本年も残すところあと数時間となった大晦日、皆様いかがお過ごしでしょうか?さて、例年なら今年観た映画のベストテンを選ぶところなんですが、今回はちょっと趣向を変えて全体的な総括にしたいと思います。なぜそんなことになったかというと、順位を付けにくかったからなんですね。
いつもなら、「え〜と、今年観た映画の中で一番面白かったのは…」という具合に上から順に選んでいって10本を選出するんですけど、今年は「コレ!」って決められなかったんですよ。もちろん面白い映画はたくさんあったんですが、1位と2位以下の差があまりないというか、10本選んでも順位がつけられませんでした。
そんなわけで、とりあえず観た映画を全部挙げて、それぞれをざっくり総括してみようかなと。割とダラダラした取りとめの無い文章になってますので、悪しからずご了承ください(^_^;)
●洋画部門
1):アメコミ編
まず、アメコミ・ヒーロー映画としては『アベンジャーズ』、『アメイジング・スパイダーマン』、『ダークナイトライジング』など、大作が次々と公開されて盛り上がった年でした。全世界規模でも大ヒットを記録し、中でも『アベンジャーズ』は歴代3位の新記録を樹立するなど、圧倒的な強さを見せ付けています(アメコミ後進国の日本ではそこまでのヒットには至らなかったのが残念)。
3本の中ではやはり『アベンジャーズ』が面白かったですね。アイアンマンやマイティ・ソーなど、普段は単独で活躍しているヒーロー達を同じ世界で共闘させるというアイデアが素晴らしく、それぞれのキャラクターにきちんと見せ場を与えているところも見事。
一方、やや期待はずれだったのが『ダークナイトライジング』です(期待が大きすぎたとの説もあり)。映画の完成度は非常に高かったんですけど、リアルな方向性を突き詰め過ぎて、逆に不自然なシーンが目立ってしまったような。”リアルなヒーロー物語”っていうのは前作の『ダークナイト』で一つの頂点に達したと思うんですよ。でもクリストファー・ノーラン監督は更に”その先”を目指そうとしました。そういうアグレッシブな姿勢は評価できますが、結局『ダークナイト』を超えられなかったなあと。面白い映画ではあるものの「傑作!」とまでは断言できない、微妙な感じでした。
ちなみに、『アメイジング・スパイダーマン』に関してはハッキリ「つまらん!」と断言できます(笑)。TSUTAYAで大量にDVDが余ってるみたいなんだけど、大丈夫なのかなあ(^_^;)
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2):シリーズ編
人気映画の続編・シリーズ物もすっかり定着した感がありますね。ただ、中には1作目からいきなり伏線を張りまくって、「次回へ続く」的な終わり方をしている映画もあったりするので個人的には善し悪しだと思います。でも、好きな映画の続編が公開されたらやっぱり観ちゃうんだよなあ。
今年は、『エクスペンダブルズ2』、『アンダーワールド/覚醒』、『タイタンの逆襲』、『メン・イン・ブラック3』、『バイオハザード?リトリビュージョン』、『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』、『マダガスカル3』、『ボーン・レガシー』、『スカイフォール』、『ホビット』、『プロメテウス』など、多くのシリーズ関連作品が公開されました。
この中で面白かったのは、『エクスペンダブルズ2』と『ホビット』ですかね。中でも『エクスペンダブルズ2』は、アクションとキャスティングが前作よりも大幅にパワーアップした”正しい続編映画”として非常に見応えがありました。その反面、テーマやストーリー性は大幅に縮小してますけど、まあいつものことなので無問題(笑)。
一方、『アンダーワールド/覚醒』と『バイオハザード?リトリビュージョン』は、”闘うヒロイン映画”の代表格として好きなシリーズなのに、どんどん劣化していってるのが残念でなりません。特に『バイオハザード』は、ただ見せ場を繋げただけでストーリー性がほぼ皆無という酷い有様。やっぱ、自分の嫁さんを主役にして映画を撮ってちゃダメなんだよ(笑)。
『ボーン・レガシー』と『スカイフォール』の”スパイ・アクション映画”対決は、『スカイフォール』の圧勝と言えるでしょう。『ボーン・レガシー』は、今までのスピーディな展開が無くなって妙にモタモタして見えるのが致命的。アクション・シーンは悪くないんだけどねえ。
異色なのが『プロメテウス』で、『エイリアン』の前日譚なのにそれを隠して公開したため、知らずに観に来たお客さんがパニック状態!しかも、ストーリーも突っ込みどころだらけで、とても巨匠:リドリー・スコットが撮ったとは思えないほどの雑な仕上がりに仰天しましたよ。まあ、映像的な満足度は高かったのでそれなりに面白かったんですけど、今思い出しても変な映画だったなあ(^_^;)
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3):リメイク編
過去の名作を再映画化する「リメイク物」も最近増えていますね。”リブート”という呼び方もあるようですが、来年以降も『ロボコップ』や『スーパーマン』やクロエ・モレッツ主演の『キャリー』など、リメイク映画が次々と公開されるようです。
今年は、『遊星からの物体X:ファーストコンタクト』、『トータル・リコール』、『フライトナイト/恐怖の夜』、『ドラゴン・タトゥーの女』などが公開されました。この中では『ドラゴン・タトゥーの女』が良かったですね。デヴィッド・フィンチャー監督お得意の映像表現も鮮やかで、ミステリー仕立てのストーリー展開もスリル満点。僕はオリジナル版の『ミレニアム』を観てないんですけど、本作でリスベットを演じたルーニー・マーラはかなりいい感じでしたよ。
あと、あまり話題にならなかった『遊星からの物体X:ファーストコンタクト』も意外と面白かったです。厳密には『遊星からの物体X』の前日譚になるんですけど、内容が全く同じなんですよ(笑)。最初、「やっぱCGで作った物体Xは、オリジナル版より迫力が無いなあ」などと思ってたんですが、実際はほとんど特殊メイクやアナログな特撮技術を駆使しているそうです。
評判が悪かった『トータル・リコール』もそれほど悪くなく、SFアクションとしては普通の完成度ではないかと。ポール・バーホーベンの雰囲気は皆無でしたが(やはりオリジナル版の”おばちゃん変身シーン”のインパクトが強すぎるw)。
逆に『フライトナイト/恐怖の夜』は酷かったですねえ。僕はオリジナル版のコミカルな雰囲気が大好きでLDも持ってたんですが、リメイク版は全然笑えないというか、ギャグがすべりまくって非常にサブい状況でした。現代風にアレンジされた作風は一般には受け入れられやすいかもしれません。しかし、元のカルト映画的なイメージが気に入っていた僕としては、この改変にガッカリ。コリン・ファレルの吸血鬼は意外と似合ってましたけど。
それから、過去に2Dとして公開された映画を3Dにリメイクして再上映するパターンも最近増えています(来年の4月には『ジュラシック・パーク』の3D版が公開されるし)。今年は、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス3D』と『タイタニック3D』が公開されましたが、『エピソード1』よりも『タイタニック』の方が3D的な完成度は上でした。さすが、ジェームズ・キャメロンが15億円以上も掛けただけのことはありますよ。
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4):アクション編
ざっくり”アクション映画”でカテゴリー分けするのも乱暴ですが、今年は『バトルシップ』、『ザ・レイド』、『ジョン・カーター』、『ハンガー・ゲーム』、『エージェント・マロリー』、『ロックアウト』、『リンカーン/秘密の書』などを鑑賞しました。
『バトルシップ』と『ジョン・カーター』は、どちらも主人公をテイラー・キッチュが演じてどちらも全米で大コケという、「お前は疫病神か!」と言われかねない悲惨な成績を叩き出しています。実際に観てみると、『バトルシップ』は「宇宙からエイリアンの大群が攻めてきてエラいこっちゃ!」というくだらなさ全開の内容が抜群に面白く、クライマックスの”地球の戦艦 VS 敵の巨大宇宙戦艦”という対決シーンには燃えまくりました。まさに最強のバカ映画です(笑)。『ジョン・カーター』の方は、「これはコケても仕方がないな」という内容でしたけど(^_^;)
生身のアクションが凄い映画としては、『ザ・レイド』と『エージェント・マロリー』。この2つはアプローチの仕方が真逆なんです。両方とも「格闘技の達人が主人公を演じている」という点は同じなんですが、『エージェント・マロリー』はせっかくのアクションがかっこよく見えません。スティーブン・ソダーバーグ監督はあくまでも「ストーリーの中でリアルに見えるアクション」を目指したようです。しかし、いくらジーナ・カラーノ(女子総合格闘技選手)の身体能力が優れていても、格闘シーンの見せ方が段取り臭くて迫力が足りないのですよ。
それに対して『ザ・レイド』の方は、ただひたすら「凄いアクションを見せる」という部分にのみ一点集中しており、最初から最後までアクションシーンの連続です。主役も敵役も全員が本物の格闘家という鉄壁の布陣で作られた本作は、殴る・蹴る・関節を極める等、ありとあらゆる格闘テクニックが炸裂した最高のアクション・ムービーに仕上がりました。アクション映画ファンは必見でしょう。『エージェント・マロリー』も、どうせジーナ・カラーノをキャスティングするならこういうアプローチをすれば良かったのに。
『ハンガー・ゲーム』は、全米で大ヒットしたのに、日本では「『バトル・ロワイヤル』のパクリだ!」などと批判されて清々しいほどヒットしませんでした。既に続編の製作は決定しているそうですが、果たして日本で公開されるんでしょうか?また、「大統領はヴァンパイア・ハンターだった」というぶっ飛んだ設定の『リンカーン/秘密の書』は、破天荒な内容の割には史実を忠実に描こうとしていたり、どういう路線を目指しているのか方向性がいまいち分からない中途半端なアクション映画になっていて残念。『ロックアウト』は、B級アクションとしては普通に面白い映画ですが、「敢えて観なくてもいいかな」という感じです(笑)。
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5):その他
上記以外の映画では『アルゴ』、『崖っぷちの男』、『戦火の馬』などが良かったです。特に『アルゴ』は、「CIAが外交官を救うためにニセのSF映画を製作する」というウソみたいな実話を真面目に映画化した傑作で、予想以上に楽しめました。ベン・アフレック監督作品としてはこれで3本目なんですけど、どんどん上手くなってるなあ。恐るべしベン・アフレック!
あとは、月からナチスが攻めてくる『アイアン・スカイ』がバカバカしくて面白かったなと。最初に予告編だけ作ってネットで公開したら1億円のカンパが集まったという、いかにもSNS世代の映画製作手法が話題になりました。日本でも、こういうやり方で映画を作れないのかな?
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●邦画部門
1):マンガ・ゲームの実写化編
さて、邦画は相変わらず「マンガやゲームの原作を実写化した作品」が多いですね。今年は『るろうに剣心』、『逆転裁判』、『愛と誠』、『テルマエ・ロマエ』、『ヒミズ』、『ライアーゲーム/再生』、『ヘルタースケルター』、『宇宙兄弟』、『アフロ田中』、『BRAVE HEARTS 海猿』などが公開されました。
この中では断トツで『るろうに剣心』が良かったです。ちなみに、僕は原作のマンガを一度も読んだことがなく、アニメも見たことがありません。なので、原作ファンの目から見たら色々言いたいことはあるんだろうなーとは思いますが、単純にアクションが素晴らしかったので。本作でアクション監督を担当した谷垣健治は、ドニー・イェンなどの現場でスタントマンやコーディネーターとして活躍し、香港映画界で数多くの経験を積んだベテランです。
そんな谷垣氏が『るろうに剣心』では、日本のチャンバラ・アクションをベースにしつつ、香港流の格闘アクションを融合させた独自のスタイルを考案、見事なアクション・シーンを生み出しました。そのスピード感や迫力満点の殺陣さばきは完全に過去の日本映画を凌駕しており、間違いなく邦画最高峰のアクションと言えるでしょう。
あとは『テルマエ・ロマエ』ですかね。これは原作のマンガを読んだことがあったので、ある程度のイメージを持っていたのですが、そんなに違和感は無かったです。阿部寛の裸芸と、チネチッタ・スタジオの広大なセットが素晴らしく、この手の映画にしては予想外に見応えがありました。
『ライアーゲーム/再生』と『逆転裁判』は個人的に原作のファンなので密かに期待してたんですけど、残念ながら結果は今一つ。特に『逆転裁判』は、「あ〜あ、三池監督やっちまったよ」てな仕上がり具合で完全に映画ファンから無視されたらしい。逆に『愛と誠』は出演者達の暴走演技がナナメ上を行きすぎて、「一周回って面白い」という状態になっていました(笑)。
そして、今年の邦画ナンバーワン大ヒット作は73億円を稼ぎ出した『BRAVE HEARTS 海猿』です。内容の方はまあいつもの『海猿』なんですけど、それよりもフジテレビの対応にブチ切れたマンガ版の原作者(佐藤秀峰)が、「続編は絶対にありません!」などとファンの希望を打ち砕くツイートを連発したことが印象に残りました(笑)。
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2):アニメ編
アニメで良かったのは、『おおかみこどもの雨と雪』と『ベルセルク:覇王の卵・ドルドレイ攻略』ぐらいかなあ。『おおかみこども』は細田守監督の安定感抜群な作劇が相変わらず冴え渡っているし、『ベルセルク』はCGと手描きアニメの融合が見事。ただ、『ベルセルク』はストーリーにもう少しボリュームが欲しかった。
今年、一番話題になったのは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』なんですけど、『エヴァQ』はねえ、正直「う〜ん」てな感じでした(色々語れる映画ではあるので、そこは良かったと思いますが)。この件に関しては当ブログでも色々書いたので改めて言う事はありませんけど、まあ「いつも通りの『エヴァ』に戻った」ってことで(笑)。あとは『ももへの手紙』と『009 RE:CYBORG』が、片や手描きアニメの極致、片やフルCGという対照的なスタイルで、どちらも作画的に素晴らしかったです。尚、『ももへの手紙』は沖浦監督にとって、前作の『人狼 JIN-ROH』以来なんと12年ぶりの新作映画として話題になりました。どんだけ寡作なんだよ(笑)。
それから、永野護がやりたい放題やった『花の詩女 ゴティックメード』は、作画スタッフがたったの3人という異例の少人数で作られた割には案外まともな映画でした(笑)。ただ、「完成まで6年も掛けたのにコレかよ?」という感は濃厚です(ストーリー的にはともかく、画面の密度が薄すぎる)。キャラクターは永野護のシンプルな絵柄がそのまま描かれ、背景もあっさり気味で、メカの動きも何だか中途半端。噂によると、巨大ロボの作画は永野が自分で原画を描いたそうですが、CGを使わず全部手描きにこだわったらしい。でも、苦労した割には成果があまり見えなかったというか。その間、連載中の『ファイブスター物語』が中断され、ファンからは「早く再開してくれ!」との要望が殺到していたことを考えると、満足度はかなり低いと言わざるを得ません。まあ、『FSS』のファンしか観ないからいいのかな(笑)。
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3):その他
上記以外の邦画では、『桐島、部活やめるってよ』と『外事警察 その男に騙されるな』が内容的に優れていたと思います。特に『桐島』はなんとも不思議な青春映画で、重要人物の桐島君が一切登場しないまま、それぞれの人間関係をそれぞれの視点で描き出すという、ただそれだけの映画なんですが、表現し難い魅力がありました。あとは、『アウトレイジ・ビヨンド』と『悪の教典』が大健闘。三池崇史監督は『逆転裁判』と『愛と誠』の失敗を『悪の教典』で取り返した感じですな(笑)。『ロボジー』と『のぼうの城』は事前の期待値よりも低かったんだけど、そこそこ楽しめましたよ。一方、『劇場版 SPEC〜天〜』は、堤幸彦監督の悪ふざけが酷過ぎて、完全にTVドラマ版のファンだけしか楽しめない映画になってました(笑)。
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以上、ざっくり全体を総括するとこんな感じです。ベスト10を選ぶとすれば、『アベンジャーズ』、『エクスペンダブルズ2』、『ドラゴン・タトゥーの女』、『バトルシップ』、『ザ・レイド』、『アルゴ』、『戦火の馬』、『るろうに剣心』、『おおかみこどもの雨と雪』、『桐島、部活やめるってよ』あたりになるんでしょうか。こうして並べてみると、我ながらバラエティに富んだラインナップですねえ(笑)。というわけで、本年のブログはこれにて終了致します。来年もいい年でありますように。それでは皆様、よいお年を(^O^)/
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