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ハリソン・フォード主演の『エアフォース・ワン』はすごい映画だ!

エアフォース・ワン

エアフォース・ワン


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
しばらくご無沙汰していましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて本日、午後のロードショーエアフォース・ワンが放送されました。

エアフォース・ワンとはアメリカ合衆国大統領専用機の名称で「空飛ぶホワイトハウス」とも呼ばれる最高権力の象徴ですが、厳重なセキュリティで守られ、最新のテクノロジーを搭載したこの”世界一安全な飛行機”が、なんとテロリスト集団にハイジャックされてしまう!

大統領の家族や側近たちなど30人以上が人質となり、テロリストは逮捕されている仲間の釈放を要求。たった一人、敵の目を逃れた大統領はこの絶望的な状況の中でどう反撃するのか…というのが本作のあらすじです。

 

この映画は1997年の7月に全米公開され(日本では11月公開)、オープニング3日間で3,710万ドルの大ヒットを記録し、全世界で3億1500万ドルの興行収入を叩き出しました(日本でも興収約40億円の大ヒット)。

参加したキャストとスタッフも豪華で、『U・ボート』や『ネバーエンディング・ストーリー 』のウォルフガング・ペーターゼンが監督を務め、主役は『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』シリーズでお馴染みの大スター:ハリソン・フォード

さらに、『レオン』のノーマン・スタンスフィールドや『フィフス・エレメント』のゾ-グなど”クセの強い悪役”で当時注目を集めていたゲイリー・オールドマンが、テロリストのリーダーを存在感たっぷりに演じています。

エアフォース・ワン

エアフォース・ワン

なお、『危険な情事』でマイケル・ダグラスと共演し、アカデミー賞に8回もノミネートされ、エミー賞トニー賞をそれぞれ3回受賞した演技派女優のグレン・クローズが副大統領役を演じてるんですが、制作側は当初「どうすればこの役を引き受けてくれるだろう?」と頭を悩ませていました。

そんな時、たまたま彼女がクリントン大統領の夕食会に招待され、そこにはハリソン・フォードも同席していたらしい。

すると食事の中頃にハリソンが突然ひざまずき、「僕が出演する映画で副大統領になってくれないだろうか」と猛烈アピール!こうしてグレン・クローズは『エアフォース・ワン』に出演することが決まったそうです(なお、引き受けた理由については「あんな状況で断れるわけないでしょ(笑)」とのこと)。

エアフォース・ワン

エアフォース・ワン

さて本作のあらすじを見れば分かるように、「主人公が閉鎖的な限定空間を舞台に孤軍奮闘するストーリー」といえばダイ・ハードを思い浮かべる人も多いでしょう。

1988年(日本では89年)に公開された『ダイ・ハード』は、巨大なハイテクビルにたまたま居合わせた刑事(ブルース・ウィリス)が凶悪なテロリストを相手に激しい戦いを繰り広げるという内容で、以降の作品にも大きな影響を与えました。

例えば1995年に公開されたスティーヴン・セガール主演の沈黙の戦艦は、テロリストに占拠されたアメリカ海軍の戦艦を舞台に元海軍特殊部隊の指揮官:ケイシー・ライバックが活躍するアクション映画で、”海のダイ・ハード”とも称され大ヒット。

同様に『エアフォース・ワン』も、飛行機の中で身を潜めながら一人また一人と敵を倒して武器を奪ったり、外部(ホワイトハウス)と密かに連絡を取って事態を解決するための指示を出すなど、かなり『ダイ・ハード』を意識した作劇になっています。

しかも、単にアクションが派手なだけじゃなくて、サスペンス映画としても非常に優れている点が素晴らしいんですよね。

 

※以下ネタバレあり

 

大統領は人質にとられた家族や仲間たちを救うためにテロリストと戦うわけですが、実は仲間の中にも裏切り者がいたり、さらにホワイトハウスの方でも「大統領が不在の今がチャンス」とばかりに実権を握ろうと考えているやつがいたり、ハラハラドキドキさせる要素があちこちに仕掛けられているのですよ。

そして最終的にはラスボスとの直接対決になるんですが、なんとラスボスを倒してもまだストーリーは終わりません。

MiG-29がエアフォース・ワンに攻撃を仕掛け、それを阻止するためにF-15ドッグファイトを繰り広げ、さらに墜落しそうな機体からの手に汗握る脱出アクションなど、最後の最後まで観客を飽きさせない徹底したこだわりが本当にすごい!

エアフォース・ワン

エアフォース・ワン

まぁ1997年の映画なので、今の時代に観ると色々と気になる点があることは否めません。悪人の描き方がステレオタイプで古臭かったり、飛行機の中で機関銃を乱射したり(機体に穴が開いたらどうする!)、エアフォース・ワンが墜落する場面のCGが異様に雑だったり(大事な見せ場なんだから、もうちょっと何とかして欲しかった…)。

しかしながら、娯楽映画に徹して危機また危機の連続を2時間の中でテンポよく見せ切る手際の良さは「お見事!」と言うしかないでしょう(^.^)

 

『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』は面白い?つまらない?ネタバレ感想

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて、全国の映画館で絶賛上映中のジュラシック・ワールド 新たなる支配者』を観て来ました。

本作は2018年に公開された『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の続編であると同時に、1993年の『ジュラシック・パーク』から約30年にわたって描き続けられてきた長大な物語を締め括る”完結編”でもあります。

そのため、過去作に登場したアラン・グラント博士(サム・ニール)やエリー・サトラー博士(ローラ・ダーン)、イアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)らが再び集結し、オーウェンクリス・プラット)やクレア(ブライス・ダラス・ハワード)たちと共に襲い来る難題に立ち向かうのですよ。

正直、この展開は燃えますよねぇ!なんせ前シリーズ(JP)の主人公と現シリーズ(JW)の主人公がタッグを組んで戦うわけですから、ファンなら興奮しないはずがありません。当然ながら日本でも大ヒットを記録し、現時点で累計観客動員269万人、興行収入は40億円を突破しているそうです。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

だがしかし…

先に公開されたアメリカではイマイチ評判が良くないようで、オープニング成績は『ジュラシック・ワールド』や『炎の王国』に及ばず、新3部作の中では最低の数字となってしまいました。

また、批評集積サイト「ロッテン・トマト」でも評論家の評価はわずか30%で、前作『炎の王国』の47%や1作目(『ジュラシック・ワールド』)の71%を大きく下回る結果となっています(ただし観客からの評価は77%とまあまあ高い)。

そして日本での評価もやや微妙というか、賛否両論が巻き起こっているのですよ。一体なぜ?

前作『炎の王国』のラストでメイジー(イザベラ・サーモン)が恐竜を外に逃がし、イアン・マルコム博士の「新時代が始まる」「未知の驚異の幕開けだ」「ようこそ、ジュラシック・ワールドへ」というセリフで物語は終了しました。

ジュラシック・ワールド 炎の王国

ジュラシック・ワールド 炎の王国

このシーンを観た時に僕はグッときたんですよね。「なるほど!ここから本当の『ジュラシック・ワールド』が始まるのか!」と。

1作目(JW)の時点ではテーマパークの名前が「ジュラシック・ワールド」だったので、普通に前シリーズ(『ジュラシック・パーク』)と同じような意味なんだろうと思ってたんですが、そうではなかったことがここで判明するわけです。

そして次の3作目では、恐竜たちが跋扈する世界(ワールド)で人類はどのように生き延びるのか?恐竜と人間の生存を懸けた激しい戦いが繰り広げられるのか?あるいは恐竜同士の壮絶なバトルが見られるのか…?などとワクワクした人も多かったことでしょう。

ところが、『新たなる支配者』はそういう映画ではありませんでした。いや、恐竜と人間が絡む派手なバトルシーンはもちろん沢山あるんですけど、ちょっと思ってたのとは違うんですよねぇ。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

たしかに世界中で恐竜が繁殖しているものの、「未知の驚異の幕開け」などと言ってた割には今までとそんなに状況が変わってないような…。主人公たちは普通に山小屋で暮らしているし、少なくとも「人類はもうお終いだぁ~!」みたいな絶望感はありません。

しかも、後半はルイス・ドジスンCEOが設立した保護施設「バイオシン・サンクチュアリ」へと舞台が移り、「閉鎖された空間の中で主人公たちが恐竜に襲われる」という、いつも通りの展開になっていくわけですよ。

これにはガッカリした人が多かったらしく、「結局いつもと同じじゃん!」という批判も見受けられました(『炎の王国』のラストから一気にスケールアップするのかと思ったら、最終的には狭い場所に戻って来るためスケール感はあまり変わってない)。

「変わってない」といえば、映画冒頭の映像とラストの雰囲気がほぼ同じという点も気になりましたねぇ。要は、最初に「こういう問題が起きている」という場面を見せ、本編でそれを解決し、最後に「結論」を見せる…という描写のはずなんですが、「ビフォー」と「アフター」がほとんど一緒なんですよ。

なぜかと言うと、恐竜よりもイナゴの方が大きな問題として扱われているからです。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

本作のあらすじは、突如として大量発生した巨大なイナゴが穀物を食い荒らし、世界の食料事情に大変な影響が出始め、その原因がバイオシン社にあるのでは…と疑念を抱いたエリー・サトラー博士がグラント博士と共に調査に乗り出す。

一方、オーウェンとクレアたちは誘拐されたメイジーを救い出すためにマルタ島でカーチェイスしたり、飛行機でバイオシン社の施設(サンクチュアリ)へ向かったり、あちこちで冒険を繰り広げる…というストーリーになっています。

つまり、本作の主人公たちの”目的”は恐竜に関することではなく、あくまでも”イナゴ退治””メイジーの救出”が最優先事項なんですよ。

なので、ラストに「何となくいいことを言ってるような雰囲気のナレーション」を流して映画が終わっても、「いやいや!”イナゴの問題”をどうにかしただけで、恐竜に関しては何も解決してないやん!」としか思わなかったんですよねぇ。

これでは「結局、”新たなる支配者”ってイナゴのことだったの?」「恐竜を中心にした話を見せろよ!」みたいな批判が出るのも当然かもしれません。

そもそも、ドジスンCEOの計画があまりにもガバガバすぎて「絶対にバレるだろ!」と(バイオシン社の農作物だけがイナゴの被害に遭わない時点でエリー以外の人でも「怪しい」と思うに決まってるでしょw)。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

このように、『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』はシリーズの集大成であるにもかかわらず、「恐竜と人間の共存」という主題に対してはっきりした結論を出すこともなく、巨大イナゴを退治して取り敢えずめでたしめでたし…みたいな終わり方になっていたのが何とも言えずモヤモヤしました。

しかし、一体なぜこんなにイナゴが目立ってしまったのか?というと、実は理由があったようで…。

コリン・トレヴォロウ監督によると、「前のシリーズではマルコム博士がメインの話(JP2)やグラント博士がメインの話(JP3)はあったが、エリー・サトラー博士がメインの話はなかった」「そこで今回は古植物学者のエリーの活躍を描くために、まずイナゴに関するストーリーから着手したんだ」とのこと。

”イナゴ”というのは恐竜の時代から生き続けている生物で、そのイナゴが食い荒らす農作物を見た古植物学者のエリーが巨大企業の陰謀に気付く…という流れから始まり、最終的には全ての要素が組み合わさって物語を構築できると考えたらしい(以下のインタビュー記事より↓)。

realsound.jp

つまり、たまたまイナゴの出番が多くなったんじゃなくて、意図的に「イナゴがメインの話」を作ってたんですね。いや~、コリン・トレヴォロウ監督、いくら「オリジナルの”レガシーメンバー”に敬意を払いたい」と言ってもそれはちょっと…

まぁ新種の恐竜がいっぱい登場するし、カーチェイスやバイクチェイスなど派手なアクションシーンも満載で、決して「つまらない or 退屈な映画」ではありません。あらゆる場面がファンサービスに満ち溢れ、むしろ娯楽映画としての満足度は非常に高いと言えるでしょう。

ただ、イナゴの印象が強すぎて「30年近くに及ぶジュラシック・シリーズの集大成がこれ」と言われたら、正直「納得しかねる」という気持ちの方が大きいんですよねぇ(エンディングに例のテーマ曲が流れなかったのもガッカリ。流すでしょ普通、最後なんだから…)。

というわけで、『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』は単体の映画として観ればそれなりに面白いものの、シリーズ全体を総括する映画として観た場合は「そりゃあ賛否両論になるだろうなぁ」と思いました(笑)。

 

サム・ライミ監督の『ダークマン』をネタバレ解説!

映画『ダークマン』

映画『ダークマン


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて本日、BS-TBSで映画ダークマンが放送されます。監督は、今年の5月に公開され大ヒットを記録した『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のサム・ライミ

サム・ライミ監督と言えば、トビー・マグワイヤ主演の『スパイダーマン』シリーズなどでも知られていますが、『ドクター・ストレンジ』や『スパイダーマン』を撮るずっと前(1990年)に手掛けたヒーロー映画がこの『ダークマン』なのですよ。

当時のサム・ライミ監督は、友人や家族の協力を得て撮影したインディーズ映画『死霊のはらわた』が話題になり、続編の『死霊のはらわたII』も大ヒットするなど”ホラー映画界期待の若手監督”として知名度が高まりつつありました。

そんな時、大手映画会社のユニヴァーサル・ピクチャーズから声をかけられたサム・ライミ監督は、昔から大好きだったヒーローを映画化しようと考えたのです。

それが、1931年にラジオドラマが放送され、後にパルプ・マガジンにもなって人気を博した『ザ・シャドー』というヒーロー作品でした。

『ザ・シャドー』は、「かつて極悪人だった主人公が聖者タルクの教えによって改心し、”ザ・シャドー”に生まれ変わって悪と戦う」というストーリーで、いわゆるダークヒーローもの。

しかし『ザ・シャドー』は当時、他の監督が映画化の企画を進めていたため、残念ながら実現には至らず(その後、1994年にアレック・ボールドウィンが主演し、ラッセル・マルケイ監督によって映画化された)。

そこでサム・ライミ監督は「だったら自分でヒーローを作ろう!」と決意。こうして、『ザ・シャドー』のようなダークヒーロー的要素を持ちつつ、「顔の形を自由に変えられる」という独自の要素を取り入れるなど試行錯誤を繰り返した結果、オリジナル・ヒーロー『ダークマン』が誕生したのです(以下、あらすじ)。

人工皮膚研究の科学者ペイトンが画期的な人工皮膚を開発するも99分で崩壊する問題に悩んでいた。そんなある日、ギャング団の襲撃を受け、顔や全身に深刻なダメージを負ってしまう。

かろうじて一命を取り留めたものの、変わり果てたその姿に恋人のジュリーも気付かない。失意の中、廃工場で密かに人工皮膚の研究を再開するペイトンは、やがてギャング団への怒りを募らせ、99分しか持たない人工皮膚を使って他人に成りすまし、彼らに報復を企てるのだった…。

当初、サム・ライミ監督は主人公のペイトン役を『死霊のはらわた』シリーズで主役を演じたブルース・キャンベルにやってもらおうと考えていましたが、映画会社に却下されて断念。代わりに決まったのがリーアム・ニーソンです。

リーアム・ニーソンと言えば、今でこそアクション映画によく出演しているイメージですが、1990年当時はまだ「演技派の舞台俳優」という印象でした(2008年の『96時間』以降、急激にアクションの仕事が増えたけど)。

なので、本作でも主人公の絶望感を表現するシーンなどでは割と舞台っぽい演技になってるんですよね。

もしブルース・キャンベルが演じていたら、もう少し”軽い感じのキャラクター”になっていたかもしれません。

しかしリーアム・ニーソンが演じたことで「優秀な科学者」としての説得力とか、主人公の苦悩や哀しみがより強調されたのではないでしょうか(ちなみにブルース・キャンベルもラストにチラッと出て来るのでお見逃しなく)。

映画『ダークマン』

映画『ダークマン

またヒロインのジュリー役には、リーアム・ニーソンの希望で当時リーアムの恋人だったジュリア・ロバーツが候補に上がっていたものの、演技のテストをしてみたらジュリアの方が照れてしまって上手く演技できず不採用となってしまいました。

なお、その後ジュリア・ロバーツは『ダークマン』と同じ年に公開されたプリティ・ウーマンで大ブレイクし、あっという間に一流ハリウッドスターへと上り詰め、リーアム・ニーソンとは破局したらしい(可哀想なリーアム…)。

そしてジュリアの代わりにジュリー役を射止めたのがフランシス・マクド-マンド。『ファーゴ』(1996年)、『スリー・ビルボード』(2017年)、『ノマドランド』(2021年)でなんとアカデミー主演女優賞を3度も獲得した世界的な実力派女優です。

しかも映画だけでなく、2011年には舞台『Good People』でトニー賞(主演女優賞)を、2015年にはドラマ『オリーヴ・キタリッジ』でエミー賞(主演女優賞)も受賞しているのだから凄すぎる!

そんなフランシス・マクド-マンドは、サム・ライミ監督とは『XYZマーダーズ』で一緒に仕事をした仲であり、監督の方もマクド-マンドの起用には賛成だったので現場でも上手くいくのかと思いきや、実際に撮影が始まると演技方針をめぐって二人の意見が衝突。

映画『ダークマン』

映画『ダークマン

サム・ライミ監督によると「あくまでも演技の方向性について建設的な議論を交わしただけ」とのことですが、やはりアカデミー賞を3度も獲得した女優さんを相手に苦労したんでしょうかねぇ(汗)。

ただ実際に本編を観てみると、恋人役のリーアム・ニーソンとの会話も自然で特に違和感はありません。

ちなみに、全身大火傷を負ったペイトンが病院に運ばれ、「痛覚を遮断する治療法(ランゲヴェリッツ・プロセス)」を施されるシーンで女性医師を演じているのは『狼男アメリカン』でヒロインのアレックスを演じたジェニー・アガターです。

ペイトンはこの処置によって苦痛知らずの体となり、同時に「過剰分泌されるアドレナリンの影響で超人的なパワーを発揮する」という設定なんですけど、「だから全く痛みを感じません」と言いながらペイトンの体にブスリと針を突き刺すジェニー・アガターの笑顔が怖いw

映画『ダークマン』

映画『ダークマン

あと、暗黒街を牛耳っているギャング団のボス:デュラントのインパクトが強烈!敵対する相手を拷問し、その指を葉巻カッターで切断してコレクションにするなど、完全にイカれたキャラクターなんですよ。

ペイトンもデュラントから凄まじい拷問を受け、両手と顔面をメチャクチャにされた挙句、研究室ごと木っ端みじんに吹き飛ばされてしまうものの、ボロボロの状態で生き延びて復讐を開始!

人工皮膚を使ってデュラントの部下に変装し、まんまと組織の金を奪ったり、デュラント自身に変装して強盗の濡れ衣を着せたり、様々な方法でギャング団に反撃するペイント。

途中で本物のデュラントと鉢合わせしつつ、最終的には隠れ家の廃工場で派手なアクションを繰り広げます。

なお、デュラントを演じたラリー・ドレイクはすごく存在感のある風貌でまさにこの役にピッタリなんですが、他の映画ではあまり見かけません(ローワン・アトキンソン主演の人気コメディ映画『ビーン』や、テレビドラマ『L.A.ロー 七人の弁護士』などに出演している模様)。

残念ながら2016年に亡くなったらしいんですけど、もっと色んな映画で活躍を見たかったですねぇ。

映画『ダークマン』

映画『ダークマン

というわけで本作は「悪人たちから凄まじい暴行を受け、何もかも失った主人公が怒りに燃えて復讐する物語」なんですが、シリアス一辺倒ではなく、サム・ライミ監督の作風によってどこかユーモラスな雰囲気を漂わせているところがいいんですよね。

例えば、主人公が怒りを爆発させるシーンなどでは背景がいきなり抽象的な映像に変わって文字通り”爆発”したり、マンガチックな独特の表現が満載なんですよ。

また、現代のヒーロー映画に比べると明らかに低予算であるにもかかわらず、ド迫力の爆破シーンや銃撃シーン&カースタント、果ては「ヘリにぶら下がったまま街の上空を飛び回るダークマン」など、アクション描写にかなりの力を入れており、さらに90年代当時はまだ珍しかった3DCGを導入している点など見どころも多数。

そして何と言っても「私は誰でもあり、誰でもない」「どこにでもいて、どこにもいない」「ダークマンと呼んでくれ」とつぶやきながら雑踏の中へ消えていくラストシーンが圧倒的に素晴らしい!

トビー・マグワイヤ版の『スパイダーマン』にも通じる孤独なヒーロー像が問答無用にカッコよく、このラストシーンこそがまさに本作の真骨頂と言っても過言ではないでしょう。やはり『ダークマン』は面白いですねぇ!

映画『ダークマン』

映画『ダークマン

ちなみに先日、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公開後のインタビューでサム・ライミ監督が「いまユニバーサルがダークマン』の続編について検討している」と語ったそうです。

また、リーアム・ニーソンも別のインタビューで「『ダークマン』の続編に興味はありますか?」と訊かれた際、「いい質問ですね。とても興味があります」と答えたらしい。もしかしてサム・ライミ監督&リーアム・ニーソンで再び『ダークマン』が作られるのでしょうか…?だとしたらぜひ観たい!