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芸能人で日本語吹替えするならせめてこういう人を使ってくれ


先日、金曜ロードSHOW!で放送された『ジャックと天空の巨人』を見ていると、「あれ?なんか声がおかしいなあ」と感じたんですよね。主人公やヒロインの喋り方に何とも言えない違和感が…。と思って調べてみたら案の定、ジャック(ニコラス・ホルト)の声をウエンツ瑛士さん、イザベル姫(エレノア・トムリンソン)の声を平愛梨さんがそれぞれ吹き替えていました。

また、敵対する巨人側の吹き替えも、ガレッジセールのゴリさんやスリムクラブ真栄田賢さん、南海キャンディーズ山里亮太さんや博多華丸・大吉博多華丸さんや千原兄弟千原せいじさんなど、お笑い芸人の人たちが多数キャスティングされていたのです。「ああ、またこういうパターンか…」とガッカリしましたよ。

この『ジャックと天空の巨人』、映画自体は非常に良く出来てるんです。ストーリーも分かりやすくて面白いし、巨人が襲ってくるシーンも迫力があってリアルでした(日本の某巨人映画も見習って欲しいw)。ただ、僕は公開当時に字幕版で観たおかげで気付かなかったんですが、日本語吹き替え版に関しては毎度お馴染みの「有名芸能人を起用する」という悪しき慣例がまかり通っていたようです。

この”芸能人吹替え問題”については、以前から多くの映画ファンが指摘しているんですよ。にもかかわらず、いつまで経っても全く改善される兆しが見えません(具体的にどんな弊害があったかについてはこちらの記事をどうぞ → (これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10)。その理由は明白で、「芸能人を声優に起用すれば注目度が上がる」という、要するに”宣伝目的”なんですね。

映画ファンとしては「作品の印象に悪影響を及ぼすような宣伝なら止めてくれ!」と言わざるを得ないのですが、他に有効な手段が見出せない限り、恐らく今後もこのような傾向は変わらないのでしょう。であるならば、せめてもう少し吹き替えの上手い芸能人をキャスティングしてもらえないだろうか?というのが本日のテーマです。

世間的には「芸能人の日本語吹替えは全部ダメ」と思われているかもしれませんが、実は意外と吹替えが上手い芸能人も多いんですよ。その辺の事情に関しては以前こちらの記事にまとめて書いたので → (これはオススメ?意外と良かった日本語吹替え版映画ベスト10)、今回はそれ以外に僕が「この人って声優の仕事(アフレコ)が上手いなあ」と感心した芸能人を取り上げてみたいと思います。


蒼井優
・声優としての出演作:『鉄コン筋クリート』、『REDLINE』、『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』、『花とアリス殺人事件』など

日本を代表する有名女優の一人ですが、声の演技もメチャクチャに上手いんですよねえ。近年、洋画の吹き替えやアニメのアフレコで、プロの声優ではなく”女優さん”が声を当てるパターンは結構多いと思います。ただその場合、どんなに上手く演じていても、「脳裏に女優さんの顔が浮かんでしまう」という現象が起こりがちなんですよ。

これは、「役を演じる」という部分が同じであっても、声優と女優では必要とされるスキルが異なっているからだと思います。なので、「演技の上手い役者が必ずしも声優の仕事も上手いとは限らない」のですが、蒼井優さんはどちらも難なくこなしており、作品を観ている間は全く彼女の顔が浮かんで来ませんでした。

初めて『鉄コン筋クリート』を観た時も、完全にプロの声優さんだと思い込んでいたため、後から蒼井優さんと知ってビックリしたほどです。SFカーアクション・アニメ『REDLINE』も同様に声のスキルを活かしまくりで素晴らしい(なお、『REDLINE』の主人公は木村 拓哉でこちらもなかなか)。

中でも個人的にオススメしたいのは、岩井俊二監督の『花とアリス殺人事件』です。「ロトスコープ」という特殊な技法で作られたこのアニメは、実際の役者の動きをそのままトレースすることで見事な世界観を描き出した傑作だと思います。蒼井優の魅力が溢れまくっている点でも必見!観てない方は是非どうぞ(^.^)

花とアリス殺人事件

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谷原章介
・声優としての出演作:『ベクシル 2077日本鎖国』、『スカイ・クロラ』など

ベクシル 2077日本鎖国』を映画館で観た時、主人公のベクシルは明らかに黒木メイサさんなんですよ。別に黒木さんがヘタってわけじゃないんですが、どうしても顔が浮かんで来ちゃうんですね。でも谷原さんの顔は浮かんで来なかった。それだけキャラに馴染んでるんです。

スカイ・クロラ』も同じく、「誰がこの声を演じてるんだろう?」みたいなことが気にならない。素人が声を演じるとそういうことが気になるじゃないですか?でも、全然気にならないんです。その辺がやっぱり「上手いなあ」と思う所以でしょう(『スカイ・クロラ』では栗山千明さんも上手かった)。


松たか子
・声優としての出演作:『ブレイブ・ストーリー』、『アナと雪の女王

松たか子さんと言えば、大ヒットした『アナと雪の女王』でエルサを演じたことで有名ですが、その前に劇場アニメ『ブレイブ・ストーリー』で主人公:ワタルの声を担当しています。この映画は他に大泉洋常盤貴子ウエンツ瑛士今井美樹田中好子高橋克実柴田理恵など、多くの俳優やタレントが参加してるんですけど、やはり松たか子さんが飛び抜けて上手かったですねえ。

ブレイブ ストーリー

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長瀬智也
・声優としての出演作:『ストレンヂア 無皇刃譚』

ご存じ、大人気アイドルグループ・TOKIOのメンバー長瀬智也さん。主にドラマやバラエティー番組での活躍が目立ちますが、一度だけ劇場アニメに参加してるんですよ。それが『ストレンヂア 無皇刃譚』です。もちろん、声優初挑戦なんですけど、実に堂々とした演じっぷりが見事でした。


中川翔子
・声優としての出演作:『劇場版ポケットモンスター』シリーズ、『ドラゴンボールZ 神と神』、『塔の上のラプンツェル』など

中川翔子さんの本業はタレントですが、劇場アニメ13本、テレビアニメ10本、洋画の吹替え7本という具合に、声の仕事が非常に多いですね。まあ、本人が重度のアニオタなので(笑)、むしろ得意分野なのでしょう。特に『塔の上のラプンツェル』は実に素晴らしかった。


堺雅人
・声優としての出演作:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『戦闘妖精雪風』、『手塚治虫ブッダ -赤い砂漠よ!美しく-』など

「倍返しだッ!」の決め台詞で一世を風靡した『半沢直樹』でお馴染みの堺雅人さん。演技派俳優として人気を博し、現在は大河ドラマ真田丸』で真田幸村を演じていますが、なんと昔はTVアニメ『こち亀』で白鳥麗次を演じていたのですよ。

意外と言えば意外ですけど、改めて堺雅人さんの白鳥麗次を見てみると、テンションの高さで『リーガル・ハイ』の古美門研介に通じるものがあるかもしれません(笑)。なお、個人的にはOVA戦闘妖精雪風』で演じた深井零の冷静沈着な声が好きでした(^.^)


●優香
・声優としての出演作:『チキンラン』、『ぼくの孫悟空』、『ももへの手紙』など

女優業やバラエティ番組のアシスタントなど、マルチに活躍している優香さんは、劇場アニメ『ももへの手紙』で主人公のお母さん役を演じていました。これがメッチャ上手い!あまりにもナチュラルすぎて、普通に観ていたら優香さんとは気付かないほどです。もっと色んな作品に出て欲しいなあ。


勝地涼
・声優としての出演作:『銀色の髪のアギト』、『劇場版 機動戦士ガンダム00』、『UN-GO』など

映画やドラマ、舞台などで活躍中の勝地涼さん。連続テレビ小説あまちゃん』に“前髪クネ男”ことTOSHIYA役で出演し、強烈なインパクトを残したことでも有名ですけど、声優としての仕事も結構多く、安定感のある演技を見せています。


宮崎あおい
・声優としての出演作:『カラフル』、『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』など

映画やドラマのイメージが強い女優さんですが、勝地涼さんと共に『銀色の髪のアギト』へ出演している他、原恵一監督の『カラフル』や細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』にも声優として参加しています。そのどれもが抜群に上手い!


萩原聖人
・声優としての出演作:『逆境無頼カイジ』、『闘牌伝説アカギ 闇に舞い降りた天才』、『雲のむこう、約束の場所』など

萩原聖人さんは映画やドラマや舞台の仕事がメインですが、アニメや韓国ドラマの吹き替えやナレーションなど、”声の仕事”も非常に多く、その実力はもはや声優並みと言えるかもしれません。自身が大の”麻雀好き”だけあって、特に麻雀アニメ『アカギ』の演技には定評があります。


夏木マリ
・声優としての出演作:『千と千尋の神隠し』、『メタルギアソリッド4』、『プラダを着た悪魔』など

何と言っても『千と千尋の神隠し』の湯婆婆と銭婆が(キャラも含めて)強烈な印象でした。夏木マリさん自身もこの役を気に入っているらしく、「湯婆婆は、私にとって『里見八犬伝』の玉梓役以来のアタリ役かなって思うぐらい大好き」とコメントしています。


大泉洋
・声優としての出演作:『レイトン教授』シリーズ、『ハウルの動く城』、『バケモノの子』など

大泉さんは元々、北海道でのタレント活動で注目され、最近は俳優業が忙しくなっているようですが、意外と声優の仕事も数多くこなしてるんですね。しかも、『千と千尋の神隠し』、『猫の恩返し』、『茄子アンダルシアの夏』、『ハウルの動く城』、『思い出のマーニー』、『星をかった日』(三鷹の森ジブリ美術館限定公開)など、やたらとスタジオジブリの仕事が多いんですよ。

まあ、それだけ多くのアニメ作品に起用されるだけあって、さすがに声優の仕事も上手いです。昨年は細田守監督の『バケモノの子』で多々良役を演じ、これまた非常に上手かった。普段はコメディっぽい役が多い大泉さんですが、声優業では色んなキャラを見ることが出来るので、それも楽しみですね。


このように見てみると、タレントやアイドルや俳優など、”プロの声優”以外の人でも声の演技が上手い人はいっぱいいるわけですよ。外国映画を宣伝する側が「知名度の高い人に声を演じてもらって少しでも作品に注目して欲しい」と考えるならば、せめてこういう人たちをキャスティングしてもらいたいんですよねえ。

もちろん「プロの声優を使う」のがベストな選択なのは言うまでもありません。が、宣伝のためにどうしても芸能人に頼らざるを得ないのであれば、ヘタな人に頼むより、上手い人を探してその人に頼む方を優先すべきというか、それが当然だと思うんですけど。

なので日本語吹き替えのキャスティングを担当している人に言いたいのは、例えばお笑い芸人に依頼する場合でも、『モンスターズ・インク』の田中裕二さんや石塚英彦さんのようにアフレコが上手い芸人さんは世の中にいるわけですから、出来ればそういう人を起用してもらえないでしょうか?ということなんです。どうかよろしくお願いしますm(__)m


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