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映画『ジョーカー』の疑問を考察!ラストシーンの意味は?(ネタバレ解説)

映画ジョーカー

映画『ジョーカー』より

※今回の記事は完全にネタバレしています。映画『ジョーカー』を観ていない人はご注意ください

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

現在、大ヒット公開中の映画『ジョーカー』について、「ホアキン・フェニックスの演技がすごい!」とか「『タクシードライバー』と『キング・オブ・コメディ』にそっくりじゃん!」とか、様々な評価や感想が溢れ返っていますが、アメコミのキャラクターを主人公にして、”貧困”や”格差”などの社会問題をここまでシリアスに描いた点に注目が集まっているようです。

そんな中で、特に話題になっていることと言えば「映画の結末をめぐる解釈」でしょう。

この『ジョーカー』という物語は、主人公であるアーサーの視点を中心に展開していくんですけど、実はアーサーが精神病を患っているため、時々「妄想シーン」が入って来るんですね。

わかりやすいのは、マーレイ(ロバート・デ・ニーロ)が司会を務めるTV番組を見ていると、アーサー自身もその番組に出演して喝さいを浴びる…というシーン。

そしてシングルマザーのソフィー(ザジー・ビーツ)と仲良くデートする場面も、後にアーサーの妄想であったことが判明します。

前者は「まあ、テレビを見ながら妄想する人ってよくいるよね」ぐらいの感覚ですが、後者は「あ…この人ヤベェぞ…」という具合に、徐々にアーサーの妄想癖が悪化していく様子が現れていて非常に怖い。

ただ、はっきり”妄想”と分かる場面はいいんですが、多くは意図的に”妄想”と”現実”が入り混じっており、そのせいで「これって妄想?それとも現実?」みたいに観客が混乱してしまうのですよ。

例えば、電車の中で3人のサラリーマンを射殺するシーン。ここでアーサーは同僚から渡された拳銃(S&W チーフスペシャルM36?)を使っていますが、このタイプのリボルバーは、通常5発か6発の装弾数しかありません。

にもかかわらず、劇中では8発以上も撃ちまくっているのです(リロードしている様子も無し)。このため「あのシーンはアーサーの妄想だったんじゃないの?」という意見も出ているらしい。

また、アーサーが冷蔵庫の中身を全部出して中へ入ってしまうシーン。あれって実はホアキン・フェニックスのアドリブだったのですが、あまりにも奇妙すぎて他の場面とカットが繋がらず、そのため「”妄想の世界へ入っていく”という暗喩なのでは…」などと解釈する人まで現れ大混乱!

特に「アーサーが精神病院の一室で女性カウンセラーと会話する」というラストシーンの意味については、『ジョーカー』を考察している人たちの間でも激しく意見がわかれている模様。ちなみに、その解釈は大きくわけて以下の3つになるようです。

 

●時系列通り説
●過去のシーン説
●全部妄想説

 

まず「時系列通り説」の場合、あのラストは「アーサーが警察に捕まった後」ということになります。つまり、生放送中にマーレイを射殺した後、逮捕されて精神病院に送られた…ということですね。

まあ普通に見たままの解釈であり、話の流れ的にも割と自然に思えるので、可能性としてはこの説が一番ありそうな気がします。

ただ、TVに出演する前に緑(グリーン)に染めていたはずの髪の色が黒髪に戻っているし、ヒゲも伸びてるし、逮捕された直後には見えないんですよねえ(入院して詳しく検査 → 数日経過という状況なのかもしれませんが)。ちょっとその辺が気になりました。

 

次に「過去のシーン説」の場合、あのラストは時系列通りではなく、本編が始まる前の映像ではないか?という解釈です。

映画の前半で、アーサーが過去に精神病院へ入っていたことがカウンセラーとの会話で明かされますが、その時に一瞬フラッシュバックする回想シーン(ガラスに頭を打ち付ける場面)がラストの光景とよく似ているのです。

もしこの説が正しいなら、『ジョーカー』のストーリーは「マスクを被った大勢の民衆から称賛される場面」で一旦終わっていて、ラストは「アーサーの過去(本性)を明かしている」ということになるでしょう。

つまり、「善良だったアーサーが病気や環境のせいで次第に悪の道へ堕ちていったように見えるがそうではなく、実はもともと危険なヤツだった」という意味になり、映画の印象がひっくり返ってしまうのですよ(まあ、これはこれで”怖くていい終わり方”かもしれませんがw)。

ただ、部屋を出たアーサーは血の足跡をつけながら廊下を歩いていました。あれ、絶対カウンセラーの人を殺してますよね?そうだとすれば(いくらゴッサムが犯罪者だらけと言っても)精神病院を出て普通に働けるとは思えません。

それに、カウンセラーとの会話中に「ウェイン夫妻の射殺シーン」が挿入されますが、過去のシーンだとすれば何故そんな「未来に起きる出来事」が映るのか?など、色々腑に落ちない点があるのです。なので、ちょっと説としては整合性に欠けるかなあと。

 

最後に「全部妄想説」の場合、「本編の出来事は全てアーサーがカウンセラーに語った妄想話だった」ということになります。つまり、3人のサラリーマンやマーレイを射殺したことなども、ぜ~んぶ嘘!

さすがに「夢オチ」みたいになってしまうので、個人的にはあまりこの説を支持したくないんですが、アーサーの視点は妄想と現実が混在しており、「前半は薬のおかげで精神を保っていたが、薬が打ち切られた後半以降は全て妄想だ」という意見もあるようで、可能性としては無くはないんですよね。う~ん…

映画ジョーカー

映画『ジョーカー』より

あと気になったのがトッド・フィリップス監督のコメントで、「アーサーは最後に”ジョーク”を思い付いて笑う。あのシーンだけが彼が”本当に笑っている場面”なんだ」と説明してるんですよ。

「アーサーは病気で”自分の意志とは関係なく”笑ってしまったり、他の人に合わせるために”ウソの笑い”をしていることがほとんどだが、最後に精神病院の部屋で見せるあの笑いだけは、彼が唯一、心から笑っているシーンなんだよ」 (ロサンゼルス・タイムズ誌のインタビューより)

「アーサーが唯一、心から笑っているシーン」とはどういう意味なのでしょう?ここだけが現実で、他は全部現実ではない…という意味なのでしょうか?そもそも、アーサーが思いついた”ジョーク”とはどんな内容だったのか?カウンセラーが「どんなジョークなの?」と聞いてもアーサーは「君には理解できないよ」と教えてくれません。

ただし、アーサーが笑い出す直前に「銃で撃たれて倒れた両親の前で呆然と立ち尽くすブルース・ウェイン少年」の映像が一瞬映っています。もしこのシーン自体がアーサーの妄想だとするならば、「俺が騒動を起こしたせいでトーマス・ウェインが殺され、その息子が将来ヒーローになるって…最高に面白いジョークじゃないか!」と想像して笑ったのではないでしょうか?

しかし仮にそうだとすれば、非常に恐ろしい話になります。なぜなら、バットマンという存在すらジョーカーの妄想(ジョーク)だった」という意味になるわけですから!すなわち、普通ならあのシーンを見て「バットマンの誕生」を期待するでしょうけど、もしあれが妄想だったら「現実の世界にはヒーローなんていないんだよ!」という真逆のメッセージになってしまうのですよ。アメコミ映画でなんて大胆なことを…(^^;)

その他、アーサーとブルース少年との年齢差があまりにも大きすぎるため、「実はアーサーは本物のジョーカーじゃなかった説」を唱える人まで出て来るなど議論はますます白熱している模様(アーサーの姿を見て感化された別の人間が、数年後にジョーカーを名乗ってゴッサムに君臨するのでは…という説です)。

たぶん作り手側も意図的に「観客が色んなことを考察したくなるような状況」を狙っていたと思うんですが、それにしても「なんて語りがいのある映画なんだ!」と感心せざるを得ませんねえ(笑)。

 

なお、映画『ジョーカー』の疑問について世界中で多くの観客が様々な解釈や考察を試みていることに関し、トッド・フィリップス監督は否定も肯定もせず、「彼らが正しいかどうかは言わないが、いずれ僕たちが何を考え、何を意図してシナリオを書いたのか、全て説明するつもりだ」と語っているそうです。

う~ん、どうやら監督の中では「正解」がハッキリと決まっているようですね。果たしてその”真相”が明かされる日はいつなのでしょうか?早く知りたいなあ(^^;)



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『なつぞら』だけじゃない!アニメ業界で働く女性を描いた漫画特集

NHK連続ドラマ『なつぞら』より

NHK連続ドラマ『なつぞら』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

昨日、NHKの連続ドラマなつぞらが最終回を迎えました。見てない人のために超ざっくり内容を説明すると、「昭和30年頃、北海道で育った主人公の”なつ”は、東京に出て来てアニメスタジオ:東洋動画に入社し、女性アニメーターとして働き始め…」みたいな感じです。

雄大な北海道で暮らす人々との絆」や、「仕事と子育ての両立」の難しさを描いたこの物語は、普段あまり知られることがない「アニメ制作の舞台裏」を見せてくれた点においても画期的で、アニメファンの間でも話題になりました。

なぜなら、主人公のなつは東映動画で実際にアニメーターとして活躍していた奥山玲子さんがモデルで、他のキャラクターも宮崎駿さんや高畑勲さんなど、それぞれ実在の人物がモデルになっていたからです。

そして彼らが手掛けたアニメーションの数々も、実際に東映動画で作られた作品が元になっており、現場で繰り広げられる様々なエピソードを通じて、視聴者にアニメ制作の苦労や素晴らしさを伝えていました。

そんな『なつぞら』が終わってしまい、「ああ、もっとこういうストーリーが見たいなあ…」との欲求を募らせているあなた。『なつぞら』以外にもありますよ!というわけで、本日は「アニメ業界で働く(またはアニメ制作に関わる)女性を描いた漫画作品」をいくつかご紹介します。


●『アニメタ!』
あらすじ「主人公の真田幸(さなだ みゆき)は、学生時代に観たTVアニメに感銘を受け、アニメーターになることを決意。そして高校卒業後、大手アニメ制作会社に動画マンとして採用されるものの、技術力不足で挫けそうになる毎日。しかし、周囲の人の励ましやアドバイスにも助けられ、徐々にスキルを身につけ始め…」

『アニメタ!』より

『アニメタ!』より

作者の花村ヤソさんは、『攻殻機動隊』や『機動警察パトレイバー』などのアニメスタジオプロダクションI.G」に所属していた元アニメーターで、その当時に経験した苦労話などを織り交ぜつつ漫画を描いているそうです。

動画マンになったばかりの頃は作画のスピードが遅く、1ヵ月に描ける枚数も少ないため、「どうすれば早く、綺麗な絵を描けるんだろう…」と悩みまくりますが、試行錯誤しながら頑張る主人公の姿は「成長ドラマ」の定番として共感しやすく、アニメ制作の裏側も詳しく描写されているので興味がある方はぜひご覧ください。

ちなみに、花村さんが仕事をしていたプロダクションI.Gの第9スタジオ(9スタ)では、当時『攻殻機動隊S.A.C』を制作中で、連日ひたすら絵コンテを描いている神山健治監督の姿を見て「この人いつ寝てるんだろう?」と思っていたらしい。

神山監督曰く、「あの頃は1日20時間ぐらい働いていた。飯も食わずに仕事をしていたからガリガリに痩せてたよ」とのこと。しかし(自分が痩せてるのに)、花村さんがダイエットのために豆腐ばかり食べているのを見て「金が無いのか!?」と心配して焼肉を奢ってくれたりしたそうです(いい人だなあw)。

●『アニメがお仕事!
あらすじ「広島出身の福山イチ乃は大好きなアニメーターになる夢を諦め切れず、両親の反対を押し切って上京し、弟の二太と一緒にアニメ業界で働き始めるが、様々な試練が二人を襲い…」

『アニメがお仕事!』より

アニメがお仕事!』より

作者の石田敦子さんは元フリーアニメーターで、過去には『勇者特急マイトガイン』や『魔法騎士レイアース』などのキャラクターデザイン&作画監督を務めていました。

アニメがお仕事!』は、そんな石田さんのアニメーター時代のエピソードを元に描かれてるんですけど、内容がなかなかエグいんですよ(笑)。

「動画マンは低賃金で長時間労働」っていうのは良く知られていますが、そういう現実もリアルに描いたり、アニメ業界内のイジメや嫌がらせ、社長が夜逃げしてスタジオが倒産&ギャラ未払い事件、男女のドロドロした恋愛のもつれ…など、割とヘビーな話が盛沢山!「いったいどこまでが作者の実体験なんだろう?」と思わず考えてしまいましたよ(笑)。

ちなみに石田さんは、アニメーターになりたくてカナメプロ(『プラレス3四郎』や『幻夢戦記レダ』などを制作した会社)へ自分の描いた絵を持って行った際、「ちょっと実力不足だね」と言われてしまいました。

ところが、たまたまその時カナメプロを訪れていたアニメーターの金田伊功さんが石田さんの絵を見て「入れてあげたらいいんじゃない?」と言ったために社長も了承。こうして運よくカナメプロに入社できたそうです。

後に石田さんは「もし、あの時あの場に金田さんがいなかったら、私はアニメ業界に入っていなかった。金田さんは私の恩人です」とコメント。そのため『アニメがお仕事!』にも金田さんっぽい人が出て来たり、カナメプロで一緒に仕事をしていたいのまたむつみさん的なキャラが登場するのも注目ポイントでしょう。

●『西荻窪ランスルー』
あらすじ「大学に合格したにもかかわらず、自分の夢を追って西荻窪のアニメ制作会社に就職した18歳の江田島咲。初めて経験する社会人生活に戸惑いながらも、アニメーターとして少しずつ成長していく…」

『西荻窪ランスルー』より

西荻窪ランスルー』より

本作は『アニメタ!』や『アニメがお仕事!』と同じくアニメーターの日常を描いた物語なんですけど、全体的に笑えるシーンが多いのが特徴です(イメージ的には『のだめカンタービレ』とか『働きマン』に近いかなあ?)。

しかも、主人公が面白いというより、主人公の周りのキャラクターが個性的で、それぞれのキャラ毎に面白エピソードを盛り込んでいる点が見どころと言えるでしょう。

もちろん、アニメーターに付き物の「ギャラが安い」とか「仕事がきつい」等の悩みも描かれていますが、そういう話もシリアスになり過ぎず、ほど良いバランスで見せているので読みやすいと思います。

ちなみに西荻窪周辺は非常にアニメスタジオが多い地域で、トリガー、オープロダクションスタジオディーンサンジゲンなど33件のアニメ会社がひしめき合っている激戦区(?)だそうです。

●『凸凹アニメーション』
あらすじ「ある日、新人アニメーター:沖口の前に現れた美人で巨乳の制作進行:篠塚さん。喜ぶ沖口だったが、篠塚さんと出会ったせいで、とんでもない修羅場へと巻き込まれていく…」

『凸凹アニメーション』より

『凸凹アニメーション』より

本作はなんと「週刊少年マガジン」に連載されていた”アニメ業界漫画”です。そのため、読者層に合わせて適度に「お色気シーン」や「ラブコメ要素」が盛り込まれている…にもかかわらず、内容は相当にマニアックで、「原画マン」「動画マン」「作監」「演出」「レイアウト」など専門用語がバンバン出て来るわ、アニメ制作の裏側をかなり詳しく描いているわで全く侮れません(笑)。

ただし、シナリオや絵コンテについて詳しく解説したり、原画やタイムシートの写真を撮って紙面に載せるなど、あまりにも本気で業界のことを描きすぎたせいか、ストーリーは全14話で終了。つまり「打ち切り」ってことですね…(マガジンの読者は付いて来れなかったかw)。

ラスト3話ぐらいは展開がかなりバタバタしていて、「強引にまとめようとした感」が出まくってるし、最終回は典型的な「俺たちの戦いはこれからだ!エンド」だし、正直あまり「オススメ」とは言い難いんですが、気軽に読める「アニメ業界ラブコメ」としてはそれなりに面白いかなと。

●『映像研には手を出すな!』
あらすじ「高校へ入学した浅草みどりは、アニメ作りを目論んで友人の金森さやかをアニメ研究部の見学に誘った。そこでアニメーター志望の水崎ツバメと出会い意気投合。3人で「最強の世界(映像)」を創るために動き出す!」

『映像研には手を出すな!』より

『映像研には手を出すな!』より

本作は、とある高校を舞台に3人の女子高生(浅草みどり・水崎ツバメ・金森さやか)がそれぞれの特技を生かして自主制作アニメを作る、という青春物語です。

しかし、水崎ツバメは親からアニ研に入ることを反対されているので、「なら自分たちで映像系の部を作ってしまえ!」となり、”映像研”を発足。学校から古い部室を借りて、いざアニメ作りスタート!

浅草みどりは「イメージボード」や「背景画」などの”設定”を考えることに情熱を燃やし、水崎ツバメはアニメーターを目指しているので「キャラ」や「動き」を描きたい。じゃあ、2人が組めばイケるんじゃね?みたいな感じで楽しい自主制作アニメ作りが始まるわけですよ。

ちなみに金森さやかは絵が描けないので、主に「お金」や「企画」の係になっています。まあ「プロデューサー」みたいなポジションでしょうか(でも、この3人のキャラや関係性がとても良い!)。

そして本作最大の特徴は、いきなり浅草みどりの妄想が爆発して、設定として描いたプロペラや飛行機に乗って空を飛んだり、奇妙な世界を探索したり、そういう”イメージ”を見せてくれる点が非常に面白いんですよ。

ちょっと他の漫画にはあまり無いパターンで、「オリジナル性がある」というより「クセが強い」と言うべきかもしれませんが(笑)、個人的には大好きです。

●『ハックス!
あらすじ「高校へ入学した阿佐美みよしは、新入生歓迎イベントで上映された1本の自主制作アニメに衝撃を受け、アニメーション研究部に入ることを決意。自ら作画を描き始めるが、アニメ作りはとても大変で…」

『ハックス!』より

ハックス!』より

『映像研には手を出すな!』と同じく「女子高生が自主制作アニメを作る」という話なんですが、大きな特徴は「かなり詳しくアニメの作り方を描写している」という点でしょう。

3つ穴の動画用紙に絵を描くやり方や、描いた絵をどうやって撮影してアニメーションにするのか、さらに完成した動画をネットにアップする方法に至るまで、ものすごく具体的に解説してるんですよ(「素人がアニメを作るためのガイドブックじゃないの?」と思うぐらい)。

個人の”やる気”や”画力”などの条件次第ですが、「これを読めば自主制作アニメを作ることが出来る!」と言っても決して過言ではありません。アニメ作りに興味がある人はぜひどうぞ。

岡田准一のアクション指導がガチすぎる件

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて先日、V6が出演する『愛なんだ 2019』という番組が放送されたのですが、SNS等では「高校生に対する岡田准一の指導がガチすぎてヤバい!」と話題になりました。

問題のシーンは、とある高校のアトラクション部の「男子部員が少ない」という悩みを解決するために、V6の三宅くんと岡田くんが高校へ潜入する場面。

”アトラクション部”とは、部員たちがオリジナルの特撮ヒーローに扮して様々なアクションを披露することが主な活動内容なんですが、3年生が引退すると男子が3人しかいなくなり、部の存続に関わる大ピンチに!

そこで、彼らを救うためにV6の二人が協力し、「男子が憧れるようなカッコいい映像を作って部員を増やそう」ということになったわけです(いい話だw)。

しかし「まあ相手は高校生だし、そんなに本格的なアクションはやらないだろうな」と思いきや、いきなり岡田くんの本気モードが炸裂!

なにしろ岡田准一と言えば、人気アイドルグループ・V6のメンバーでありながらアクションの練習に打ち込んで日々体を鍛え、カリとジークンドーのインストラクター資格まで習得してしまうほどの格闘技好きですからね。

木村大作監督の時代劇散り椿に出演した際は、見事な刀さばきに木村監督も絶賛し、さらには自分でチャンバラシーンの動き(殺陣)を考えるなど、「主演」だけでなく「殺陣師」としても活躍しました。

散り椿

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また、岡田くんが主演を務めたアクション映画ザ・ファブルでは、マスクを被って顔が全く見えないにもかかわらず、スタントマンがやるような難しいアクションを自ら演じ、劇中のアクションも自分で考案したことからエンドクレジットでは「ファイトコレオグラファー」と表記されています。

そんなアクション大好き&格闘技大好きな岡田准一が高校生にアクションを指導するわけですから、思わずテンションが上がってしまったのでしょう。なんと、アクションの基礎を教える「岡田塾」を開講!

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

まず、「アクションをやる上で大事なことは何か?」と生徒に問いかけ、以下の3つを説明しました。

1.ボディ・コントロール
2.相手との距離感
3.カメラ映り

「自分の体の位置、相手との距離をしっかり把握すること。そしてカメラから見て自分がどう映っているか。この3つのポジショニングがとても大事。そこを意識しながら練習できているかどうかがすごく大きい」と力説。

実際に動きを見せる時も、「自分の体がどの位置にあるのか、確実にイメージできていなければならない」「人間の体には、8の字に動く部分が2つある。1つは股関節。もう1つは胸。この2つを連動させることで運動神経がよく見える」などと実践的な解説が続きます。

しかし、あまりにも真剣に指導しすぎて、バラエティ番組なのに笑いは一切ありません(どうやら岡田くん、これがバラエティであることをすっかり忘れていたらしいw)。

でも、一度火がついた”格闘レッスン熱”は、おさまるどころかますます激しくディープになっていきます。「後ろ回し蹴り」の練習をやっている途中で、ムエタイの蹴りって知ってる?」と急にムエタイの説明を始める岡田准一

ムエタイがなんで最強かっていうと、ヒザを回す時、ローキックなのかミドルキックなのか、途中までの軌道が一緒だから分からないんだよ。それがムエタイの凄さで…」

などと夢中になって喋りまくる一方で、どうしていいか分からず呆然とした表情で立ち尽くす高校生たち。それを見て岡田くんが一言、「引いてる?」

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

しかし、高校生をドン引きさせるような状況にも臆することなく「どんどんマニアックな技をやっていきます!」と開き直ったかのように自分の大好きな格闘技を伝授する岡田准一

「これはビクトル古賀先生という方が作った”ビクトルスロー”です」と言いながら自ら関節技を披露するものの、あまりにもアニアックすぎてもはや誰もついて来れません(笑)。

その様子を見て、さすがに岡田くんも「ダメですか?」と反省し、結局「選択ミスだった。この技はやめよう」と中止になってしまいました。

そんな感じで、岡田准一からガチ指導を受けた高校生たちは、3週間後の撮影開始まで自主練習に励み、撮影の1週間前に再び岡田くんと合流。

「カッコいい映像を作るためには大勢の協力が必要です。そこで、日本を代表するアクション監督、下村勇二さんに来てもらいました」と紹介されて下村監督が登場。

下村勇二と言えば、『GANTZ』や『アイアムアヒーロー』や『キングダム』など様々な映画でアクションシーンの演出を担当し、岡田くんとは図書館戦争と続編の『THE LAST MISSION』でタッグを組んでいます。

他にも多くの撮影スタッフが集結し、いよいよ本番に向けての最終段階へ突入!そして岡田くんは、皆に向かって”アクションの心構え”を語りかけました。

「アクションをやるということは、攻撃1つ1つを単なる暴力で終わらせるのではなく、芸術まで高めないと観客は見てくれないしスゲェって思ってくれない」

「そこまでの自分の行動に、一手一手にどれだけ責任を持てるか、それが大事なんだ」

その後、アトラクション部の部員たちは下村監督からみっちりとアクションの手ほどきを受け、厳しい練習は本番ギリギリまで続けられました。

そして、ついに迎えた撮影当日。ロケ現場は廃校となった建物を丸ごと貸し切り、アクション監督は下村勇二、襲ってくる敵役は全員プロのスタントマンという豪華さ!

最初のシーンは、「主人公が武器を持った複数の敵を次々と倒していく」というアクションです。テイク1は割と上手くできているように見えたのですが、別室でモニターをチェックしていた岡田くんは不満顔。

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

すぐに部屋を飛び出して、「あまり型にとらわれない方がいいよ。型にとらわれすぎて体の動きを綺麗にっていうより、一番気を付けなきゃいけないのはカメラに自分がどう映っているか?ってこと。カメラがどこにいるのかも意識して芝居するのがベストだから」とアドバイスしました。

確かに、テイク1の映像を見ると、敵に攻撃を加えた後の主人公の動きが大きすぎてカメラのフレームから外れてしまい、ほとんど姿が映っていません。これではNGです。

そこでテイク2を撮ることになったのですが、今度は逆にカメラを意識しすぎて動きが小さくなってしまいました。すかさず「もう1回!」と叫ぶ岡田くん。ただしコレ、素人の高校生にはなかなか難しいんじゃないのかな~?と思うんですよね。

なぜなら、プロの役者さんでもアクションをやる時はカメラのフレームから外れる失敗が多く、最初から出来る人は少ないからです。

映画関ヶ原を撮った原田眞人監督によると、「岡田准一はどんなに激しく動いても必ず画面内に自分の姿を収めてくる。常に画角やフレームを意識しているからこそ成せる技で、普通はできない。まさに天才肌の役者だ」と見事なアクションセンスを絶賛していました。

関ヶ原

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つまり「岡田くんが簡単にやってるから他の人も出来るだろう」ってことでは全くないわけで、そんな”天才”と同等の動きを高校生に要求するのは、ちょっとハードルが高すぎるのでは?と思ったんですが、やはり「アクションに対するこだわり」なんでしょうねえ。

その後、現場ではテイク3、テイク4、テイク5…と同じシーンの撮影を何度も繰り返すものの、なかなか岡田くんからOKが出ません。う~ん厳しい!

アクション監督の下村さんも「彼は一生懸命やってるんですよ。いっぱいいっぱいだと思います」と擁護しますが、「もう1回だけ…」と粘る岡田くん。しかし「あと1回!」「これでラスト!」と言いながら何度も何度もリテイクを重ねるうちに、とうとうテイク15になってしまいました。

たぶんスタッフも、まさか高校の部活の「新人勧誘ビデオ」にここまで本気になるとは思ってなかったんでしょう。「まだやるの…?」「いったい何テイクまで続けるんだよ…」みたいな空気が漂い始め、さすがの下村監督も「OKラインをどこかで決めないと終わらないよ!」と若干キレ気味に(まだ撮影の1カット目なのにこんなに粘られたら、そりゃキレるよw)。

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

でも、岡田くんは「せっかく皆で1ヵ月近く頑張って練習を続けてアクションも上達したんだから、いい作品にしてあげたい。そのためには妥協したくない」と考えているようで、部員たちも同じ思いでした。

そして、ついにテイク20でアクションが完璧に決まり、動きもカメラのフレームにバッチリ収まっています。「よし、いいぞ!オッケー!」と岡田くんも納得する映像が撮れ、ようやく1カット目が終了(笑)。

しかし、これで終わりではありません。まだまだ撮らなければならないシーンが大量に残っているのです。「急いで次のカットの準備を!」と焦りまくる下村監督。

そんな下村監督の焦りを無視して、その後も一人一人に対する岡田准一の熱心なレクチャーは続き、アクションにこだわりすぎてメチャクチャ時間がかかった(丸2日間!)ものの、どうにか全ての撮影が終わりました。

こうして完成した映像はどのシーンも非常に迫力があってカッコよく、「高校生でもこんなに凄いアクションが撮れるのか!」と驚くほど見事な出来栄えです。素晴らしい!

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

なお、ロケ中に岡田くんは高校生たちに以下のようなアドバイスを伝えていたそうです。

「一番大事なのは”感情”なんだよ。アクションをやっている時、その役の感情や気持ちをどれだけ動きに乗せられるか?」

「気持ちが乗っていれば、どんな殺陣でも違いが出せる。どんなに技術が拙くても、気持ちが入ってさえいれば、人の心を打つようなアクションになるんだよ」

う~ん、なんて真面目なんだ(笑)。岡田准一のアクションに対する熱意はまさにホンモノで、だからこそ本格的なアクション映画に出演して欲しいんだけど、「日本は現代アクションの作品が少ないので、なかなかオファーが来ない」と嘆いているようです。実にもったいない!どうか岡田くんのためにもっとアクション映画を作ってあげてください!

 

ザ・ファブル