあまり見た事が無い(笑)。この映画を「面白い」と思えるかどうかは、実はストーリーよりもこういった「様式美」を受け入れられるかどうか、に掛かっているような気がする。



ジェット・リー」主演、「トニー・レオン」「マギー・チャン」「チャン・ツィイー」「ドニー・イェン」共演、「チャン・イーモウ」監督作品。