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『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』 「気持ち悪い」の意味は?


どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、NHKBSプレミアム新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にが放送されます。先週は前編の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2』が放送され、「次は後編?やべえ!ついにNHKでシンジくんのオ○ニ○シーンが流れるのか!?」とネットがザワついたようですが(笑)、さすがにそれはないでしょう(^_^;)

さて、ざっくり説明すると、この映画が公開されたのは1997年ですが、当初の計画ではTV版の総集編と第25話・第26話をフルリメイクした『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生』が97年3月に公開、そして7月には完全新作の劇場長編アニメ(TV版エヴァとは異なる内容)が公開予定となっていました。

ところが、庵野秀明監督の構想が膨らみすぎて、『REBIRTH』編の絵コンテが2時間40分を超えてしまい、当初の予定尺(60分)を大幅にオーバーする異常事態に!何とか脚本を書き直して87分まで圧縮するものの、作画のスケジュールが足りなくなり、3月の公開は絶望的となってしまったのです。

そこで急遽、公開1か月前の97年2月14日に東映本社会議室で緊急記者会見が開かれ、「当初”完結”を謳っておきながら、3月に完結できなくなりました。誠にもって申し訳ございません!」と庵野監督自ら謝罪するという異例の事態が勃発したのですよ。

映画が公開日に間に合わないというのは大変なことで、関係者にとっては一大事です。この時プロデューサーを務めていた大月俊倫さんも、精神的な重圧がもの凄かったらしく、庵野監督から電話で「もうダメだ」と告げられた時、「当時、私は中野のボロアパートに住んでたんですけど、夜中に窓をあけて絶叫しましたからね。なんで絶叫したのかわかんないんですけど(笑)」と後に語っていました。

しかも、大月さんがその知らせを受けたのが1月で、その時点では世間の誰もが(関係者も含めて)3月の公開を信じていたわけです。それなのに「映画が完成しないって知ってるのは庵野さんと私だけでしたからね。なのでマスコミの取材を受ける時にも”いい映画ができます!楽しみにしてください!”って嘘をつくしかなくて(苦笑)」と2月の緊急記者会見まで本当のことを言えない状況が辛かったという。

また、劇場版のシナリオを書いた薩川昭夫さんも、「庵野さんから脚本を依頼されたのが96年の11月でした。その時点で製作発表はとっくに終わってるのに。しかも、打ち合わせ中に1時間も『ジャンボーグA』の話をするわけですよ(笑)。そんなことやってる場合じゃないだろうって(笑)」と”エヴァが遅れた要因”を暴露。

結局、3月にはTVシリーズの総集編に当たる『DEATH』編と、未完成版の『REBIRTH』編(約28分)を公開し、7月に本当の完結編となる『Air/まごころを、君に』が公開されることになったのです。つまり、本来なら7月に公開予定だった「完全新作劇場版」は、幻のままで終わってしまったんですよねえ。でも、いったいどんな内容だったのでしょう?

庵野監督によると、そのプロットはなんと大ヒット漫画進撃の巨人』にそっくりだったらしく、「遠い未来、人類はほとんど滅亡しかかっていて、街は巨大なATフィールドで守られている。長い大きな橋だけが外界に通じていて、そこから使徒がやってきて襲ってくる。しかもその使徒は人間を食うんです」とのこと。

さらに「この凶悪な使徒に対抗できるのはエヴァンゲリオンだけ。でも、エントリープラグじゃなくて、子宮に直接入るんです。そして出るときは摘出手術。しかもタイムリミットがあって、間に合わないと取り込まれて人としては死んでしまう」等、オリジナル版とは全然違う設定だったらしい(確かに『進撃の巨人』に似てますねw)。

しかし、結局この「完全新作劇場版」は実現せず、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の2作品が上映されることになりました。出来れば『進撃のエヴァンゲリオン』も観たかったなあ(笑)。

なお、僕は『シト新生』の公開時に映画館で観たんですけど、『DEATH』編を観て「なんだこりゃ?」と思った後、『REBIRTH』編のラストに大興奮!アスカ(弐号機に搭乗)と戦略自衛隊との激しいバトルを描き、上空を旋回する量産型エヴァを見せつつ『魂のルフラン』が流れて「次回へ続く!」という、神懸かり的にカッコいい終わり方に全国のアニメファンが悶絶したとかしないとか(笑)。

今、当時の状況を振り返ってみると、『シト新生』(春エヴァ)が公開された時点では、ファンの反応は「まだ『Air/まごころを、君に』(夏エヴァ)があるし」「夏の完結編を観なければ何とも言えない」という、微妙だけれど”評価は一旦保留”みたいな感覚だったと思います。

それは、TV版の後半から心を病んでフェードアウトしていった惣流・アスカ・ラングレーの華麗なる(?)復活劇や、”人類補完計画”とか”死海文書”など、劇中で提示された数々の謎や疑問に対する”答え”が「夏の完結編で明らかになるかもしれない」という期待感があったからでしょう。


そして7月に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開され、前作を上回る大ヒット!当然のごとく僕も観に行きました。感想?たぶん皆さんと一緒ですよ(笑)。アスカの例のセリフが終わった瞬間、劇場の照明が明るくなって、ノロノロと席を立つ観客たちの真顔っぷりが今でも忘れられません。後にも先にも、映画館であんな空気を体験したのはあの時だけです(^_^;)

なんせ、全員「今観たものは何だったんだ…?」という表情でしたからねえ(笑)。当時の庵野さんはアニメファンに対してかなりの嫌悪感を抱いていたようで、「観客の突き放し方」が尋常じゃなかったです(後に「エヴァが現実逃避の場になることが耐えられなかった」と心境を告白)。あの頃はネットが発達してなかったから良かったものの、今なら炎上必至でしょうねえ(笑)。

中でも議論が白熱したのが、ラストシーンのアスカのセリフ。浜辺で横たわるアスカにまたがって首を絞めようとするシンジだったが、途中で泣き崩れてしまい、そんな様子を見てアスカが一言「気持ち悪い」と言い放つ。ここで映画はサクッと終わってしまうわけです(エンディングすら流れない)。「はあああ!?なんじゃそりゃ!?」と観客が困惑するのも無理はないでしょう(笑)。

このラストに関しては既に散々議論が交わされ、声優さんたちもラジオやインタビューで色々話しているため詳細は省きますが、アスカの声を演じた宮村優子さんがNHKの「BSアニメ夜話」に出演した際、具体的な状況を語っていたので、参考までにその一部を引用させていただきます。

私は、監督というものは最初に全部物事を決めていて、「こういうことをやりたいからこう表現して欲しい」と伝える人だと思ってたんですよ。でも、この最後の「気持ち悪い」というセリフもそうだったんですけど、庵野監督の方が投げかけてくるんですよね、「こういう時にこうなったらどう思う?」って。それは私だけじゃなくて他の声優さんにも聞いてました。で、私の場合は、アフレコで最後のセリフを録った後に「もう一度やり直すことになったから」と事務所に言われて。私一人が録り直しする予定だったんですけど、相手役の緒方さんが「掛け合いのセリフなので…」と一緒にやることになったんです。


で、二人でアフレコすることになったんですけど、実は最後のセリフって台本では「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ!」だったんです。でも、何回もそのセリフを言ってみたんだけど、庵野さんは「違う!そうじゃないんだ!」って何度もやり直しさせられて。休憩時間中にも緒方さんと「どうしたら監督の思うような表現が出来るんだろうね」とか話し合ってて。首絞められるシーンなんて、本当に緒方さんが私の上にまたがって首を絞めたぐらい(笑)、監督からの要求に応えようと必死でやってたんですけど、本当に難しくて…、う〜ん、リアルを求めてたのかなあ?


で、最後のセリフに関してはですね、これ言っていいのかどうか分かんないんですけど…、あの〜、もし宮村が…、”アスカが”とかじゃないんですよ(笑)。もし宮村が自分の部屋で一人で寝てて、窓から知らない男が入って来て、それに気付かずに寝てて、いつでも襲われるような状況だったにもかかわらず、襲われないで、寝ているところを見ながら、自分でオナニーされたと。で、それをされてる時に目が覚めたら何て言う?って聞かれたんですよ(笑)。「え!?」って。前から監督って変な人だなあって思ってたんですけど、その瞬間に気持ち悪ッ!って思っちゃって。で、「気持ち悪い……ですかねえ」って言ったら庵野監督、「あ〜、やっぱりそうか」とか言って(笑)。 (「BSアニメ夜話 2005年3月28日放送」より)

というわけで、「気持ち悪い」というセリフはこうして決まったようなんですが、宮村さんの発言を聞くと、「女性にそんな質問をする監督が気持ち悪い」という意味に思えてしまい、結局あのセリフはシンジではなく、庵野監督に向けられたものだったのか?と(笑)。

あと、「もし宮村優子が”私の寝顔をオカズにしながらオナニーしてくれる男の人って素敵!”とか思うような女性だったらどうなっていたのか?最後のセリフが変わっちゃってたんじゃないの?」等、色々気になる発言ではありました(^_^;)


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