先日、以下の記事を書いた際、映画秘宝の『進撃の巨人』レビューが偏りすぎていることに対して不満をぶつけ、「どうせなら柳下毅一郎のレビューも載せてくれよ!」と訴えた。
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そしたらなんと、今月号の映画秘宝に柳下毅一郎と町山智浩の対談が載っているではないか!しかも柳下さんが『進撃の巨人』に突っ込みを入れまくっている!これだよ!こういうのが読みたかったんだよ映画秘宝!
すでに何度も書いてるけど、僕は別に「実写版『進撃の巨人』は貶されるべき映画だ」なんて思ってない。むしろ「前篇はそれなりに面白い所もあった」と思っている。しかし、現在出回っている評論家のレビューはひたすら「特撮が凄い!」「巨人の表現が凄い!」といい所ばかりを取り上げ、悪い部分に一切触れようとしていないのだ。
町山さんに気を遣っているのか、樋口監督に義理があるのか知らないが、例え本当に「面白い」と思ったとしても、「悪いところが全く無い映画」なんて有り得るのだろうか?そして実写版『進撃の巨人』は本当に「悪いところが全く無い映画」なのだろうか?
否!どんな映画でもいい所があれば悪い所もある。ましてや実写版『進撃の巨人』は観客の間でもハッキリと賛否が分かれている作品だ。そういう意見に目をつぶり、劇中の奇妙なシーンも敢えてスルーしている評論家のレビューは「あまりにも不自然」と言わざるを得ない。
それどころか、レビュワーの中には「劇中の奇妙なシーン」を無理矢理正当化しようとしているヤツまでいる始末。例えば、「サンナギが巨人を背負い投げする」という、どう考えても有り得ない状況に対し、「”巨人の体重は見た目よりもずっと軽い”という設定が原作にある。だからあれは正しい描写なんだよ!」とドヤ顔で解説しているのだ。
しかしこれは完全に間違いである。なぜなら、町山さんが書いた脚本では巨人のサイズが全く異なっており、「非常に小さい巨人を投げ飛ばす」と想定していたからだ。参考にしたのは単行本の10巻にあるこのシーン。↓
町山さんはこういうイメージで脚本を書いていたのに、完成した映画を観たら10メートルぐらいの巨人を投げ飛ばしていてビックリしたらしい。つまり、原作の設定なんて全然関係なかったのだ。「巨人は見た目よりも軽いから背負い投げ出来る」とか抜かしてたヤツ、出て来いや!そもそも人間の力で投げ飛ばせるぐらい軽いなら、立体機動装置なんていらねーだろ!
このように、変なシーンがあったら素直に「変だ」と言わないと、無理に正当化しようとしたって論理が破綻するだけなのだ。今回の映画秘宝は、その辺の問題に柳下さんが容赦なく突っ込み、町山さんが答えるという構成になっていて、大変興味深い。ありがとう映画秘宝!これからも読み続けるよ!
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