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漫画やアニメはなぜ次々と実写化されるの?儲かるからだよ!

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて突然ですが、最近「漫画やアニメの実写化」がやたら増えていると思いませんか?

現在も劇場では『新宿スワン』や『予告犯』や『脳内ポイズンベリー』や『海街diary』などの”漫画原作映画”が上映され、さらに今後も『銀のスプーン』『俺物語!』『バクマン。』『アイアムアヒーロー』『テラフォーマーズ』『ちはやふる』『進撃の巨人』など、続々と話題作が作られる予定になっており、もはや実写化の勢いは止まる気配がありません。

ただ、気になることがありまして…。

たしかに、漫画やアニメの実写化が発表されると「あの名作アニメがついに実写化されるのか!」「楽しみだな〜」と喜ぶ人もいるでしょうけど、逆に必ず「原作と違う!」とか「スタッフは原作のことを何も分かってない!」などと批判するファンも現れます。むしろ、世間的にはそういう声の方が多いのではないでしょうか?

にもかかわらず「どうして次から次へと漫画やアニメが実写化されるんだろう?」ってことが凄く不思議なんですよねぇ。だって、そんなに実写化を嫌いな人が多いなら、誰も実写化作品を観ないはずじゃないですか?しかし現実に、漫画やアニメの実写化はもの凄い勢いで増え続けているんですよ。いったい、なぜなのか?

もし「実写化して良かった作品なんて存在しない」という意見が事実なら、とっくに実写化作品なんて無くなっているはずでしょう。でも実際は、無くなるどころか年々増加している…てことは逆に「実写化作品は成功している」と考えるべきなのではないだろうか?と。

まあ、何をもって”成功”と見なすかについては色々な意見があると思いますが、ここでは企業側の考え方、すなわち”商業的な成功”を前提としてみましょう。

なお、TVドラマにも『孤独のグルメ』みたいに成功した例がありますが、映画の場合はより具体的な興行収入(お金)ではっきり判断できるため、今回はTVではなく”漫画やアニメの実写映画”について検証してみたいと思います。

さて、一般的に”映画のヒットの基準”は「10億円から」と言われており、30億円を超えたら大ヒットで、その時点で続編の製作が決まることもあるそうです。なので、ここ10年以内に公開された”漫画やアニメの実写映画”のうち、10億円以上の興行成績をあげた作品がどれだけあるのか調べてみました(以下、タイトルと興行収入です)。


・『ROOKIES 卒業』 85.5億円
・『THE LAST MESSAGE 海猿』 80.4億円
・『花より男子ファイナル』 77.5億円
・『BRAVE HEARTS 海猿』 73.3億円
・『LIMIT OF LOVE 海猿』 71.0億円
・『テルマエ・ロマエ』 59.8億円
・『キングダム』 57.3億円
・『今日から俺は!!劇場版』 53.7億円
・『るろうに剣心 京都大火編』 52.5億円
・『デスノート 後編 the Last name』 52.0億円
・『キングダム2 遥かなる大地へ』 51.6億円
・『信長協奏曲』 46.1億円
・『ALWAYS 続・三丁目の夕日』 45.6億円
・『東京リベンジャーズ』 45.0億円
・『テルマエ・ロマエ Ⅱ』 44.2億円
・『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』 44.1億円
・『るろうに剣心 伝説の最期編』 43.9億円
・『るろうに剣心 最終章 The Final』 43.5億円
・『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』 41.0億円
・『SPACE BATTLESHIP ヤマト』 41.0億円
・『NANA』 40.3億円
・『20世紀少年 第一章 終わりの始まり』 39.5億円
・『銀魂』 38.4億円
・『翔んで埼玉』 37.6億円
・『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』 37.2億円
・『銀魂2 掟は破るためにこそある』 37.0億円
・『暗殺教室 卒業編』 35.1億円
・『ごくせん THE MOVIE』 34.8億円
・『どろろ』 34.5億円
・『ALWAYS 三丁目の夕日'64』 34.4億円
・『GANTZ』 34.5億円
・『進撃の巨人(前篇)』 32.5億円
・『orange -オレンジ-』 32.5億円
・『ALWAYS 三丁目の夕日』 32.3億円
・『DESTINY 鎌倉ものがたり』 32.1億円
・『ヤッターマン』 31.4億円
・『映画 怪物くん』 31.3億円
・『L change the World』 31.0億円
・『クローズZERO II』 30.2億円
・『20世紀少年 第二章 最後の希望』 30.1億円
・『るろうに剣心』 30.1億円
・『デスノート 前編』 28.5億円
・『暗殺教室』 27.7億円
・『GANTZ PERFECT ANSWER』 28.2億円
・『ホットロード』 25.2億円
・『僕等がいた 前篇』 25.2億円
・『るろうに剣心 最終章 The Beginning』 25.0億円
・『クローズZERO』 25.0億円
・『ルパン三世』 24.5億円
・『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』 23.8億円
・『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』 23.6億円
・『デトロイト・メタル・シティ』 23.4億円
・『ストロボ・エッジ』 23.2億円
・『大奥』 23.2億円
・『カイジ 人生逆転ゲーム』 22.5億円
・『かぐや様は告らせたい』 22.4億円
・『デスノート Light up the NEW world』 22.0億円
・『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』 21.9億円
・『ヘルタースケルター』 21.5億円
・『僕の初恋をキミに捧ぐ』 21.5億円
・『モテキ』 21.5億円
・『ライアーゲーム 再生』 21.0億円
・『カイジ ファイナルゲーム』 20.6億円
・『約束のネバーランド』 20.3億円
・『寄生獣』 20.2億円
・『帝一の國』 19.3億円
・『アルキメデスの大戦』 19.3億円
・『アオハライド』 19.0億円
・『ホタルノヒカリ』 18.8億円
・『BALLAD 名もなき恋のうた』 18.1億円
・『カノジョは嘘を愛しすぎてる』 17.8億円
・『今日、恋をはじめます』 17.7億円
・『ザ・ファブル』 17.7億円
・『バクマン。』 17.6億円
・『BECK』 17.6億円
・『海猿』 17.4億円
・『ちはやふる -結び-』 17.3億円
・『僕等がいた 後篇』 17.2億円
・『クロサギ』 17.1億円
・『進撃の巨人(後篇)』 16.8億円
・『海街diary』 16.8億円
・『おそ松さん』 16.7億円
・『ちはやふる-上の句』 16.3億円
・『岳-ガク-』 16.3億円
・『アイアムアヒーロー』 16.2億円
・『カイジ2 人生奪回ゲーム』 16.1億円
・『宇宙兄弟』 15.7億円
・『君に届け』 15.3億円
・『CASSHERN』 15.3億円
・『ミュージアム』 15.0億円
・『寄生獣 完結編』 15.0億円
・『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 14.2億円
・『僕だけがいない街』 14.0億円
・『ヲタクに恋は難しい』 13.4億円
・『新宿スワン』 13.3億円
・『予告犯』 13.1億円
・『黒崎くんの言いなりになんてならない』 12.3億円
・『ちはやふる-下の句』 12.2億円
・『神さまの言うとおり』 12.2億円
・『映画 妖怪人間ベム』 11.7億円
・『近キョリ恋愛』 11.7億円
・『空母いぶき』 11.6億円
・『カムイ外伝』 11.2億円
・『鋼の錬金術師』 11.1億円
・『東京喰種 トーキョーグール』 11.0億円
・『好きっていいなよ。』 11.0億円
・『あしたのジョー』 11.0億円
・『斉木楠雄のΨ難』 10億円


お〜、こうして見ると結構ありますねぇ。結果としては、森田まさのり原作の野球漫画を実写化した『ROOKIES 卒業』がぶっちぎりの大ヒットを記録しています。繰り返しになりますが、日本では「10億円を超えればヒット」「30億円を超えれば大ヒット」と言われています。そんな状況で、30億を超えている実写化作品が41本もあるんですよ。凄くないですか?

しかも『ROOKIES 卒業』の場合は、なんと85億5000万円!同時期に公開された『ハリー・ポッターと謎のプリンス』が80億円、『ターミネーター4』が33億円であったことを考えれば、超特大のウルトラメガヒットと言えるでしょう。

そもそも日本映画はハリウッドに比べると製作費が安く、だいたい3億円〜5億円ぐらいが相場だそうです。『ROOKIES 卒業』には派手な戦闘シーンや大量のCG合成も必要ないので、おそらく予算は(宣伝費等を除いて)5億円以下でしょう。ということは……ボロ儲けだ!

実写化に反対する人たちは「実写化で成功した作品などない!」と豪語してるようですが、少なくとも商業的にはこれだけ多くの映画が成功を収めているわけですよ。「実写化された作品はほとんどコケている」というイメージも誤りだったようですね。

あと、やっぱり『海猿』シリーズが強い(トータルで240億を超えてる!)。原作者の佐藤秀峰さんは2012年にフジテレビと喧嘩して「もう二度と『海猿』の続編製作は許可しない」と言っていましたが、つい先日、フジテレビ側からの謝罪により和解したそうです(そりゃ、こんな金になるコンテンツを手放せるわけないよなあw)。

上位はいわゆる「メガヒット」ってやつですが、それ以外の”普通のヒット作”が意外と多いのにも驚きました。「こんなのヤマトじゃねえ!」とファンからバッシングを浴びまくった『SPACE BATTLESHIP ヤマト』が41億円。「原作の良さがどこにもない!」と酷評された『GANTZ』が34億円。某映画批評家から100点満点中3点という最低な評価を下された『ルパン三世』ですら24億5000万円も稼いでいるのですから(なんでこんなにヒットしてるの??)。

結局、作品の評価がどうであれ、お客さんが入るから実写版は作られ続けるんですよ。もし大ヒットすれば莫大な収益が見込めるし、コケても製作費が安いのでダメージは少ない。おまけに安い原作使用料(『テルマエ・ロマエ』の場合は100万円)を払えばネームバリューの高い人気漫画を自由に実写化できるのですから、こんなオイシイ話はありません。まさにローリスク・ハイリターン!


特に最近は、ビッグバジェットのハリウッド超大作がヒットし難い状況が続いているため、映画会社はますます原作モノに頼る傾向が強くなっていると思われます。たとえば2014年に公開された『X-MEN:フューチャー&パスト』の場合、アメリカでは2億ドル(200億円以上)も稼いでいるのに、日本での興行収入は約10億円ですからね。やっぱり、馴染みのないアメコミ原作よりも、よく知っている日本の漫画原作の方が日本人には受け入れやすいのでしょう。

極論すれば、日本国内では公開当時にボロカスに叩かれた『CASSHERNでさえ、製作費235億円の『X-MEN:フューチャー&パスト』に勝ててしまうんですよ。つまり、”有名作品の実写化”というフレーズに釣られる人がそれだけ多いわけで、いかに世間が漫画やアニメの実写化に甘いか、実感せずにはいられません。

なお繰り返しになりますが、これはあくまでも”商業的な成功”であって、”作品の評価”とは全く別の話です。実際、大ヒットした映画でも酷評だらけの作品はいっぱいありますから(むしろ、そこが大きな問題なのではないでしょうか?)。

というわけで、漫画やアニメが次々と実写化される理由は、「作れば儲かるから」です。いくら「実写版は駄作だ!」「こんなものがヒットするのはおかしい!」などと喚いたところで、観に行く人がいる限りこの流れは止めようがなく、「お客さんが入るから会社が儲かり、次々と新しい実写作品が作られてしまう」というサイクルが続いていくのですよ(ヒットしなければ自然に実写化なんて無くなるはずだから)。まあ、「それだけ漫画やアニメの実写版が費用対効果の高いコンテンツとして定着している」ということなのでしょう。

ただ、「じゃあどんな実写版でもヒットするのか?」と言われれば、もちろんそんなことはないわけで。例えば、皆さん良くご存じの『デビルマン』や『ドラゴンボール EVOLUTION』(笑)。”ダメな実写化”の筆頭に挙げられるほど伝説的な迷作ですが当然の如く興行成績も最悪で、まさに”評価”と”結果”が正しく一致した納得できるパターンと言えるでしょう。

こういうパターンが多ければ、さすがに作り手側も「ダメだ!やはり実写化は儲からない!」と見切りをつけて実写化をやめるか、あるいは「どうすれば原作ファンを満足させられるんだろう?」と真剣に考え、キャスティング・脚本・予算等を見直し、よりクオリティの高い実写化を目指そうとするはずです。

しかし現実は、キャストに人気アイドルを起用し、適当な脚本を書き、そこそこの予算で制作した映画に「あの名作漫画がついに実写化!」というキャッチコピーを被せれば、それなりにお客が入ってしまうのですよ。てことは、観る方にもある程度の責任があるんじゃないのかな?と(自分の好きな漫画が実写化されたら、気になってつい観に行っちゃうんだよねぇ…)。

いや、もちろん全ての実写映画がダメなわけではありません。中には良く出来た実写化作品もありますよ。最近では『るろうに剣心』や『アイアムアヒーロー』のように、しっかりした意欲を持って実写版の制作に取り組む志の高いクリエイターが増えてきて嬉しく思っています。こういう映画がヒットして儲かれば、さらにレベルの高い実写映画が作られ…という好循環が生まれると思うんですけどね(なかなかそういう作品が出てこないんだよなあ…)。

最後に、『GANTZ』の作者の奥浩哉さんが「どうして漫画やアニメが次々と実写化されるのか?」についてズバッと核心を突いた意見をツイートしていたのでご紹介します。

さすが奥先生、ここまでハッキリ言い切るとは(^^;)

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