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北村龍平監督『VERSUS ヴァーサス』ネタバレ映画感想

ヴァーサス

本日、『THE ULTIMATE VERSUS-アルティメット・ヴァーサス』のDVDを購入。何が”アルティメット”なのかと言えば、通常版にアクションシーンを追加撮影した完全版という意味らしい(坂口拓主演、北村龍平監督)。

本作は、一言で言えば”クレイジーな映画”である。キャラクターは曲者ぞろいで、まともなヤツがほとんどいない。「登場人物のほぼ全員が狂っている」といっても全く過言ではないだろう。

何よりも、監督の北村龍平自身が相当にクレイジーだ。”勢い”はあるが、”勢いだけしかない”とも言えるパワー全開の演出は目まいがしそうな迫力に満ち溢れ、その結果、恐ろしくテンションの高い映画に仕上がっているのだ。

この映画の見所は、ゾンビ、チャンバラ、ガンアクションで(というか、それのみだが)「見せたいもの」や「やりたい事」だけを目いっぱいぶち込んだという感じで、そういったものに興味がない人にとっては面白いどころか苦痛すら感じる映画だと思う。なにしろドラマらしいドラマはほとんど無く、ただひたすら森の中で男とゾンビが戦っているだけなのだから。

しかし、その分アクションに対するこだわり方はハンパではない。まず、オープニングのサムライ対ゾンビのチャンバラシーン。なかなか斬新でインパクトがあるオープニングであり、「日本刀ででゾンビを切り刻むサムライ」という貴重な映像を堪能できる。

そして現代のシーン。ここから延々とゾンビを撃ち殺す銃撃シーンが続く(ジョン・ウーをパクったアクションも続出w)。さらにラスト、一対一のチャンバラアクションが炸裂!はっきり言って『ハイランダー』のパクりなんだけど、見ごたえは十分だ。文字通り”火花”を散らして戦う男たちの姿は実に美しく、そして息を呑むほどにかっこいい!

なお、同監督の作品で上戸彩主演の大作時代劇『あずみ』と比較した場合、どちらが映画として面白いかといえば『ヴァーサス』だと思う。『あずみ』は原作付きという事もあって、アクションよりもストーリーに重点が置かれており、やや中途半端な印象が残る。

もちろん上戸彩のアクションシーンもそれなりに凄いが、『ヴァーサス』のメーターが振り切れたような規格外の凄まじいアクションを見てしまうと『あずみ』のアクションは全然普通に見えてしまうのだ。

実は当時の北村龍平監督は、すでに商業映画でデビューしていたものの、自分の思い描く映画が自由に撮れず悩んでいたらしい。そこで、自主制作映画時代のスタッフに声をかけ、友人や知人に借金しまくり、完全なるインディーズのスタイルで作った映画がこの『ヴァーサス』なのである。

まさに北村龍平監督の「俺が面白いと思う映画を自由に撮りたいんだ!なんか文句あるのかオラアァ!!」という叫びが聞こえてきそうな勢いが『ヴァーサス』には感じられるのだ。ある意味、開き直りとも思えるこの姿勢が逆にいさぎよく、素晴らしいとすら思う。人によっては全く受け入れられないだろうけど(笑)。