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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ ストーリー』ネタバレ感想/評価


■あらすじ『銀河全体を脅かす帝国軍の究極兵器:デス・スター。その設計図を奪うため、無法者たちによる反乱軍の極秘チーム「ローグ・ワン」に加わった女性戦士ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)は、様々な葛藤を抱えながら不可能なミッションに立ち向かっていく。「エピソード4」の冒頭でレイア姫R2-D2に託したデス・スターの設計図は、いかにして入手されたのか?そこには、わずかな希望を繋ぐため、命を懸けて危険な作戦に挑んだ名もなき反乱軍戦士たちの、勇気と感動のドラマが隠されていた…。伝説の原点へと続く、誰も知らない”もう一つの物語”がここにある!』


※この記事は完全にネタバレしています。まだ映画を観ていない人はご注意ください。


どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

ゴールデン・ウィーク真っ只中、皆さんいかがお過ごしでしょうか?本日、5月4日はなんとスター・ウォーズ』の日です。いや、もちろん日本では”みどりの日”なんですけど(笑)、海外ではルーカス・フィルム公認の“Star Wars Day”であり、世界中のファンがスター・ウォーズの文化を祝い、映画を称える日として親しまれているのですよ。

ではなぜ、5月4日がスター・ウォーズの日なのか?と言えば、「May the Force be with you(メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー=フォースと共にあらんことを)」という劇中で定番のセリフを「May the 4th(メイ・ザ・フォース=5月4日)」にかけた語呂合わせなんですね(ダジャレかよw)。

ちなみに、日本の一般社団法人・日本記念日協会も、5月4日を「スター・ウォーズの日」と正式に認定したとのことで、ますます身近な存在になっている模様。というわけで、本日は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の冒頭に繋がるストーリーを描いた『ローグ・ワン/スター・ウォーズ ストーリー』の感想ですよ。

時は内乱のさなか。凶悪な銀河帝国の支配に、反乱軍は秘密基地から奇襲を仕掛け、帝国に対し初めて勝利を収めた。更にその戦闘の合間に、反乱軍のスパイは帝国軍の究極兵器の設計図を盗み出すことに成功。それは”デス・スター”と呼ばれ、惑星をも粉々にするパワーを持つ宇宙要塞基地だった。凶悪な帝国軍に追われながら、レイア姫は盗み出した設計図を手に故郷へと急いだ。人々を救い、銀河に自由を取り戻すために....


1977年に1作目の『スター・ウォーズ』(エピソード4)が公開された時、映画の冒頭シーンでいきなり上記の文章が流れ、多くの観客を驚かせました。なぜなら、そこには観客が知らない「これまでのあらすじ」が記されていたからです。

今でこそ、『スター・ウォーズ』は世界中の人が知る人気シリーズになっていますが、当時は単なる新作映画の一つであり、シリーズ化の予定もありませんでした(『エピソード4/新たなる希望』という表記も後から付け加えられたもの)。

なので、初めて『スター・ウォーズ』を観た当時の人々は「反乱軍のスパイって何?」「この映画、途中からストーリーが始まってるぞ!?」と驚いたわけです。

その後、全世界で大ヒットし、劇中で触れられていた「過去の出来事」も『エピソード1』〜『エピソード3』として描かれたのですが、『エピソード4』の冒頭で流れた”あのシーン”だけがずっと謎のままだったんですよ。

だからファンは長年「どんなことが起きてたんだろうな〜」と想像するしかなかったんですけど、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ ストーリー』でついに、あの「反乱軍によるデス・スター入手作戦」の真相が明らかになったわけです。いや〜、嬉しいですねえ(^_^)

さて、本作は『EP3』と『EP4』の間の物語ですが、厳密に言うと『EP4』が始まる直前の状況(数分前)を映画化したもので、『EP3』と直接的な繋がりはありません。なので、本作だけでも十分に内容は理解できるんですけど、出来れば『EP4』を先に観ておいた方がいいでしょう。

なぜなら、『ローグ・ワン』には『EP4』に関連するキャラが多数登場しているので、全く知らない状態で観た場合は印象が違うと思うんですよ(まあ先の展開を知ることになるため、思い切り”ネタバレ”になっちゃうんですけどねw)。


例えば、『EP4』に出て来るターキン総督(グランド・モフ・ウィルハフ・ターキン)という悪人が、本作にも登場しています(直前の話だから)。しかし、ターキンを演じたピーター・カッシングは1994年に亡くなってるんですよ。

だから、映画を観る前は「ああ、『EP3』の時みたいに良く似た俳優(ウェイン・パイグラム)を使って、少しだけ登場させるんだろうな〜」程度の認識しかありませんでした(『EP3』にも若い頃のターキン総督がゲストキャラ的に出ていたので)。

ところがなんと、ターキンの登場シーンがめちゃくちゃ多い!しかもピーター・カッシングにそっくり!『EP4』時代のターキン総督そのまんまの姿がスクリーンに映ってるんです。正直、これにはド肝を抜かれましたねえ。まさか、とっくに死んだ俳優が新作映画に出てるとは!

実は、首から下の部分はガイ・ヘンリーというイギリスの役者が演じ、ターキンの衣装を着たヘンリーさんの顔にフルCGで作ったピーター・カッシングの顔を合成しているのだそうです(以下、メイキング解説映像↓)。

ターミネーター:ジェニシス』でも若い頃のシュワちゃんをCGで作ったりしていたので、不可能ではないんでしょうけど、ここまでしっかりCGキャラが画面に映って違和感が無いっていうのは「凄まじい技術の進歩だ!」と驚かざるを得ません。

ちなみに、ガイ・ヘンリーは『ハリー・ポッターと死の秘宝』でパイアス・シックネス役を演じた人で、ターキンを演じるにあたり、故ピーター・カッシングの動きを再現しようと意識したものの、完璧に演技を似せることは難しく、さらにCGで作ったターキンの顔ともマッチさせなければならず、非常に苦労したらしい。

では、ターキンの顔はどうやって作ったのか?というと、1984年に公開されたヴァル・キルマー主演の『トップ・シークレット』という映画に故ピーター・カッシングが出演した際、撮影の過程で作成した”顔型”がたまたま残っていたんですね。で、ILMがそれをスキャンして、運よくデジタルデータを取得できたというわけです。

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さて、次に登場キャラクターを見てみると、まず主人公のジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)が良かったですね。幼い頃に帝国軍の襲撃を受け、母を殺され父を拉致された彼女は、反乱軍の戦士ソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)に保護された後、15歳からは一人で孤独に生きてきました。

スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でもデイジー・リドリー演じる”レイ”という女性が主人公でしたが、スピンオフ作品の本作でも、勇敢で美しいヒロインが過酷な試練に立ち向かう姿を描いています(とても魅力的なキャラなのに、これ1作だけで終わってしまうのが残念)。

やがて反乱軍同盟に合流したジンは、キャシアン・アンドア(ディエゴ・ルナ)、ボーディー・ルック(リズ・アーメッド)、チアルート・イムウェ(ドニー・イェン)、ベイズ・マルバス(チアン・ウェン)などの仲間たちと出会い、帝国軍の野望を阻止するために離れ離れになった父ゲイリン・アーソ(マッツ・ミケルセン)の行方を追って…という展開に。

そんな反乱軍部隊の中で印象的なキャラを挙げるなら、やはりドニー・イェンが演じたチアルート・イムウェでしょう。「盲目の僧侶」という昔のカンフー映画に出て来そうな武術の達人が、素手でストームトルーパーをなぎ倒す場面のなんたるカッコ良さ!

ジェダイが全滅してしまった(本当は違うけどw)とされている銀河系で、フォースの力と教えを信奉しているチアルートは、ジェダイではないためフォースを使うことは出来ません。しかし、強靭な精神と修業により、圧倒的な強さを身に付けているのです。

そしてチアルートと行動を共にするベイズは、フォースの存在を信じているわけではないものの、相棒で親友のチアルートを助けるために、巨大なブラスターを駆使して帝国軍を殲滅!クライマックスは、2人のコンビ愛が炸裂した名場面になっていて大いに泣けます。

一方、帝国軍の将校オーソン・クレニック(ベン・メンデルソーン)は、上司であるダース・ベイダーの指示に従いつつ、皇帝パルパティーンに取り入ろうと企む狡猾なキャラですが、最後はターキンによって粛清されてしまうという、何とも言えない小悪党っぷりが良かったですね(中間管理職の悲哀を感じましたw)。

また、この他にも『EP4』に登場したキャラが予想以上にたくさん出ているので、スター・ウォーズ好きにはたまらん状況と言えるでしょう。特にラスト付近で”あの人”が登場した時は、世界中のファンが「うおおおお!」と大興奮したに違いありません。そう、ダース・ベイダーです!

暗闇の中から例の呼吸音が不気味に鳴り響き、ライトセーバーが赤い光を放ったその瞬間の恐ろしさたるや、戦慄を覚えるほどの圧倒的な絶望感!兵士たちが抵抗するものの全く歯が立たず、次々と命を落としていく阿鼻叫喚の宇宙船内!

しかし、「何としてでもこのデータ(デス・スターの設計図)だけは守らねば!」という決死の思いで仲間に託し、受け取った兵士も命懸けでそれを届ける、まさに”地獄のバトン・リレー”によって「わずかな希望」が繋げられていくのです。

そして、最後にそのバトンを手にした人は……レイア・オーガナ姫!『EP4』の頃のレイア姫が、そのままの姿で登場してる!このシーンでも全スター・ウォーズ・ファンが「うああああ!」と歓喜の雄叫びを上げたことでしょう(もちろん顔はCGで、ノルウェーの女優イングヴィルド・デイラがレイアを演じている)。※以下、ネタバレ動画↓

その後、レイア姫を乗せた宇宙船(レベル・ブロッケード・ランナー)が脱出し、それをスター・デストロイヤーが追いかける…という『EP4』の冒頭シーンに続いていくわけで、まさに「伝説の始まり」に直接繋がる物語なんですよね。いや〜、ラスト5分がここまで盛り上がる映画ってなかなかないですよ(笑)。

ちなみに、本作でレイア姫を演じたイングヴィルド・デイラさんは、10歳の頃からノルウェーで舞台演劇を勉強し、2012年にはイギリスへ移住。そして大学の芸術学部を卒業した後は、映画の仕事を中心に活動しているそうです。

しかし、これまで出演した作品はマイナーな短編がほとんどで、あまりメジャーな映画には出ていません(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の脇役ぐらい)。つまり、『ローグ・ワン』が初の超大作&重要な役どころになるわけで(顔は出てないけどw)、デイラさんは感激したらしい。

なお、昨年末に急逝したキャリー・フィッシャーさんも今回の「CGレイア姫」の製作に協力しており、完成した映像を見てとても喜んでいたそうです。昨今はデジタル技術の進歩が著しいとはいえ、昔のレイア姫をこんなに上手く再現できるって凄いですねえ(^_^)


また、クライマックスのバトルシーンが「海岸を舞台にした壮絶なアクション」になっているところも大きな見どころでしょう。過去のシリーズでも砂漠や森林や雪原など、様々な背景で戦っていましたが、「海辺での戦闘」は史上初でとても新鮮でした(ギャレス・エドワーズ監督は「『地獄の黙示録』をイメージした」とコメント)。

あとは、出て来るメカやヘルメット等の装備品がどれも「旧三部作」を意識したデザインになっている点も素晴らしい。まあ、そのまま『EP4』に繋がるわけだから旧作準拠は当然とはいえ、計器のスイッチ類やモニターの表示まで「適度にダサい感じ」を再現しているのが良かったです(笑)。

というわけで、主に良い点ばかりを書いてきましたが、映画全体の作りとしては決して絶賛オンリーの出来栄えではありません。特に映画の前半部分は、キャラの言動やストーリー展開がモタモタしていてキレがなく、どうにも今一つでしたねえ。

中でもボーディ(リズ・アーメッド)がソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)に会いに行って会話するくだりや、そこへジンやキャシアンが合流するくだりが非常にダルいというか…「ぶっちゃけソウ・ゲレラっていらなくね?」と思ってしまいました(笑)。

だがしかし!後半になると急に勢いが加速し始め、ビックリするほど面白くなるんですよ。「一体どうして?」と驚いたんですけど、実はギャレス・エドワーズ監督が撮った最初のバージョンを観たディズニーの重役が不満を感じ、脚本家のトニー・ギルロイに後半部分を撮り直させたらしいのです。

具体的な状況はわかりませんが、ディズニー側は「映画全体の4割に及ぶ大幅な再撮影」があった事実を認めているので、初期のバージョンからかなりの修正が加えられたことは間違いないでしょう(実際、予告編にあった映像の多くが、本編ではカットされていました)。

また、チアルートを演じたドニー・イェンも「ギャレス・エドワーズ監督の時にはそれほど重要な役ではなかったのに、トニー・ギルロイ監督に替わったら急に活躍シーンが増えた」とコメントしており、変更部分は多岐に及んだことが分かります(撮り直してくれて良かったw)。



なお、本編にはいくつか気になるシーンもあって、チアルートが激しい銃撃戦の中を歩いていく場面で「スイッチの場所が目立ちすぎ!」とか、巨大なスター・デストロイヤーを小さな宇宙船(ハンマーヘッドコルベット)が破壊する場面で「タグボートタイタニック号を押してるようなもんだろ!」とか、思わず突っ込みたくなるような珍シーンもチラホラと(笑)。

いや、「物理的に可能かどうか」の問題ではなく、「えええ〜、スター・デストロイヤーってあんな小さな宇宙船にやられちゃうのかよ…」という、”帝国軍の巨大メカに対する脅威”が一気に失墜してしまうことが問題なんですよ(この映像はほとんどギャグでしょw↓)。


あと、「帝国軍はなぜデス・スターの弱点に気付かなかったのか?」というスター・ウォーズ・ファンの長年の疑問に答えてくれたのは嬉しかったんですが、あれって”弱点”と呼ぶにはあまりにも難易度が高すぎませんかね?

たまたま反乱軍の中にジェダイの資質を持ったルークがいたから良かったようなものの、普通の人なら絶対に失敗してるでしょう(実際、『EP4』でもメチャクチャ苦労してる)。なので、「ゲイリン・アーソさん、どうせならもう少し攻略しやすい弱点にしてくれよ…」と思わなくもありませんでした(笑)。

しかしながら、「主人公を含めて主要な登場人物がほぼ全員死亡」という衝撃的な結末は、過去の『スター・ウォーズ』シリーズではあり得ないほどシリアスな展開で、その壮絶かつ感動的なドラマの前では少々の突っ込みどころなど「取るに足らない問題」なのかもしれません。

いずれにしても、全シリーズの中で最も悲壮感漂う内容になった『ローグ・ワン』は、スター・ウォーズの世界観をしっかり継承しつつ、”次回作”の『エピソード4 新たなる希望』へ違和感なく繋げる見事な構成になっており、まさにファン必見の一作と言えるのではないでしょうか(^_^)


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