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これだけは観ておけ!監督別おすすめアニメ映画ベスト16


昨年は、「男の魂に火をつけろ!」さんのブログの企画で「好きなアニメ映画」を10作品ランキングしてみたんですけど(「アニメ映画ベストテン」の記事はコチラ)、上位10本のみを選ぶという都合上、「好きだけど選べなかったアニメ」がかなり残ってしまいました。それが何となく悔しいので(笑)、メモ代わりに書き連ねておきます。一応、監督別に分けてますが、全ての監督作品を挙げているわけではなく、あくまでも「個人的におすすめしたいタイトル」を並べているだけなので悪しからず(^.^)


宮崎駿監督作品
2013年に突然の引退発表で世間の注目を集め、昨年の2014年にはアカデミー名誉賞を受賞した世界の巨匠:宮崎駿。そんな宮崎監督の作品の中でも「どれが一番好きか?」と尋ねられたら、人によって意見が分かれるんじゃないでしょうか。

僕は宮崎監督の映画を一応全部観ていてDVD等も持ってます。ただ「宮崎アニメは全部好き!」というほどの宮崎信者ではないので、やはり好き嫌いがあるんですよね。特に近年の作品は「なんじゃこりゃ?」と思うようなものが多いため、意外と評価は低めになっているかもしれません(苦笑)。

自分の中では、1位『ラピュタ』、2位『カリオストロの城』、3位『風の谷のナウシカ』、4位『On Your Mark』、5位『となりのトトロ』、6位『もののけ姫』、7位『ハウルの動く城』みたいな感じでしょうか。こうして見ると定番メニューっていうか、まあ割と普通ですね(^_^;)

なお、『On Your Mark』は「CHAGE and ASKA」のASKA氏が覚せい剤で逮捕されたことで販売中止になっていましたが、現在『宮崎駿監督作品集』を購入すると無料でディスクがもらえるそうです(ただし、2015年10月31日まで)。

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高畑勲監督作品
高畑監督作品の中では最新作の『かぐや姫の物語』がダントツで1位。これは内容がどうこうっていう問題じゃなくて、「商業ベースで芸術作品を作ってしまった」という”状況そのもの”が凄いんですよ。絶対にジブリでなければ作れないアニメだし、高畑監督でなければジブリも作らせなかったであろう作品です。観てない人はぜひ!

あとは『火垂るの墓』と『太陽の王子ホルスの大冒険』ですね。『ホルス』は高畑さんの初監督作品というだけでなく、宮崎駿が画面構成などの制作スタッフとして関わっている点でも見逃せません。一方の『火垂るの墓』はどちらかと言えば”苦手なアニメ”なんですけど、「観た人の心に強烈なインパクトを与える」という意味においては必見の作品でしょう。

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富野由悠季監督作品
現在も『Gのレコンギスタ』で精力的な活躍を見せている富野監督。僕らの世代にとって『機動戦士ガンダム 劇場版三部作』は、もはや「観てるのが当然」というレベルなんですが(福井晴敏は”義務教育”とまで言い切ったw)、最近はそうでもないらしい。でも、やっぱりファーストは観ておくべきでしょう。また、『伝説巨神イデオン接触篇・発動篇』と『逆襲のシャア』も同様に必見レベルと思われます。

あと、続編の『機動戦士Zガンダム 劇場版三部作』はちょっと微妙なんですが、「一応観ておいた方がいいかも」という感じですかね。『劇場版∀ガンダム 地球光・月光蝶』と『F91』は公開当時に劇場で観たんですけど、途中で寝てしまいました(笑)。

ついでに”ガンダム繋がり”で言うと、『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』と『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート』もおすすめしておきます。特に『0083』は、ファーストガンダムを観た人ならぜひとも押さえておきたいところ。1年戦争から『Z』へ至る濃密な人間ドラマと、手描きアニメの限界を極めた超絶的な作画技術が堪能できます(ただし「ヒロインがビッチ」という難点ありw)。

押井守監督作品
押井監督の作品は独特の世界観が特徴なので、人によってかなり評価が分かれるんじゃないでしょうか。僕の中では、1位『機動警察パトレイバー2 the Movie』、2位『パト1』、3位『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(つい先日ようやくブルーレイが発売されて嬉しい限り。つーか、もっと早く出せ!)、4位『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、5位『イノセンス』みたいな順位になります。え、『スカイ・クロラ』?別に観なくてもいいんじゃないかなw

大友克洋監督作品
大友監督の作品では『AKIRA』、その次に『スチームボーイ』が良かった(特典満載のDVDボックスも買いましたよ)。ただ、作画技術的には確かに凄いけど、映画としては『AKIRA』の方が好きなんですよね。

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あとは『MEMORIES』と『SHORT PEACE』なんですが、複数の作品が混在しているので監督毎にバラつきが(笑)。その中から敢えて選ぶとすれば『最臭兵器』、『彼女の想いで』、『武器よさらば』ぐらいかな(って大友克洋作品じゃなかったw)。オムニバス作品なら『ロボットカーニバル』の方をおすすめしておきましょう(OVAですけど)。

細田守監督作品
世間的な評価としては『おおかみこどもの雨と雪』がやはり上位に来ると思われますが、細田監督の作品は『時をかける少女』にしても『サマーウォーズ』にしても、安定して面白いのが最大の特徴ですね(個人的には「安定しすぎてややパンチに欠ける」という気がしなくもない)。

中でも『おおかみこどもの雨と雪』では、「本来動かないはずの背景美術を動かす」という難題にチャレンジしている点が見どころ。大量にCGが使われているにもかかわらず、それとは気付かせない自然な描写になっている点も素晴らしい。

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原恵一監督作品
劇場版『クレヨンしんちゃん 』シリーズにおいて、『暗黒タマタマ大追跡』から『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』までを製作した原監督は、『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』で話題を集め、各方面から高い評価を得たことでも知られています。実際、単なる子供向けアニメとは一線を画した、「大人が観て泣けるアニメ」となっている点に驚きました。『河童のクゥと夏休み』と『カラフル』も要チェック。特に『カラフル』はキャラクターの描き方といい、世界観の作り方といい、とても丁寧に演出されていて好感が持てます。

りんたろう監督作品
りんたろう監督と言えば『劇場版 銀河鉄道999』。これはもう「観てないヤツは今すぐ観ろ!」としか言いようがない(逆に続編の『さよなら銀河鉄道999』は個人的には「う〜ん」って感じでイマイチ)。その他、りん監督作品の中ではあまり評価されていないようですが、『メトロポリス』は凄いですよ、作画が(笑)。とにかく、画面を埋め尽くすディテールの量が尋常じゃないですから。内容的にはともかく、10億円の製作費と15万枚の作画枚数を継ぎ込んだ圧倒的な映像美は必見と言わざるを得ません。あとは『幻魔大戦』!これも見どころは作画の方なんですけど(笑)、キース・エマーソンのサントラも聞きどころです。

出崎統監督作品
出崎監督作品の中では『エースをねらえ!』と『あしたのジョー2』が凄かった。特に「3回繰り返しショット」「止め絵」「ハーモニー処理」「画面分割」「回り込み」「カットバックの多用」「縦横パンニング」「入射光」など、”出崎演出”と称される数々の独創的な表現技法は後のアニメ作品にも多大な影響を与え、「アニメ界のブライアン・デ・パルマ」と呼んでも過言ではないほどの実績を残しています。中でも画期的だったのは、やはり「透過光を使った吐瀉物の表現」でしょう。『あしたのジョー2』で初めて”光るゲロ”を見た時は衝撃を受けました(笑)。

川尻善昭監督作品
川尻監督といえば何と言っても『妖獣都市』!元々OVAとして作られた本作は、あまりの出来の良さから急遽劇場公開されるなど、完成度の高さは折り紙つきです。作画のクオリティや内容のハードさは今観ても「凄い!」としか言いようがありません。ただし、エロとグロの描写が結構激しいので、その手の映画が苦手な人は気をつけてください(笑)。『獣兵衛忍風帖』(もっとグロくなってる!)や『バンパイアハンターD』も一見の価値あり。

今敏監督作品
今監督の作品は全部観ましたが、どれも完成度が高くて面白かったです。その中でも、個人的には『パーフェクトブルー』が一番おすすめ。”虚構と現実”を巧みに描いたサイコサスペンスとして、映像的にも内容的にも非常に見応えがありますよ(ダーレン・アロノフスキー監督の『ブラック・スワン』にも影響を与えた)。あとは『千年女優』、『東京ゴッドファーザーズ』、『パプリカ』も同様にハイレベルな作品なので、機会があればぜひご覧ください。

沖浦啓之監督作品
沖浦啓之は『機動警察パトレイバー the Movie』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などで作画監督を務めた凄腕アニメーターです。初監督作品の『人狼 JIN-ROH』は、そんな沖浦氏の作画スキルが存分に発揮された快作となっており、リアリズムを追求した画面は”素晴らしい”の一言!

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しかし監督2作目となる『ももへの手紙』は、沖浦監督の”絵に対するこだわり”が強すぎて完成までになんと7年も掛かってしまいました。内容的にもやや淡泊なので評価は別れるかもしれません。でも、キャラクターが生き生きと良く動く、見事なアニメーションなので観て損はないでしょう。

安彦良和監督作品
映画『クラッシャージョウ』は、『機動戦士ガンダム』などのキャラクター・デザインで知られる安彦良和の初監督作品です。作画スタッフとして河森正治板野一郎など『マクロス』のメンバーが参加。さらにスペシャル・デザインとして、吾妻ひでおいがらしゆみこいしいひさいち大友克洋高橋留美子竹宮惠子とり・みき鳥山明細野不二彦など、有名漫画家が多数参加したことでも話題になりました。

また、自身の原作漫画をアニメ化した『アリオン』や『ヴィナス戦記』は、優秀なアニメーターが集結しているため作画のレベルが非常に高い。ただし、興行的にはイマイチだったらしく、安彦氏はこの後監督業から引退。しかも、『ヴィナス戦記』に関しては「二度と観たくない」という安彦氏の意向によりDVD化もされていません。もったいないなあ(海外版は入手可能)。

さらに今年は安彦さんが25年ぶりにアニメ業界に復帰し、総監督、キャラクターデザイン、絵コンテを担当した『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』が2月28日より全国13の劇場で公開されます。シャアとセイラの兄妹の過去から、ジオン独立戦争の開戦に至る経緯を描くこの物語は、安彦さんの原作漫画を自らアニメ化したものとして大いに期待できるんじゃないでしょうか。

新海誠監督作品
もともとゲームソフト会社の社員だった新海さんは、勤務していた頃からアニメ製作に興味を持ち、2002年に監督・脚本・演出・作画・美術・編集などほとんどの作業を一人で行った約25分の自主制作アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、その後本格的にアニメーション監督に転向した若手クリエイターです。

新海監督の作品の特徴は、何と言っても緻密な作画技術でしょう。『ほしのこえ』、『雲のむこう、約束の場所』、『秒速5センチメートル』等、どの作品も丁寧に描き込まれた背景美術が美しすぎて圧倒されること間違いなし!

これらの背景は実写の映像(写真)をベースにCGで加工したものを採用しているそうで、最初に公開された時は「実際の風景と区別がつかない!」と話題になりました。特に”光りの表現”が秀逸で、後のアニメにも大きな影響を与えています。

杉井ギサブロー監督作品
杉井ギサブロー監督と言えば、手塚治虫が作った日本最初の本格的テレビアニメ『鉄腕アトム』にも参加していたほどの大ベテランです。17歳で東映動画に入社し、虫プロ出崎統らと様々な作品に関わり、虫プロを退社後も『ルパン三世』や『まんが日本昔話』などの有名作品を次々と立ち上げ、アニメ界に多くの実績を残しました。

ところがその後、なぜか突然アニメの仕事を辞めて放浪の旅に出てしまったのです。それも単なる旅行じゃありません。なんと、約10年間も日本各地を転々としながら、自分で描いた絵を1枚500円で売って生活費を稼いでいたのですよ。以下、当時のことを語った杉井さんのインタビューより。

「京都では有名なお寺のそばで露天商とならんで絵を描いて売ってましたし、岡山県の山間部では農家を借りて、そこに3年半もいました。まさに風来坊そのものでした。旅する間に日本の風景や生活、文化を見聞し、思索をめぐらせる中で、日本人とは何だろう、人間とはなんだろう、生きるとはなんだろうという答えが、なんとなく見えてきたんです。それがアニメ界への復帰後の演出や脚本に生きている。それは作家としての大きな財産ですね」


なんかもう、”修行僧”みたいですねえ(笑)。より良いアニメを作るために修行するアニメ僧侶かと(笑)。しかし、このような10年の放浪生活を経てアニメ界に復帰した杉井監督は『銀河鉄道の夜』、『タッチ 背番号のないエース』、『あらしのよるに』など、次々と優れた作品を生み出しました(個人的には『ストリートファイターII MOVIE』も秘かにオススメしておきますw)。

ちなみに、杉井ギサブロー監督の壮絶な人生は『アニメ師・杉井ギサブロー』というタイトルでドキュメンタリー映画にもなっていて、こちらもなかなか面白いですよ(^.^)

庵野秀明監督作品
皆さん良くご存じの庵野秀明監督です(笑)。大阪芸術大学時代に自主制作アニメ『DAICONフィルム』でアニメーターとしての才能を発揮して以来、『超時空要塞マクロス』では板野一郎、『風の谷のナウシカ』では宮崎駿を(勝手に)師匠と呼び、『王立宇宙軍オネアミスの翼』ではリアリティを極めた驚異の作画技術で観客のド肝を抜きまくるなど、”天才アニメーター”の称号を欲しいままにしていました。

そしてオリジナルビデオSFアニメ『トップをねらえ!』で、ついに監督デビューを果たします。当時、仕事が無くて暇だった庵野さんは、たまたま机の上にあった脚本を読んだらあまりにも見事な物語に感動して号泣。本来は樋口真嗣が監督する予定だったのに「自分がやりたい!」と言い出し、急遽『トップをねらえ!』は庵野秀明初監督作品に決定したのだそうです。

ところが初めての監督で気合いが入り過ぎたのか、予算を大幅にオーバーしてしまい、ビデオは売れたものの大変な借金が発生してしまいました。その後、『ふしぎの海のナディア』を監督した時も、元々の予算が少なすぎたこともあり、またまた大赤字を叩き出して一時は会社(ガイナックス)が傾くほどの危機的状況に陥ったそうです。

そんな庵野監督が「今度こそ大ヒットさせなければ…!」と決死の覚悟で挑んだ作品が『新世紀エヴァンゲリオン』だったのです。魅力的なキャラクターや斬新なメカアクション、謎が謎を呼ぶミステリアスなドラマ展開などが視聴者の心を掴んで話題沸騰。ついに劇場用アニメとして映画化が決定しました。

こうして1997年に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が全国東映・東急系で公開、さらにそれから10年後の2007年にリメイク版の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が公開され、どちらも驚異的な大ヒットを記録。特に『新劇場版:破』では新キャラのマリを登場させ、ストーリーにも大幅な変更を加えるなど、過去の物語を大胆に再構築していく姿勢がまさに”破”という感じで衝撃でした。

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